隣の芝生は青い？　会社の夏季休暇事情

　厚生労働省のデータによると、夏季休暇、病気休暇等の特別休暇制度がある企業割合は57.9%（平成25年）となっており、6年前の調査結果63.5%に比べると減少傾向にある。夏季休暇及びリフレッシュ休暇に特化するとそれぞれ44.7%、11.1%とやや少なめな結果。また、1週間以上の長期の休暇に至っては11.3%と10社に一社しか実施していないことになる。


　企業規模別にみると、企業規模が大きいほど、制度がある企業割合が高くなっている。さて、付与日数についてだが、夏季休暇が4.3日、リフレッシュ休暇が6.2日（ともに企業平均1回当たり最高付与日数）となっている。アメリカの平均二週間、ヨーロッパの平均三週間に比べると控えめな日数であることは確かだ。

　サービスプロバイダー大手のニフティは同社で働くAさんによると「シリコンバレーへの留学制度もあり、有給休暇も取りやすい。富士通の保養所などグループ企業の福利厚生が適用され、社費補てんのクラブ活動や飲み会、ゴルフコンペなどが盛んです。体制がしっかりしているので離職率は低く、安心して勤められる会社ですね」とのこと。ISP(インターネットサービス・プロバイダー)会員に下支えされていることや富士通の完全子会社であることが安定した休暇を実現できる要因のようだ。

　名古屋市に本社を構えるブラザー工業に務めるBさんは「有給取得率は約80%、部署ごとのランキングが公表されています。金曜日はカジュアルデーなので私服で出勤。残業も比較的少ないですね。福利厚生は高級リゾート、エクシブ会員なのでリフレッシュには事欠きません」と話す。この会社ではテリーの愛称で親しまれている社長が社内ブログを書くなど、風通しも良いとのことだ。

　一方、IT業界の中では忙しすぎることから、休暇はもとより社内の福利厚生に目を向けている会社もある。トレンドマイクロでは3割近くいる女性社員のほとんどが産休・育休を取り、職場復帰を果たすという。

　同社で働くCさんは「製品発売時は忙しいですが、それ以外は休暇も取りやすく、定時退社も自由です。クラブ活動が盛んで会社から補助も出ます。福利厚生は充実していて自販機ならおにぎりが30円、カップ麺が90円。さらにドリンクは無料で飲み放題。有給は前日に申請すればOKで長期休暇を取得して海外旅行に行く人もいますね」と社内の福利厚生の充実ぶりを披露する。休む時は休む、そしてバリバリ働く。メリハリのある会社は業績も好調のようだ。

休暇明けに起こりがちな「睡眠障害」に要注意

　しっかり休暇を取ってリフレッシュすることはいいことだが、朝まで遊ぶ、寝だめをするといった過ごし方をしては後になって痛い目にあうこともある。

　出勤や登校で規則正しい毎日を送っている人は「概日（がいじつ）リズム睡眠障害」に要注意だ。

　概日リズム睡眠障害とは体内時計が狂うことで生じる障害で、海外旅行などが原因の「時差ボケ」などに代表されるものだ。人は24時間周期の体内時計を持っており、これに従って一日の生活を送っているが、生体リズムを後退させる夜更かしを繰り返すとなかなか眠れなくなり、慢性的な寝不足になってしまう。

　気をつけなければならないのが長期休暇中の変則的な起床就寝だ。これを繰りかえすと体内時計の時刻が狂い十分な睡眠がとれずに休み明けの出勤が辛くなる。その後も眠れない、十分な睡眠がとれないとなると、やがて概日リズム睡眠障害に陥ってしまう可能性が大きい。

　目覚まし時計をいくつかけても起床できない。無理に起きてもひどい眠気や集中力の低下、倦怠感などに見舞われる。こういった症状が続くようなら概日リズム睡眠障害を疑うべきだろう。

　規則正しい生活リズムを心がけるべきだと分かってはいるが、ただでさえ熱帯夜が続くこの季節に一体、どうすれば快適な睡眠が得られ、規則正しい生活リズムを維持できるのだろうか。

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