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- 2025/02/01 掲載
「マルチタスクできる自分、かっこいい」の罠、やめるために捨てる「3つの過多」とは
科学者たちが警告、マルチタスクによる弊害の数々
アメリカ・スタンフォード大学のオフィールらは次のように説いています。「2つのタスクを同時に行っているとき、実際には、脳が猛スピードで複数のタスクを連続的に切り替えているだけである」つまりマルチタスクの過程で違うタスクに移る際、脳は進行中のタスクを一度停止し、情報を再編成し、新しいタスクや思考のために回路を切り替えることを余儀なくされるため、脳が疲れてしまうのだといいます。
さらに恐ろしいことに、マルチタスクによって脳が疲れると、前頭前野の機能も低下してしまいます。
結果、物忘れによるミスが起こったり、判断力や集中力が落ちたりします。
また自律神経のバランスが乱れて、心身の不調が表れることもあるそうです。
その上、「マルチタスクをすると記憶に干渉が起き、正しく記憶できなかったり、課題の切り替えがうまくいかなかったりする」とも報告しています。
つまり長期的に見ると、マルチタスクは能率を下げるだけでなく、僕たちの脳や心身を蝕んでいくとも言えるのです。
アメリカ・オハイオ州立大学のワンとチェルネフによる調査では、マルチタスクは、一時的に「まやかし」の満足感を与えてくれるものの、パフォーマンスが落ちるという事実が明らかになっています。
マルチタスクによって、短期的に効率や集中力が上がったように感じることはあるかもしれませんが、一方で、マルチタスクを行うと「コルチゾール」という、通称ストレスホルモンが増えてしまいます。
コルチゾールは、脳内の記憶を司る部位にダメージを与えます。そのため長期的には脳の機能の衰えや、脳細胞の損傷を招き、注意力が低下したり、うつ病のリスクが上がったり、認知症のような症状が引き起こされたりする恐れもあります。
アメリカ・カーネギーメロン大学のジャストらの研究では、集中力が散漫になると、人間の「情報を符号化する能力」に負担がかかることが明らかになっています。
運転しながら誰かが話しているのを聞いているドライバーの脳のMRIを撮ったところ、注意力が37%低下していたそうです。
マルチタスクを行う人は「奴隷」のような状態?
「マルチタスクができる自分は、かっこいい」そんな優越感に満たされることもあるかもしれませんが、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいと思います。
少しイメージしていただくとわかりやすいかもしれませんが、マルチタスクを行うほど、人は長期的に物事を考えにくくなったり、自分自身に目を向けることができなくなったりしてしまいます。
厳しく聞こえるかもしれませんが、マルチタスクを行う人は、短期的な情報を追い続ける奴隷のような状態になっていると言っても過言ではありません。
「今」に戻る能力を司る前頭葉を守るためにも、マルチタスクを行う際には注意をしてほしいと願っています。
無意識を活性化できるのは、「今」に集中できている「マインドフルネス」な状態です。
では、いったいどうすればマルチタスクをやめて、マインドフルネスな状態で生きていけるのでしょうか。 【次ページ】ほとんどの人は貴重なリソースをムダにしている
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