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- 2022/02/09 掲載
製造業の未来「メタモビリティ」「メタファクトリー」とは?現代自動車が明かした未来
動かないモノが動き出す「メタモビリティ」の世界
現代自動車が掲げているのは「Expanding Human Reach(人間の可能性を広げる)」というテーマだ。これをモビリティとつなげ、「制限なき移動の自由」という意味で「メタモビリティ」という概念が提唱された。同社CEO、チョン・ウィソン 氏は、メタモビリティとは「人間の移動をロボティクスとメタバースプラットフォームを使い、リアルワールドとつなげながら無限に広げていくこと」と説明した。同時に、今後は「MoT(Mobility of Things)」というコンセプトが生まれ、従来は動かないと考えられていたモノがロボティクス技術を用いて動くモノへと変貌するとも語った。
同社の考え方は、スマートデバイス(車、UAM=アーバン・エア・モビリティ)を使ってメタバースプラットフォームにアクセスし、そこにAI、自動運転、ロボティクスなどの技術を用いてリアルワールドとバーチャルワールドの垣根をなくすというものだ。
では、具体的にメタモビリティとはどのようなものなのか。同社バイスプレジデントでありロボティクス部門トップであるヒョン・ドンジン氏は、2021年のボストンダイナミクス獲得によりますます精度を増したロボティクス技術とモビリティの融合についてプレゼンテーションを行った。
そこでは、「P&D(プラグ・アンド・ドライブ)」と呼ばれる自律走行型モジュールとさまざまなデバイスを組み合わせ、MoTを実現するプロセスが語られた。たとえば、車いすにP&Dを組み合わせ、自宅から小型のポッドで外出する。街では小型ポッドをそのまま収容する公共交通機関のバスが走行し、目的地まで移動できる。
P&Dは、このほか物流ロボット、ベビーカーなどさまざまなものと組み合わせることが可能だ。モジュールにはそれぞれ車輪がついており、これを2つないし4つ組み合わせることでさまざまなモノを移動できる。顧客の需要により、プラットフォームのサイズを変更できるため、大型コンテナの移動も可能となる。
コロナ禍で在宅勤務が増えた結果、オフィススペースを縮小した企業に対し、オンデマンドのオフィススペースを提供することにも役立つという。P&Dを使うことにより、簡単にレイアウトの変更、使用機器の搬入などが可能となり、必要なときに必要な場所を提供可能となる。
また、パンデミック下で病院を大規模災害センターに変更するなど、従来のビジネスモデルを変革する可能性についても言及された。
車をデジタルツイン化。実際にその場にいるかのような体験
現代自動車では、このロボティクス技術から、車をスマートアクセスデバイスと捉える方向にさらに発展させる。同社TaaS(トランスポーテーション・アズ・ア・サービス)部門のトップであるチャン・ソン氏は、車やUAMのデジタルツイン化という考えを説明した。自動運転が実現すれば、車は動くリビングスペースとなる。その中でVR技術を用い、ゲームやエンターテインメントを楽しむ、あるいはバーチャル会議に参加する。つまり、車内スペースがデジタルツインとして機能する。
ただし、ここまではどの自動車メーカーも考えることだ。現代自動車は、その先にあるものとして、ロボットを物理的なアバターとしてメタバースに参加するという考えを示した。
たとえば、在宅勤務を行う人がロボットアバターを用い、物理的にオフィスに出勤する。AIや高度VR技術を用い、ロボットがカメラを通して見たりアームで触れたりするものを、人が実感覚として感じることができる。VRを通した仮想空間、つまりメタバースでありながら、ロボットというアバターを通して実際にそこにいるかのような仕事を行うことができる。
逆に、出張で家を離れているとき、自宅のロボット=自分のデジタルツインが自宅で犬の面倒をみることもできる。餌をやったりなでたりすることを、遠くにいる自分自身が見て感じることも可能となる。
【次ページ】ロボットではなくヒトにアバター的役割を持たせる日本企業
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