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  • 2019/07/17 掲載

社内政治で経営陣を動かす7つのポイント――データ分析を阻む「最大の壁」攻略法

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データ活用は企業経営における最重要課題の1つに位置付けられるまでになった。そのためには、データで得られた成果をもとに、組織に何らかのアクションを促さなければならない。しかし、こうした取り組みを阻む「抵抗勢力」が非常に多いことは組織人であればだれしも理解していることだろう。こうした中、求められているのが関係各所を動かすための「社内政治力」だ。ガートナー バイス プレジデント,アドバイザリの松本良之氏が、社内政治の意義ととともに、実践のための“攻略法”を解説する。
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組織で何かをやろうとしても足を引っ張る人が実に多い
(Photo/Getty Images)

データ分析は経営に生かして初めて意味を持つ

 データ分析における“成功”とは何か。実務担当者であれば、それは、従来にはなかった新たな知見の獲得であろう。

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 ただし、CIO(最高情報責任者)をはじめとする、より高位の職責者となれば話は変わる。そのミッションは、「ITによる新たな知見を経営に役立てること」。である以上、データ分析の結果を基に、組織がより大きな利益を得られるよう、組織に何らかのアクションを起こさせなければならない。言い換えれば、最終的には経営トップを動かす必要があるということだ。

 だが、それが実に難しいことは、組織人であれば肌感覚で理解しているはずだ。社内の関係者の考え方は千差万別で、表面上は良好な関係であっても裏の顔は分からない。そして、ひとたび何か新しいことを起こそうとした場合、「自分の仕事がなくなる」「余計な仕事をしたくない」「できるはずがない」という“守旧派”が、あの手この手で妨害活動を企てる。

 松本氏は「そんな横やりには、決して屈してはならない」と鼓舞する。デジタル変革の重要性は、いわゆるGAFAの隆盛を見ても明らか。そこでの成長の原動力こそ、データに眠る新たな知見にほかならないという。

「今後の企業経営におけるデータ分析の重要性は明白だ。それを軽視する企業は遠からず苦境に立たされる。そうした事態を回避し、自身のキャリアを磨くためにもCIOは職責において、分析結果を社内変革につなげる義務を負う。とはいえ、社内の説得は一筋縄ではいかないはず。そして、この状況で頼るべきものこそ社内的な“政治力”なのだ」(松本氏)

「経営会議は合理的」は現実とかけ離れている

 「政治は汚い」「技術者として駆け引きは不要」「本音で話せば分かりあえる」などの理由から、社内政治を毛嫌いする組織人は多い。だが、松本氏はこれらの見方を否定したうえで、「社内政治の本質は、失敗の責任を他人に転嫁せず、経営の一員となり目的を遂行したうえで、最終結果に責任を持つということ」と訴える。

「たとえ本音で話しても立場が違う以上、全面的に分かりあうことは到底期待できない。逆に、話したことを後に後悔する事態に見舞われるほうが圧倒的に多いのだ」(松本氏)

 では、どうすれば社内政治で力を持つことができるのか。その第一歩となるのが、会社がどう運営されているかを知り、最適な行動につなげるための意思決定プロセスの理解だ。

「経営会議は合理的に進められていると思われがちだが現実はまったく異なる。どんなに精緻な理屈でも、有力者の発言でひっくり返る。それが多くの会社の現実なのだ。そうした中で、どう話を進めるべきかを判断するには、意思決定プロセスを事前に把握しておくことが不可欠だ」(松本氏)

 そのうえで社内を説得して回り、賛同者を増やし、自身の望む意思決定につなげるのが社内政治の最終目標だ。達成は難しいと思われがちだが、松本氏は、「実のところ、そのための技法さえ習得していれば、説得自体は誰でも可能なことだ。難しく感じてしまうのは、技法を知らないという、ただそれだけのことなのだ」と力を込める。

 技法として松本氏が取り上げたのは次の7つだ。

 1つ目は、関係者の社内での立ち位置を把握するための「ステークホルダー分析」だ。同分析では、たとえば、ステークホルダーの個々の特性について、「ステークホルダーの経営資源」と「ステークホルダーの持つ情報や知見」をX軸とY軸にとり、その多寡を基にマッピングして「決裁者」から「無害者」まで各人の役割を分類する。

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ステークホルダー分析
(出典:ガートナー)

 また、ステークホルダーの状況について、「個人タイプ」「ITへの親近感」「判断基準」などの観点から、細かく洗い出す。これにより、各人の影響力と判断の拠り所を把握し、メンバー間で共有することで、今後の説得方針の策定の糧とするのだ。

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