• 2025/03/18 掲載

「知らなきゃ損」のM365 Copilot導入術、ガートナー流「費用とリスク」低減法とは

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生産性向上などのメリットから、ビジネスで果たす役割に期待が高まっているMicrosoft 365 Copilot(旧Copilot for Microsoft 365)。ただ同ツールは、無計画に導入すると社内で活用し切れず「導入損」になってしまいかねなかったり、安くない利用料金や情報漏えいといった利用に関する課題も付きまとう。ビジネスにおいてMicrosoft 365 Copilotのメリットを最大限享受できるのはどのケースなのか。そして、少しでもコストを抑えつつ、活用のリスクを低減するにはどうすればよいのか。ガートナー流のMicrosoft 365 Copilotの導入・活用法を、ガートナーのギャビン・テイ氏が解説する。
執筆:畑邊 康浩
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Copilot for Microsoft 365導入において考慮するべきポイントとは
(出典:ガートナー(2024年8月))

AIの成熟は「まだ少し先」と言えるワケ

 今や日進月歩の勢いで進歩を遂げる生成AIは、ビジネスの現場でも活用による生産性向上などが期待されている。

 ガートナーの調査によると、CIOまたはITリーダーは、今後1年から1年半の間に、生成AIによって生産性が平均18%向上すると予想しており、2024年に部署の予算の平均6.5%を生成AIに割り当てる計画を立てている。

 さらに、2024年には人員の3.8%、2025年には6.1%、2026年までに8.2%が生成AIによって代替されると予想している。また同調査において、ビジネスリーダーはスタッフの時間の7.9%を生成AIの開発に割り当てると予想しており、これらの数字は企業の生成AIに対する期待の高さを如実に表している。

 このような期待に対し「生成AIが成熟し、本当の価値をもたらすには5~7年かかる」と指摘するのは、ガートナーのバイス プレジデント, アナリストのギャビン・テイ氏だ。

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ガートナー
バイス プレジデント, アナリスト
ギャビン・テイ氏

 テイ氏によると、これは過去のテクノロジー革新、たとえばDOSプロンプトのコマンドラインからGUI、GUIからCUIへの移行にかかった時間とほぼ同じ時間だ。この観点から、ガートナーは2028年末までに生成AIはオフィスアプリケーションに密接に組み込まれるようになり、コメントや監視の必要性はほとんどなくなると予測しているという。

Microsoft 365 Copilotで一番使える「ある機能」

 そんな生成AIをビジネスで活用する際、有用なツールの1つとして挙がるのが、マイクロソフトが提供するMicrosoft 365 Copilotだ。

 Microsoft 365 Copilotについて、テイ氏は「現在のCopilot製品は100%の製品には至っておらず、約50%程度の完成度と見られています。この状況を認識してか、マイクロソフトは採用率を高めるため、最低購入数300シートという要件を撤廃しました」と指摘する。したがって現状は、企業にとって試用する期間だと認識しておくべきだろう。

 テイ氏によると、Copilotのバージョンによっても評価は変わってくるが、どのバージョンにおいてもMicrosoft Teamsは活用すると効果的だという。Microsoft TeamsにおけるCopilotは「文字起こし」機能をオンにして使うと、会話もしくはチャットの終了時に要約を作成する。この機能は非常に有用だ。

「しかしそれ以外の機能も含めると、現状でのCopilotの満足度は5点満点中3.5点であり、従業員の4分の1~3分の1がCopilotの価値を十分に引き出せていません。つまり、現段階フォーカスするべきなのは、Copilotが価値を発揮する具体的な機会を特定することです」(テイ氏)

 CopilotはすでにMicrosoft Word、Outlook、Teams、PowerPoint、Excel、Windowsなどに組み込まれており、その主な用途は「要約」「検出」「記述」「ブレインストーミング」「分析」「回答」などである。これらを行うことによってMicrosoft 365 Copilotは「日常業務のための日常業務型AI」になることを目指している。

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Copilot for Microsoft 365が目指しているのは「日常業務のための日常業務型AI」だ
(出典:ガートナー(2024年8月))

 そのため、Copilotの活用でメリットを多く受けるのは、日常的に大量のコンテンツを読む必要がある人、多くの文章を書く人、頻繁に会議に出席する人、多くの情報検索を行う人、データを多用する人、画像作成を行う人だ。テイ氏は、たとえば法務、会計、人事、財務などの部門の担当者にとっては特に有効だとした上で、人件費が高く、業務が多忙なビジネスパーソンこそCopilotによる業務効率化の恩恵を受けやすい立場にあると話す。 【次ページ】「安くない料金」でも節約できる「意外」な方法
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