• 会員限定
  • 2025/03/10 掲載

Microsoft 365「浸透しない」問題、ガートナー流「5分類」はなぜ効果的?

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
13
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
Microsoft 365やGoogle Workspaceをはじめとして、メールやストレージ、生成AIなどさまざまな機能を統合した「コラボレーション・スイート」は、ハイブリッドワークが定着した現在では必須の業務ツールだ。非常に広範囲の分野をカバーできる機能の豊富さが魅力の一方、その多機能さゆえに全機能の適切な活用は一筋縄ではいかない。どうすればコラボレーション・スイートの各機能の効果的な利活用を推進できるのか。ガートナーの林宏典氏が、多様化した機能を効果的・効率的に活用するための有効な「5つのグループ化」を軸に解説する。
photo
コラボレーション・スイート活用推進になぜ「5つのグループ化」が有効なのかを解説する
(出典:ガートナー(2024年8月))

「機能が多い」ゆえに生じる悩みとは

 メール、カレンダー、ファイル共有を中心に、従業員同士の共同作業の支援機能を統合的に提供する「コラボレーション・スイート」。リモートワークの定着により従業員の働く場が社外に広がる中、離れた場を結ぶ業務効率化策としてもはや欠かせない存在だ。

 ただその一方で、コラボレーション・スイートの利用を推進/監督するデジタル・ワークプレース・リーダーの立場では悩みも多い。

 コラボレーション・スイートに関する利用推進/監督サイドの苦悩について、「コラボレーション・スイートは、コラボレーションのための機能の豊富さが魅力ですが、逆に機能の多さゆえにすべての効果的な活用は現実的に困難です。また、機能が多いほど当然、サポートの負担も大きくなります」と話すのは、ガートナー ディレクター,アナリストの林宏典氏だ。

photo
ガートナー
ディレクター,アナリスト
林 宏典氏

 では、どうすればコラボレーション・スイートの適切な活用を進められるのだろうか。

 林氏が、まず取り組むべきこととして挙げるのが、コラボレーション・スイートの各機能を次の5つの機能グループへ振り分けることだ。

  • メールやチャット、ファイル共有などの「コミュニケーション」
  • オフィスツールや個人ストレージなどの「個人業務の効率化」
  • ノーコード開発ツールやRPAなどの「テクノロジーの民主化」
  • Webホワイトボードや共有タスク管理などの「特定業務のデジタル化」
  • 生成AIなどの「日常型AI」

 ユーザーが各機能を利用する頻度や、そこで感じる価値は、機能ごとに少なからず異なる。一方で、機能グループ単位で見ると、機能の類似性からそれらはほぼ共通する傾向にあり、ガートナーではその点に関する調査結果を、マッピング図に取り纏めているという。

画像
ガートナーによるマッピング図
(出典:ガートナー(2024年8月))

「利活用を進める上で大切なのが適切な目標設定です。そこで、まずはグルーピングを行い、機能の利用度や業務上の価値を評価します。その上で、当社のマッピング図と見比べ、どの機能群の利用を推進させるべきかを判断します」(林氏)

社内メールやチャットは「ツール統一」が必須なワケ

 活用の推進対象となるのが、上記のガートナーのマッピング図よりも利用率が低い機能グループだ。加えて、市民開発に力を入れている企業であれば、『テクノロジーの民主化』にも力を入れるなど、状況に応じて活用の方向性を固めていくのがよいと林氏は話す。

 林氏によると、各機能グループはそれぞれ異なる特性を備えている。そこで、利活用の推進に向けては、その点を織り込んだアプローチを採るのが望ましいという。

 では、5つの機能グループは具体的にどんなアプローチが有効なのだろうか。

 まず、「コミュニケーション」は多様化が進みやすいツール群だ。結果、メールやチャットなど、部門ごとに異なるツールの利用が広がることで、すでに述べたような業務効率の低下を招くこともしばしばである。

 その活用推進に向けたアプローチが、全社標準のツールと各ツールの具体的なユースケースの周知徹底だと林氏は話す。

「状況ごとにいずれの部署も例外なく、同じツールを同じように利用させ、コミュニケーション時のユーザーの戸惑いを解消させます。社員の入社時点から使い方を徹底的に指導すべきです」(林氏)

 次の「個人業務の効率化」は、職種ごとに重要な機能が変わるツール群である。主に個人の閉じた業務のために利用するツールであり、使い方が間違っていても特に問題は生じにくい。林氏によると、「その使いこなしは社会人としての基礎スキル」であり、利活用の推進は教育部門による入社時教育などが柱の策となる。

 加えて、既存の社員には期待する能力を示し、自助努力でスキルを高めさせることも重要だ。これを欠いては現場からの問い合わせは一向に減らないと林氏は指摘する。なお、社員が修得すべきスキルレベルを把握するには、ICTプロフィシエンシー検定試験などの実務型の認定試験が大いに参考になるという。 【次ページ】「現場任せ」が危険しかないワケ
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます