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- 2023/09/06 掲載
【単独】なぜNotionは日本でバズった?実は京都発? COOに聞いた「知られざる舞台裏」
知られざる開発ルーツは「京都」にあり
世の中には10億人超のナレッジワーカーがいるとされていますが、そのうちソフトウェアを開発できるディベロッパーは2500万人程度に過ぎません。こうした少数のディベロッパーだけではなく、ナレッジワーカー全員が自身の手でソフトウェアを構築できるようにしたかったのです。
そして、1970年~1980年代の先駆者たちがクリエーションや生産性向上を実現するためにソフトウェアを開発したように、我々もそうしたルーツに立ち返り、誰もが自分の手でクリエーションや生産性向上を実現できるプラットフォームを目指しています。
とはいえ、初期の数年間は非常に苦しい状況が続きました。プラットフォームを開発しても、そこに参加してくれるユーザーが増えず、さらに資金もショートしてしまったのです。そこで創業メンバーは環境の異なる場所で腰を据えて開発に集中したいという思いを持ちました。
そこで2016年、サンフランシスコの本社をレンタルに出し、Airbnbで京都に家を借りて経費を削減しながら、心機一転、日本で一からNotionを作り直し始めたのです。京都にした理由は、穏やかで集中できる場所、かつ何か新しいことに引き合わせてくれるような場所にぴったりだと感じたからのようです。
その選択は間違いではなく、京都はとても美しく「デザイン」などに関しての多くのインスピレーションを与えてくれました。再度開発した際には、「ビルディングブロック」という構成要素に機能を落とし込んで、誰もが自由自在に使えるようにするなど工夫を凝らすことができました。
このような経緯があるため、「Notionは京都で生まれたアプリケーションである」と言っても過言ではないと思っています。
ソフトウェアの民主化には「テンプレート」が必須
先ほどお話したとおり、我々の長期の夢は、10億人のナレッジユーザーがユビキタスな世界で、誰でもクリエーションできるようにすることです。このゴールは、ITに詳しい人だけを対象にしても決して達成できません。ITリテラシーの有無にかかわらず、誰もが簡単に使えるようなアプリケーションでなければならないと考えています。そのためには、プロダクトのシンプルさが求められます。同時に、複数のデータベースを活用しながら、自分でソフトウェアを作れる環境も両立させなければなりません。
そこで最初は誰もが難しい知識がなくても使えるところから入っていただき、使っていくうちに徐々にNotionの奥深さに気づいてもらえるようなアプローチを考えました。ゲームにたとえると、レベル1では誰もが簡単に楽しめるステージですが、レベルが上がれば上がるほどやりこみ要素などが増えて遊び倒せるような仕組みになっています。
それと同じように、Notionも使う入口としてのシンプルさが重要になるわけです。そのポイントの1つに「テンプレート化」が挙げられますが、これにより設計のハードルを下げることができます。
最近ではテンプレートギャラリーをリリースしました。テンプレート化することで、Notionを利用するジャーニーの出発点にしてもらおうと考えています。いきなり白紙のキャンパスに設計図を書くことは難しいので、まずはテンプレートを制作のお手本にすることで、クリエーションのきっかけにしていただければと思っています。 【次ページ】なぜ日本で“バズった”のか? 人気急上昇の秘密とは
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