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- 2025/02/20 掲載
直面しがちな業務プロセス電子化「意味なし」問題、ガートナー流「持つべき視点」とは
プロセスの電子化率「進歩なさすぎ」の悲しい理由
時間や場所を問わない柔軟な働き方を実現し、仕事の質や生産性、俊敏性を高めるデジタルな仕事空間である「デジタルワークプレース」。その実現に向け欠くことのできない取り組みが業務プロセスの電子化だ。プロセスの電子化は、言い換えれば業務のシステム化であり、その実施を通じて人手頼りの業務の効率化/迅速化のみならず、ワークフローやRPAなどと組み合わせた多様な自動化にもつなげられる。多様なデータ集約も可能となり、データドリブン経営にも大いに貢献する。企業活動におけるインパクトの大きさから、DXでも柱と位置付けられる取り組みだ。
しかし、このプロセス電子化について、「日本企業の電子化は、残念ながら3年前からほとんど前進していません」と指摘するのは、ガートナー バイス プレジデント,アナリストの鈴木雅喜氏である。
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バイス プレジデント,アナリスト
鈴木 雅喜氏
鈴木氏によると、このことは業務プロセスの電子化率に関するガートナーの調査からも容易に読み取れるという。2022年に電子化率を「60%以上」と回答した企業は全体の約2割で、「40~60%未満」「40%未満」はそれぞれ約3割と約4割だが、2年後の2024年の調査でもこの割合はほぼ変わっていないのだ。
「デジタルがビジネスそのものとなる中、この状況は看過できるものではありません」(鈴木氏)
日本企業の電子化を阻む「3つの要因」
ではなぜ、日本企業のプロセス電子化は遅々として進まないのだろうか。日本企業のプロセス電子化が進まない原因として鈴木氏が挙げるのが、以下の3つだ。- ビジネス部門とのIT/DX部門との目標のズレ
- ワークフローツールの扱いの面倒さ
- 電子化しても効果が出ない問題
それぞれ順番に見ていこう。
まず1つ目の「ビジネス部門とのIT/DX部門との目標のズレ」は、鈴木氏が「システム化における永遠の課題」とも評する根深い問題だ。
鈴木氏は、プロセス電子化自体がDXの目標となっていないかと問いかける。その場合に目標に掲げられがちなのが、既存プロセスに潜む無駄の排除やプロセスの抜本的な見直しによる劇的な効率化、高付加価値化だ。対してビジネス部門が日々の業務で目指すのが営業部門であれば売り上げ向上など、自身の部門に与えられた目標の達成である。
「現場部門にとってプロセスの電子化自体にメリットは何らありません。逆に仕事の見直しに伴う負担により、目標達成の妨げとして捉えられ前向きな協力は期待薄です」(鈴木氏)
そこでの打開策に挙げるのがビジネス部門とのコミュニケーション強化だ。
「この問題はあらゆるデジタル活用で生じます。解消のためには現場と密に連携し、互いにメリットの出るよう目標をすり合わせるより手はありません」(鈴木氏) 【次ページ】電子化しても「効果なし」問題にどう向き合う?
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