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- 2018/04/03 掲載
NTT、オムロンらも新設する「CVC」、失敗しないための5つのポイント
NTTやオムロンも設置、広がりを見せるCVC
PwCアドバイザリー ディールズストラテジー部門リーダーの青木義則氏はまず「国内CVCファンドの事例は2012年以降、設立が活発化している」と語った。「2018年1月に設立されたルノーS.A.と日産自動車、三菱自動車工業によるFundは、10億米ドル。このような1000億円を超える大型ファンドも出てきている」(青木氏)
このように、ベンチャー企業の資金調達におけるCVCの存在感が高まっているのである。
「CVCはうまく使いこなせれば有効だが、難易度の高い取り組み。実務に関する情報も不足している。そこで実務担当者が抱える課題や運用上のノウハウを広く共有することが大事だと考え、今回のアンケート調査を実施し、実態の把握に努めることにした」と青木氏は調査に至った理由を話す。
長期化するほど、運用面の課題が出現
ファンドの運用状況については、80%がファンド設立から3年以内であると回答しており、中でも運用を開始して1年未満、運用開始前を合わせると約50%に達していた。投資先は日本企業が多いものの、米国や中国、アジアなど海外への投資も積極的で、そのほとんどがシードもしくはアーリーステージの企業だったという。
CVCファンド運用の難しさについて、運用1年未満の場合は「非常に順調およびおおむね順調」と答えた人が81%だが、1~3年未満、3年以上と運用期間が長くなるにつれ「順調ではない」と答える人の割合が増えるという傾向が見られたという。
CVCの運用でどのような課題を感じているのか。「適正な投資条件で出資できているのか自信がない」「なかなか良い投資先を見つけることができない」「投資担当者の熱意に押し切られ、ほぼ全案件が投資新開を通過してしまう」「投資後、投資先ベンチャー企業のモニタリングができていない」「財務リターンが厳しい/思ったほどではない」「事業シナジーが思ったほど実現できていない」という項目が上位を占めた。
「これらの課題のうち投資実務に関する課題については、案件選別には甘さはあるものの、案件件数を積み重ねることで慣れてくる。一方、成果の課題のうち、事業シナジーについては年数が経つほどうまくいかないと答える割合が増えており、この課題を解消することが、CVCファンドが盛り上がるポイントだ」と青木氏は指摘する。
【次ページ】事業シナジーを創出するための5つの視点
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