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矢野経済研究所は11月に国内民間企業のIT投資実態と今後の動向についての調査をまとめた。大型基幹システムの更新・開発案件が一段落し、2017年度以降はAIやIoTの分野が投資対象になっており堅調な推移につながっていくというが、実態はどのように推移するのだろうか。
2016年度のIT市場は11兆8,800億円、前年度比2.8%増
調査結果によると、2016年度の国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)は、前年度比2.8%増の11兆8,800億円と推計している。
今後は、2017年度が前年度比2.0%増の12兆1,170億円、2018年度は前年度比1.5%増の12兆3,000億円、2019年度は前年度比0.8%増の12兆4,000億円になると予測している(
図1)。
同社では予測の理由として、市場をけん引してきた金融機関を中心とした大型の基幹システムなどの更新・開発案件が、2016年度にピークアウトしたことを挙げている。
このため、国内民間企業のIT市場規模は拡大基調にあるものの、そのスピードは2017年度以降、緩やかになると予測している。
2017年度以降のIT投資では、AIやIoTの分野が投資対象になっており、これらのテーマを中心とした案件が大手ITベンダーのシステムインテグレーションビジネスの堅調な推移につながっていくと見込んでいる。
また、セキュリティの強化やワークスタイル変革に関する取り組み、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けたシステム開発案件、Windows7のサポート終了(2020年1月予定)によるPCのリプレイスなども市場の成長を後押しするとみている。
一方で、2019年10月に予定されている8%から10%への消費増税による投資計画の前倒しや、投資金額縮小の可能性には留意が必要としている。
「デジタル」がサービス開発の中心に
同社では本調査の注目すべき動向として、新商品/サービスの企画・開発・製造などにデジタル(IT)を適用するデジタライゼーションが活発化していることを挙げている。
まず、新商品/サービスの開発などにITが関与する割合の変化を、4~5年程度前と比較して聞いたところ、「大きく増えた」と「少し増えた」との回答の合計は40.6%だった。
4割を超える企業が新商品/サービスなどの開発などで、これまで以上にITを活用していることが明らかになった(図2)。
回答企業の業種別でみると、特に「加工組立製造業」や「金融業」でこの傾向が顕著であり、インダストリー4.0やフィンテック(FinTech)の影響であるとしている。
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