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  • 2024/09/24 掲載

「IT優秀人材」が辞めやすい理由、80%が転職意思アリ?調査結果に表れたホンネとは

連載:第4次産業革命のビジネス実務論

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情報処理推進機構(IPA)は、デジタル人材の動向調査として「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)全体報告書」を2024年7月に公開しました。本報告書ではデジタル時代における人材の適材適所の推進をテーマに、企業や個人を対象に実施したアンケート調査の結果を紹介しています。今回は、「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)全体報告書」のポイントをわかりやすく解説します。
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IPAが公開した「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)全体報告書」の内容を分かりやすく解説します
(Photo/Shutterstock.com)

どれだけ深刻? 不足する「DX人材」の問題

 「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)全体報告書」では、DXを推進する人材が「量」的にも「質」的にも大幅に不足していることが述べられており、不足感は年々高まっていることがわかります。

 2022年度までは1001名以上の大手企業を中心に大幅な不足感を感じる企業が多かったのですが、2023年度では1000名以下の企業での不足感が高まっています。

 DXの取り組みの裾野が広がる中で、人材の不足感が中堅・中小企業にも広がっているといえます。

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企業調査:DXを推進する人材の「量」の過不足感(左)、企業調査:DXを推進する人材の「質」の過不足感(右)
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA):「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)全体報告書」,(2024年7月).)

「転職を考えてる」IT人材の割合

 本報告書では、人材を先端IT従事者と、非先端IT従事者に分けて分析していますが、先端IT従事者においては、「現在の組織に所属しながら外部で兼業したい」「現在の組織に所属しつつ、副業をしたい」との回答が2022年度から2023年度にかけて大きく増加していることがわかります。

 IT人材を中心に兼業や副業をスキル発揮や学びの場として活用するニーズが高まっていると思われ、他方ではこういった副業ニーズを持つ人材を活用したいというニーズを持つ企業も多くなっていくと考えられます。

 こういった動きは、人材不足の課題を解決する1つの手段となる可能性もあると考えられます。

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将来的な組織への帰属の仕方の考え方
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA):「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)全体報告書」,(2024年7月).)

 また、先端IT従事者では8割弱の人が、非先端IT従事者では約6割の人が、転職について前向きな考え方を示しています。

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転職に対する考え方
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA):「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)全体報告書」,(2024年7月).)

 人材の流動性が高まる中、こういった人材を確保できるかが企業の競争力を左右する可能性が考えられます。

どんな会社を選ぶ? IT人材の「転職先」の傾向

 一方、直近2年の転職に関する調査結果を見ると、IT企業で16.0%、事業会社で13.3%の人が転職しており、2022年度と比べると微増しています。

 また、IT企業から事業会社に転職した人が、事業会社からIT企業に転職した人を上回っています。

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直近2年におけるIT企業・事業会社からの人材流動(会社員)
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA):「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)全体報告書」,(2024年7月).)

 「IT人材白書2017」では日本だけがIT人材の大半がIT企業側にいる傾向であることが示されており、事業会社におけるIT化推進の課題であることが述べられていましたが、この状況が若干ながら改善していくことが期待できます(参考:https://www.sbbit.jp/article/cont1/43816)。

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IT企業とそれ以外の企業に所属する情報処理・通信に携わる人材の割合(日本、米国、イギリス、フランス:2015年、カナダ:2014年)
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA):「IT 人材白書2017」,(2017年4月).)

何で悩んでる? 企業の人材育成の課題…第1位は?

 一方、企業において課題となっている、DXを推進する人材について、その育成に当たっての課題を聞いた調査結果を見ると、社員の「スキル向上・獲得へのマインドシフト」が最も多くなっています。

 従来の集合教育型のOFF-JTのような、画一的で受動的な学びから、自らが適切と考えられる学びを自律的に進めるようなマインドにシフトすることを企業が求めはじめていると考えられます。

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DXを推進する人材の育成にあたっての課題
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA):「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)全体報告書」,(2024年7月).)

 一方、個人に対するアンケート調査結果を見ると、自律的な学びが習慣化されている人と継続できている人は全体の32.7%となっており、先端IT従事者のほうがその割合は大きく、39%となっています。

 一方、従業員規模別に見ると、1001名以上の企業では自律的に学ぶことが習慣化・継続できている人の割合が38.4%と他の区分より多かった一方で、100名以下の企業では「学び始める動機やきっかけがなく動き出せていない」人が、他の区分よりも多くなっています。

 さらに、自律的な学びが習慣化・継続できている人は、人材市場における自身の相対的な位置について「十分に競争力がある」「相対的な位置を把握している、しようとしている」と回答する割合が高く、今後、自律的な学びが習慣化・継続できているか否かによって人材としての競争力や企業からの評価に差がついていくことが想定されます。

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「自律的な学び」の状況
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA):「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)全体報告書」,(2024年7月).)

 自身が働きたいと思う企業に対して重要視することについて聞いたところ、自律的な学びができている人は、できていない人に比べて総じてエンゲージメントが高く、企業との間で選び・選ばれるという相互の関係が構築できていることが想定できます。

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「自律的な学び」とエンゲージメント
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA):「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)全体報告書」,(2024年7月).)

 自律的な学びができている人は、企業の風土・文化に関する項目、心理的安全性に関する項目、学びや実務実践の場や機会に関する項目などにおいて満足度が高いことがわかります。 【次ページ】「強いIT人材」をつくる“10の施策”
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