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2021年以降、情報処理推進機構(IPA)は日米企業のDXの状況をまとめた調査レポート「DX白書」を発行してきました。その後、このDX白書を引き継ぎ、日本におけるDXの取り組み状況に関する調査(2024年2月上旬~5月上旬)を「
IPA DX動向2024」として2024年6月に公開しました。今回は、約50ページにおよぶ「IPA DX動向2024」のポイントを5分で解説します。
最もDXが進んでいる業種と、遅れてる業種とは?
「IPA DX動向2024」の2023年度の調査では、日本で「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」と回答した企業は37.5%となり、2022年度から10.6ポイント増加し、2022年度の米国の値を超えています。
また、DXに取り組んでいる企業(「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取り組んでいる」「部署ごとに個別でDXに取り組んでいる」の合計)は、2021年度(55.8%)、2022年度(69.3%)、2023年度(73.7%)と着実に増加していることが分かります。
従業員規模別に見ると、日本では従業員数が多い企業ほどDXの取り組みが進んでおり、従業員規模が「1001人以上」の企業においてはDXに取り組んでいる割合は96.6%となっています。
一方、従業員規模が「100人以下」の企業では44.7%であり、2倍以上の開きがあります。
業種別に見ると、DXに取り組んでいる企業は「金融業・保険業」が97.2%、「製造業等」が77.0%と高くなっている一方、「サービス業」は60.1%と低くなっています。
日本の企業全体としてはDXの取り組みが年々進んでいる一方、サービス業や中小企業においてはDXの取り組みがそれほど進んでいないことが分かります。
DXの成果を感じてる企業の割合とは?
DXの取り組みの「成果が出ている」企業の割合は、日本では2021年度(49.5%)、2022年度(58.0%)、2023年度(64.3%)と着実に増加しています。一方、米国(2022年度)では89.0%となっており、日米差は依然として大きいことが分かります。
日本企業の取り組みは…ほとんど「DX」と言えない?
DXレポート2ではDXの取り組みをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階に分類していましたが、「IPA DX動向2024」では具体的な取り組み項目を以下のように分類し、調査・分析しています。
DXの取り組み項目別の成果の状況についての調査結果を、上記のデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3段階の観点に分けて調査・分析した結果を見ると、日本では2022年度から2023年度にかけて大きな成果の伸びは見られません。
また、「すでに十分な成果が出ている」の米国との差も全般的に大きくなっています。
日本では「アナログ・物理データのデジタル化」や「業務の効率化による生産性の向上」のようなデジタイゼーション、デジタライゼーションの項目は成果が出ている割合が高くなっているものの、「新規製品・サービスの創出」や「顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革」のようなデジタルトランスフォーメーションの項目については成果が出ている割合が低くなっています。
日本企業の「データ利活用」の状況
企業におけるデータの利活用の状況についての調査結果を見ると、日本では「全社で利活用している」「事業部門・部署ごとに利活用している」「現在実証実験を行っている」の回答については2022年度から2023年度にかけて大きな変化はありません。
一方、米国(2022年度)と比べると、「全社で利活用している」の割合に差が出ています。
データの利活用の状況をDXの成果別に示した結果を見ると、DXの取り組み成果が出ている企業では「全社で利活用している」「事業部門・部署ごとに利活用している」の合計は70%を超えており、DXの成果が出ていない企業と比較して30ポイント以上高くなっています。
【次ページ】日本企業の「AI利活用」の状況、生成AIの利用率とは?
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