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  • 2024/06/24 掲載

調査で見えたIoT製品の市場投入時間「超長期化」、それでも「有益」と言えるワケ

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2024年、OEMによるIoTコネクテッド製品の市場投入までの時間は、平均41カ月となり、2020年から4年間で80%増加しました。こうした市場投入までの時間の増加はエンドユーザーにどのような影響をもたらすのでしょうか。この記事では、ドイツの市場調査会社IoTアナリティクス社の市場調査レポート「IoTの商業化&ビジネスモデル導入:2024年」から、IoT製品が市場投入されるまでの時間が急増した要因について詳述し、IoT製品の展開を計画しているOEMが考えるべきポイントについて紹介します。
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IoTコネクテッド製品の市場投入までの時間がここ数年で急増している

IoT製品の市場投入時間、23カ月から41カ月に長期化

1ページ目を1分でまとめた動画
 IoTアナリティクス社の「IoTの商業化&ビジネスモデル導入:2024年」の中で、OEM(注1)の上級幹部および部門リーダー100人を対象に実施した調査によると、プロジェクトのキックオフからコンセプトの実証までに平均18.5カ月を要しました。

注1:OEM:Original Equipment Manufacturingまたは Original Equipment Manufacturerの略語で、委託者のブランドで製品を製造すること、または製造するメーカーのこと。

 その時間の大部分は、ビジネスケースの開発と利害関係者との調整時間です。その後、コンセプト実証から最初の有料顧客獲得までは22.8カ月を要しました。これらを合計した41カ月という市場投入までの時間は、2020年の平均市場投入時間の23カ月から80%増加したことになります。

 こうした市場投入までの時間の増加は、一見、IoTイニシアチブの成功にとっては問題であり、多くの人にとっては直感に反する事態でしょう。なぜなら、IoT技術を取り巻く環境は、以下のようにポジティブな状況だからです。

  • 急速な技術革新: IoT技術の急速な進歩は、技術開発と展開の迅速化を示唆しています。ツールやハードウェアが改善されれば、プロジェクトのキックオフから市場投入までの時間が短縮されると考えるのが妥当です。
  • 市場知識の増加: より多くの業界専門家や消費者がIoTに精通することで、認知度が高まり、理論的にはプロジェクト・サイクルの短縮化と市場導入の迅速化につながるはずです。
  • 過去の経験曲線: 過去の技術動向に基づけば、成熟しつつあるIoT分野は以前の経験から恩恵を受け、より効率的なプロセスによって市場投入までの時間短縮ができると予想されます。

 では、なぜ4年間で、これほど急激に時間がかかるようになってしまったのでしょうか?

要因1:プロジェクトの複雑さ

 IoTプロジェクトの複雑さは、高度なテクノロジーの統合により開発サイクルの長期化につながっています。たとえば、追加センサー、ローカルデータ処理、高度なネットワークアーキテクチャー、レガシーシステムとの統合などの機能はすべて、コネクテッド製品の開発プロセスを複雑化します。

 数年前までOEMの多くは、機器のさまざまなデータポイントのうち、ほんの一部を基本的なダッシュボード機能を使って、間隔をあけて測定していました。

 しかし現在では、より多くのセンサー値を秒単位、あるいはミリ秒単位で測定し、その上で多くの高度なアプリケーションを追加していることがよくあります(場合によってはAIの統合も予定されています)。

 このような複雑さにより、機能性を確保し、潜在的な問題を回避するためには、長時間にわたる開発サイクルと大規模なプロジェクトチームが必要となるのです。

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コネクテッド製品の買い手にとって、障壁となるものとは

 上記によると、「コネクテッド製品の買い手にとって、障壁となるものランキング」では、「使い方の複雑さ」が上位に入っています。2023年には「使い方の複雑さ」は2つ順位を上げて4位、「レガシーシステムとの統合」は1つ順位を上げて2位でした。

要因2:規制のハードル

 最近の規制により、メーカーはコンプライアンスに時間とリソースを割く必要に迫られています。国や地域では、プライバシー、セキュリティ、持続可能性、透明性の重視を継続的に推進してきました。

 そしてここ数年では、主に欧州連合(EU)がけん引して多くの規制イニシアチブが可決されたため、企業はこれらの規制の発効(2024年にすでに発効したものもあれば、2025年以降に発効するものもある)に合わせて、コンプライアンスのために製品および実務の更新に取り組んでいます。

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注目すべき欧州連合・米国での規制
(出典:IoTアナリティクス社)

 こうした規制の発効を受け、 欧州におけるOEMは、「プライバシーとセキュリティに関する法律が、コネクテッド製品のソリューションを最大限に活用する当社の能力を制限している」という記述に同意する割合が71%と最も高く(2020年から14ポイント上昇)、2020年よりも現在の方が、同法により制約を受けていると感じていることがわかります。

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EUでは2020年に比べて制約を受けていると感じている割合が増加している
【次ページ】市場投入までの時間増加が「有益」な理由
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