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  • 2024/04/09 掲載

3Dプリンティング市場を徹底解説、業界別の成功事例から紐解く「5兆円超市場」の展望

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3Dプリンティング市場はここ数年で大きく躍進しています。最新の調査によると、同市場は2028年までに345億米ドル(約5兆2,296億円)規模に達し、2023年から2028年までのCAGR(年平均成長率)は18.1%と予想されています。この記事では、世界的な市場調査会社MarketsandMarkets(マーケッツアンドマーケッツ)社の市場調査レポート「3Dプリンティングの世界市場の市場規模・シェア・産業成長の分析:提供別・プロセス別・用途別・業種別・技術別・地域別 - 世界の成長促進要因と業界予測(2028年まで)」から、さまざまな業界に革命を起こしつつある3Dプリンティング技術の進歩や各業界での活用事例、そして急速に進化するこの分野の将来性について紹介します。
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3Dプリンティングの活用がもたらす革命とは?
(Photo/Shutterstock.com)

3Dプリンティング市場は急加速で成長

 3Dプリンティング(注1)市場の成長は、今後数年で急加速すると予測されています。ヘルスケア・自動車・航空宇宙などの業界でこの技術の採用が増加していることが、成長の主な要因といえるでしょう。

注1:本記事では「プリンティング」は印刷そのものを指し、「プリンター」は印刷機のことを指す意味で使っています。

 3Dプリンティングのトレンドはいくつかあり、市場の将来を形作っています。主なトレンドは次の3つです。

  1. 金属材料の使用拡大
     3Dプリントで使用される最も一般的な素材は、依然としてプラスチックですが、金属素材の使用が増加傾向にあります。金属3Dプリントの長所は、高い強度・耐久性・耐熱性です。

  2. 新素材の開発
     3Dプリンティング市場の各社は、3Dプリンターの機能を強化する新素材を開発し続けています。たとえば、フレキシブルマテリアルや高性能な熱可塑性プラスチック、さらにはフードプリンター用の食用マテリアルなどです。

  3. バイオプリンター
     3Dプリンティング技術を使って細胞パターンを作成するプロセスであるバイオプリンターは、将来的には生体組織や臓器の3Dプリントに使用される可能性があります。

「最高にワクワクする」3Dプリンティングの活用事例

 3Dプリンティング技術の主な進歩の1つは、より高速で効率的なプリンターの開発です。従来の3Dプリンターは印刷速度が遅いことで知られていましたが、新しい印刷技術と改良されたハードウェアの導入により、印刷時間が大幅に短縮されました。

 これにより、より大きく複雑なオブジェクトを短時間で印刷できるようになり、3Dプリントは大量生産に対しても可能な選択肢となりました。

 3Dプリンティング技術のもう1つの大きな進歩は、新素材の開発です。3Dプリンティングの黎明期には、プラスチックが主に使用されていました。しかしその後、研究者やエンジニアは、金属やセラミック、さらには食品など、3Dプリンティングに使用できるさまざまなマテリアルを開発しました。

 これらの新素材は3Dプリンティングの可能性を広げ、より耐久性が高く機能的なオブジェクトの作成が可能となりました。

 そして、プリンターの高速化や新素材に加え、3Dプリンティングの精度・正確性にも進歩が見られます。これは、より洗練されたソフトウェアの開発と制御システムの改善によって実現しました。

 こういった進歩により、かつては想像もできなかったレベルの精度で、非常に精緻で複雑なオブジェクトも作成できるようになりました。

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精度が上がった3Dプリンティングは一体どのように活用されているのだろうか

 3Dプリンティングの用途は非常に幅広く、ほぼすべての業界がこの技術を取り入れる革新的な方法を見出しています。ここで、さまざまな業界における3Dプリンティングの最高にワクワクする応用例をいくつか見てみましょう。

 ヘルスケア業界では、3Dプリンティングがもはやゲームチェンジャーであることが証明されています。3Dプリンティングにより、個々の患者のニーズに合わせた人工装具やインプラントなど、カスタム医療機器の作成が可能となりました。

 これにより、患者の治療結果が改善されるだけでなく、コストが削減され、時間と費用のかかる従来の製造プロセスが不要になりました。さらに3Dプリンティングは、手術計画や医学教育の目的で臓器や生体組織のモデルを作成するためにも使用されています。

 航空宇宙業界では、3Dプリンティングが製造工程に革命をもたらしました。従来、航空宇宙部品は、大きなブロックから余分な材料を取り除くサブトラクティブ法で製造されていました。しかし3Dプリンティングでは、従来の製造方法では不可能だった複雑な形状や軽量構造の製造が可能になり、航空機の性能や燃費が大幅に向上しました。

 自動車業界においては、特にプロトタイピングの段階で3Dプリンティングを取り入れています。3Dプリンティングではプロトタイプを迅速に製造できるため、メーカーは高価な金型や製造工程に着手する前に、設計の良し悪しをテストして改良することができます。これにより、開発プロセスがスピードアップするだけでなく、コストが削減され、全体的な設計品質が向上しました。

 建築業界では、3Dプリンティングは設計と建設に新たな可能性をもたらしました。3Dプリンティングは複雑な建築モデルの作成に使用され、建築家やクライアントがデザインを視覚化して改良できるようになったのです。さらに、3Dプリンティングは住宅やパビリオンなどの小規模な建造物の建設自体にも活用されており、将来的には大規模な3Dプリント建造物が建設されるかもしれません。

 以上の例は、3Dプリンティングがさまざまな業界でどのように利用されているかを示す、ほんの一例にすぎません。ヘルスケアから航空宇宙・自動車・建築まで、3Dプリンティングは設計・製造・イノベーションの方法に大きな変革をもたらしています。

3Dプリンティングが製造工程に与える影響

 3Dプリンティングが製造工程に与える影響は、いくら強調してもしすぎることはありません。この破壊的なテクノロジーは、従来の製造方法よりも多くの利点をもたらし、製造方法に革命を起こす可能性を秘めています。

 3Dプリンティングの主な利点の1つは、以前の製造方法では不可能だった複雑な形状や複雑なデザインを作成できる点です。これにより製品デザインに新たな可能性が生まれ、高度にカスタマイズ、そしてパーソナライズされた製品の作成が可能となります。

 さらに3Dプリンティングでは、高価な機械や金型が不要になるため、初期費用が削減され少量生産もできるようになります。

 3Dプリンティングが製造工程に与えるもう1つの大きな利点は、廃棄素材の削減です。従来の製造方法は「大きなブロックから余分な素材を取り除く」という手法だったため、無駄な廃棄素材が多く発生していました。

 しかし、3Dプリンティングの工程は積層造形であり、素材は必要な層ごとに追加されるため、無駄が最小限に抑えられ素材の使用量が最適化されます。その結果、コストが削減されるだけでなく、環境にも優しいという利点が生まれました。 【次ページ】注目すべき3Dプリンティングの成功事例
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