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- 2017/09/12 掲載
GEヘルスケアの世界最先端工場、どこまで医療経営を効率化できるのか
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自社工場の知見を医療分野でも展開
少子高齢化が急速に進む日本は、医療における課題先進国といえるだろう。GEヘルスケア・ジャパンは、超高齢化社会に向けて、複数の病気を抱えても幸せな人生が送れる「ケアエリア×ケアエリア」、医療機器単体だけでなく、サービスも含めて稼働率を向上させる「製品+サービス」、より複合的な取り組みを実現する「デジタル×IT連携」という3つの柱を掲げている。
同社の医療戦略について、代表取締役社長 兼 CEOの多田荘一郎氏は「超高齢化社会の医療課題を解決するには、医療資源の有効利用やデータ活用で医療の質やコストを改善する必要がある。その解決策として、ヒト・モノ・情報を連携させ、得られた示唆を改善アクションにつなげたい」と語る。
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一方で、最近では医療分野のIT化が進み、人や機器などから莫大なデータが集められる状況になってきた。多田氏は「データの利活用はまだ十分とはいえず、業務支援への活用や情報連携基盤が脆弱という課題も存在する。我々はデジタルとIT連携ソリューションによって、そのような課題を解決したい」と説明する。
実際に「病院経営者がICTに何を期待しているのか?」という同社の調査でも「情報連携・共有により、診療の継続性と質を保ちながら効率化したい」といった要望や、「機器の稼働率を向上させるために、可視化データに基づくマネジメントを行いたい」「ガバナンスを高めたい」といったニーズが多い。
そのためには、AIによる診断支援や、院内の情報統合化、テクノロジーによる仕事の自動化も求められる。同社では「Predix」という産業機器向けIoTプラットフォームを提供し、収集データを共有・分析することで、医療運営を支援している。
多田氏は「我々は、Predixを活用しながら、自社工場の“Brilliant Factory”で実験を行い、得られた知見を役立てている。さらに、これらのノウハウを“Brilliant Hospital”として医療分野に提供し、病院やお客さまの夢に寄り添いながら、最終的に日本の医療の質を高めるお手伝いをしたい」と強調した。
ショーケースに選出された日野工場の改善の取り組みとは
続いて同社 製造本部長 兼 工場長の藤本 康三郎氏が、日野工場の取り組みについて紹介した。
1982年に創業され、30年以上の歴史がある日野工場は、CTやMRI、超音波プローブといった製品を製造している。同工場は世界各国にある450の工場のうち、Brilliant Factoryを牽引する7つのショーケースに選出されたリーダー的存在だ。
Brilliant Factoryには「リーン」「先進の製造技術」「3Dプリンタ」「デジタル」の4つの要素がある。まずトヨタに代表される「リーン生産方式」で生産性を高め、先進製造技術である「アドバンスト・マニュファクチャリング」を導入したり、3Dプリンタなどの新技術の開発も推進中だ。
「2025年までに450の工場をBrilliant Factoryにしていく。どうデータを取るのか、IoT化の進捗を測るデジタルマチュリティと、リーン改善を測定するリーンマチュリティという2軸で既存の工場を5点満点で評価、4点以上であればBrilliant Factoryとして認定される」(藤本氏)。
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日野工場は、もともとリーンのカルチャーが染みついており、Brilliant Factoryをスタートする前から4点以上のスコアがあった。今後も改善を続け、5点満点を目指していくという。
【次ページ】得られたデータを分析し、現場の改善に生かす
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