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  • 2017/09/13 掲載

BuzzFeedが編集者を「毎日6時に帰らせる」ワケ

夜討ち朝駆けのメディア業界も働き方改革

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「メディア」の「働き方」といえば、「夜討ち朝駆け」と言われる文化や、2016年末の朝日新聞の違法残業問題などが容易に思い起こされ、「働き方改革」から最も遠い業界とも言われる。そんな激務必至のメディア業界にあって、前向きに働き方改革に取り組んでいるのが、米国BuzzFeedとヤフーの合弁会社であるBuzzFeed Japanだ。同社のニュースエディターを努める小林 明子 氏とBusiness Development ディレクター小関 悠 氏が、子育ての当事者として、またメディアで働くビジネスパーソンとして、「BuzzFeedの働き方」を語った。
(聞き手/構成:編集部 佐藤友理、執筆:吉田育代)

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BuzzFeed Japan ニュースエディター 小林 明子 氏(左)、同 Business Development ディレクター 小関 悠 氏(右)

「いやなら辞めれば?」

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 日本はまだまだ子育て世帯に冷淡だ。女性なら普通に取れる育児休暇が、男性にも平等に認められる会社はまだ少数派で、子どもが熱を出したとき、保育園や幼稚園から電話を受けるのはたいてい母親だ。もしも授業参観に出席したのが母親より父親の方が多かったら、それはニュースになるだろう。

 つまり、「育児は母親が主体として行うもの」という意識を依然として引きずっていて、母親に大きな負担がかかっているのである。

 そもそも、「ワーキングマザー」、「ワーキングママ」とはいうが「ワーキングパパ」とはいわない。前者は「子どもがいるのにも関わらずバリバリ働くお母さん」という言外の意味が込められているのに対して、後者の場合、働くお父さんなんて当たり前すぎて名づける意味もないからだ。そのかわり「仕事をしているのにも関わらず積極的に子育てするお父さん」という言外の意味を持つ「イクメン」という言葉はある。

 子どもを見てくれる人がいないため、夜11時のプレゼン会議に子どもを会社に連れていった母親や「1日は仕事と育児で尽きる。私のための時間は1秒もない」と苦境を吐露した母親を筆者は知っている。

 以前なら、「好きで働いてるんでしょ。いやなら辞めれば?」と周囲から冷たいアドバイスを受けたものだ。

結婚・子育てを阻む「メディアの激務」

 上記に挙げたのはいわゆる一般的な社会風土だが、この上にさらにかぶさってくるのが業界風土というものだ。過去、特にひどい部類に入っていたのがメディア業界である。新聞記者の世界には「夜討ち朝駆け」という言葉がある。予告なく早朝や深夜に取材先を訪ねてネタを取るというものだが、こんな働き方をしていたら、子どもを保育園へ送り迎えすることは不可能だ。

 雑誌業界も概して夜型で回っていて、かつては午前中に編集部へ電話をかけると誰も出なかった。そのかわり夜中の2時なら全員揃っていてワンコールで電話を取ってくれる。それが日常になってしまうと不思議に思わなくなるのだが、はたと我に返ると痛感する。「これでは結婚生活も子育てもできない」と。

 米国においても、マスコミ業界の働き方は日本と似たようなものだったらしいが、米国ニューヨークに本社を置き、2006年に誕生したソーシャル時代のメディア企業 BuzzFeedは違っていた。設立者のジョナ・ペレッティ氏は、昼夜を分かたぬ、あるいは昼夜が逆転したメディアのそれまでの働き方を自分たちから変えていきたいと考え、BuzzFeed Japanを立ち上げた際もスタッフにそれを奨励した。

【次ページ】BuzzFeedで「6時に帰る人」
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