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  • 2020/06/28 掲載

ウィズコロナ時代の学びに必要なのは「3つの対話習慣」だ

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新型コロナにより私たちは、これまで信奉してきた「グローバリズム」とは真逆の生活を強いられている。グローバル化とはボーダーレス化でもあり、人々が自由に誰とでも交流し、知を創造する活動ができた。しかし今では各国は国境で分断され、組織もテレワークへ移行し社員は離れ離れ。ボーダーレス化が一気に「分断」へと突き進み、知の共創のカルチャーが途切れようとしている。そこで今私たちにできることは、知の共創のレベルを上げる準備をしておくことだ。ウィズコロナ時代にベースとなる力を磨き、ポストコロナ時代にリアルで再開した日には、1人ひとりが見違えるような知の持ち主になっている。そんな生き方への処方箋を探る。

ライフシフトCEO/多摩大学大学院教授・学長特別補佐 徳岡晃一郎

ライフシフトCEO/多摩大学大学院教授・学長特別補佐 徳岡晃一郎

東京都生まれ。東京大学教養学部卒業、オックスフォード大学経営学修士。日産自動車人事部、欧州日産(アムステルダム)を経て、人事、組織開発、コミュニケーションなどのコンサルティング、研究・教育に従事する一方で、人生100年、現役80歳の時代を生き抜くためのライフシフト大学の運営を開始するとともに、AIをベースにしたライフシフトポータルを開発中。主な著書に『イノベーターシップ』(東洋経済新報社)、『MBB:思いのマネジメント』(野中郁次郎、一條和生との共著、東洋経済新報社)、『人事異動』(新潮社)、『人工知能Xビッグデータが人事を変える』(共著、朝日新聞出版社)、『しがらみ経営』(共著、日本経済新聞出版社)など多数。

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これまでとは異なる心構えが必要となるWith/Postコロナ時代。オンラインツールを活用しつつ、いかに学びを進めていくべきか
(Photo/Getty Images)

想定外の災禍は今後も忘れたときに突然訪れる

 今回のコロナ禍でわかった3つの真実がある。それは「想定外の3つの真実」と筆者が考えているもので、「どんな災禍が起こるかわからない。いつ起こるかもわからない。しかも災禍はすぐ忘れる」というものだ。これまでもSARSやリーマンショックなどの災禍が突然やってきたが、毎回驚き、毎回すぐ忘れてきたのが人間、特に日本人だ。

 だが、これから人生100年時代、80歳まで現役が必要な時代を生きるに当たり、この3つの真実を忘れてはならない。40歳の読者であれば、まだ後40年も現役でいないといけないが、その間に何度も想定外の災禍に見舞われる可能性がある。

 そんな、何が起こるかわからない将来においても自分を現役として80歳まで引っ張るためには、どんな想定外の災禍にも耐えられる底力をつけておくしかない。いつ起きても対応できる“変身力”も重要だ。そして長い人生の中で何度も遭遇するかもしれない災禍に対して、いちいちジタバタしないように経験を記憶しラーニングしておかなくてはならない。

 これはすなわち、自分の長い人生を積極的に作り込んでいく「ライフシフト」の発想法にほかならない。

 私たちはこれまで、人生を60歳定年までとし、会社のために長時間労働で懸命に働くことを基本にしてきた。会社が想定外の自体には対処してくれるという幻想のもとで。そんな生き方を変えて自分の人生のために仕事や会社を活用する生き方へシフトしなければならない。

 ウィズコロナ時代、それに続くポストコロナ時代においては、長期にわたって自分をベストの状態にキープし続ける基礎力を養っておくことが重要になるわけだ。

 筆者が関与しているライフシフト大学(ライフシフトを軸に、異業種の社会人が学び直しやキャリア構築を行う場)においても、コロナ環境下でも多くの社会人が入学している。皆、今への不安感を通り越した将来への危機感があるのだ。コロナになってその危機感が増幅されたのが、入学者との対話からよくわかる。どんな想定外がいつ起きるかわからない時代、かつ皆それを忘れてしまう社会において、自分の生き残りを賭けて勉強しているのだ。

これから必要なのは“目的意識”と“変身力”

 では一体何を学ぶべきか。ライフシフト大学では「目的意識」と「変身力」を大きなテーマとして掲げているが、これはウィズコロナ時代に読者の皆さんにも挑戦してもらいたいテーマだ。

 「目的意識」とは、自分のライフシフトビジョンの創造だ。

 自分はどんな人生を送りたいのか。ついに現役を引退するときになんと言われて惜しまれたいのか。それだけの価値を残せる自分にどうすればなれるのか……。そんな疑問を自問自答したり、異業種で年代も違う他者と熱く語り合ったりすることで、徐々に気づきを得ていくだろう。

 もちろんすぐ答えの出るものではないが、それゆえ、こうした自分に対しての本質的な問いから逃げずに常に向き合うことができる知的基礎体力のトレーニングを行うことが肝要だ。それが本稿後半で述べる「対話習慣」だ。

 「変身力」とは自己変革のための資産、“変身資産”を磨くことだ。変身資産は「オープンマインド」「知恵」「仲間」「評判」「健康」の5つからなる。

1 オープンマインド
変化に対して前向きでいる精神力
ポジティブマインドセット
未来への思い
チャレンジ精神
2 知恵
変化を読んで活用する実践知
知識・スキル
経験の幅
教養
3 仲間
変化から助け合って知を生み出す友
親しい友人
ビジネスネットワーク
ソーシャルネットワーク
4 評判
変化の中で埋没しない信頼とアピール力
発信力
共感力
独自コンテンツ
5 健康
変化を乗り切る基礎体力
運動
食事・睡眠


 5つの力は上記に示すとおりだが、これらについてはしっかりと自分の現在値を見つめることで、変身資産を吟味していくことが肝要だ。仕事の評価や振り返りは定期的にやるものの、本当に大切な自分の人生の振り返りはいつも後回しになってしまうものだ。そこでは次ページで紹介する「対話習慣」が効いてくる。

【次ページ】ウィズコロナ時代の「3つの対話習慣」

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