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- 2024/12/27 掲載
調査で判明、絶好調タイミー(Timee)の「スキマバイト」と相性抜群の“謎の年齢層”
連載:小倉健一の最新ビジネストレンド
「スポットワーク」は社会にプラス?マイナスか?
タイミーの最大の強みはサービスの柔軟性だ。利用者は自分のスケジュールや能力に合わせて仕事を選ぶことができる。この仕組みは、仕事と生活のバランスを重視する現代の価値観に合っている。最近の研究(「ギグ・エコノミーが労働力と経済回復力に与える影響」2024年)でも、多くの人にとってこの柔軟性が非常に魅力的であることが分かっている。この研究では、スポットワーク(英語圏では「ギグ・エコノミー」と呼ぶことが多い)が新しい可能性を人々に提供していると述べられている。さらに自分で働く時間や場所を選べる自由があり、副収入を得たい人や、本業以外のスキルを生かしたい人にとって理想的な働き方だとも指摘されている。特に主婦や学生、引退後の高齢者のようなフルタイムで働くことが難しい人々にとって重要な選択肢となっているようだ。
経済的な観点からは、スポットワークは労働市場を柔軟にし、経済の変化に対応しやすくする役割を果たしていることが指摘されている。企業は必要なときに必要な人材を迅速に確保できるため、効率よく運営できる。この仕組みによって経済全体の生産性が上がり、市場の変化にも強い体制がつくられている。
ただし、この働き方には課題もあると論文は警告する。たとえば、伝統的な雇用と違い、健康保険や年金といった福利厚生がない。また、収入が安定しにくく、搾取される可能性も指摘されている。
しかし、筆者は、こうした欠点を超えて、起業して資金に困っている人や、役者やお笑い芸人を目指して定期的な仕事が難しい若者にとっては、非常に便利なサービスだと考えている。筆者も20代の頃は仕事に就いては辞め、就いては辞め、というような人生のふらつきがあったものだが、タイミーがあの頃あったなら間違いなく使っていただろう。
タイミーの利用者はどんな属性?年齢層の内訳とは
このように、タイミーは若者向けのサービスのように見えるが、タイミーから12月12日に発表された「事業計画及び 成長可能性に関する事項」という資料を読んでみると、面白いことが書いてあった。タイミーワーカーの属性として「40代が24%、50代が21%、60代以上が5%」と、中高年、高齢者の利用者が案外多いのである。
高齢者や中高年層に対して特別な価値を提供しているようだ。この層は従来の労働市場では雇用機会が限られていたが、タイミーを利用することで、自身のスキルや経験を生かす場を得られる。高齢者は、年金収入を補完する形でタイミーを活用し、経済的な安心感を得ているのかもしれない。
たしかに、飲食店など、猫の手も借りたい状況で、相手の年齢などかまってもいられないだろう。年齢制限がなく募集をかける必要がありそうだ。そんなときに、一般的なアルバイトやパートでは、年令によって門前払いしていた層でも働くことが可能ということだ。
実際問題、中高年や高齢者の間では、従来の正規雇用が難しい状況がある。年齢による就職差別や身体的な負担を理由に多くの人が労働市場から排除されている状況が解消されることになり、素晴らしいことだと言える。
そうした意味で、タイミーはギグ・エコノミー(スポットワーク)の可能性を最大限に引き出す存在である。その柔軟性と効率性は、多くの働き手と企業にとって新しい価値を提供している。さらに、高齢者や中高年層への配慮や社会的包摂の促進といった点でも、社会的意義が極めて高いのではないだろうか。 【次ページ】調査でも判明、なぜ「タイミー×高齢者」は相性抜群なのか?
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