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未知のウイルスの感染が発覚して1年が経ち、企業の働き方は激変した。テレワークを全社で取り入れる企業も増え、社員は在宅勤務に慣れ始め、「通勤」という概念も変わりつつある。はたして、現在の働き方は定常化するのだろうか。「これからの5年間の働き方はどう変化していくのか」をテーマに、ウィズグループ代表取締役の奥田 浩美氏と、執筆業&IT批評家の尾原 和啓氏が対談し見解を示した。進行役は、東洋経済新報社 東洋経済オンライン編集部長 武政 秀明氏が務めた。
本記事は、2021年2月24日開催「働き方を考えるカンファレンス2021 働くのこれから」(主催:at Will Work)の講演を基に再構成したものです。
リモート中心だからこそ「働く」と「住む」を分けられる
──はじめに、「これからの5年間の働き方」の議論がなぜ必要なのか、話を聞かせてください。
ウィズグループ 奥田 浩美氏(以下、奥田氏):
未来とはまだら模様で訪れ、沸点の低いところから徐々に現れてきます。私は、社会課題の未来が早く訪れる地域や国を回っていますが、現在60年分ぐらいの未来が現れていると感じています。なので、このような議論をしないと、誰もが取り残されずに「働く社会」が実現できないのではないかという疑問があり、このテーマが重要だと思います。
執筆業&IT批評家 尾原 和啓氏(以下、尾原氏):
僕自身は執筆家として、奥田さんのような未来に生きる人々を、みなさんにお伝えする仕事をしています。たとえば、1年半前に『アフターデジタル』という書籍を藤井 保文さんと共著で出しました。そこでは、今や中国や東欧のほうがはるかに進んだ未来が起きているということを書いたりもしています。結局、コロナが本来10年かかるような変化を一気にシフトさせてしまった。だから我々も今日、リモートで登壇できたわけです。
奥田氏:
そうですね。実は今、自分のバーチャルオフィス空間内の、さらにその中から映像を映しているという不思議な環境になっています。バーチャルオフィス内の出演という「バーチャル イン バーチャル」です(笑)
──私も自宅から参加しています。まさに今のように、テクノロジーによって空間を飛び越えて働けるようになりました。実際にお2人はどのように働いていますか?
奥田氏:
私は2001年にウィズグループを設立したのですが、その時点で子育てをしながら働くという大前提があったので「どこででも働ける」を念頭におきました。数年後には、リモートができるクライアントに絞りました。自社の働き方を決めたら、お付き合いする会社も決まり、自分に合わせたビジネススタイルが出来上がりました。
尾原氏:
僕は5年前に生活の拠点を海外に移しました。今はシンガポールで、僕の分身ロボットが六本木のFringe81というアドテック企業で働いています。リモートが中心になると「働く」と「住む」を分離できるわけです。
企業のリテラシーがようやく整い、会議もリモートで効率が上がり、責任を持って仕事ができるなら週1、2回の勤務でも良いと思います。僕がバリ島にいた5年前からアジア各国ではほぼ4Gが使え、月2,000円ぐらいで20Gの容量がありました。スマホのテザリングとノートPC1台で、誰もがリモートで柔軟に仕事ができる時代になったのです。
「Zoomはダサい」と言われるワケ
──そうなると、いつ、どれぐらい働くか、時間的な概念も変化していくのでしょうか?
奥田氏:
私はおそらく1日18時間ぐらい働いています。私の「働く」の定義は、生きている状態でエネルギーを出すことです。バイオリズムに合わせて、フロー状態に入れるところを考えながら仕事をしています。なのでエネルギーを出すという意味で、寝ている時間も働いている気がします。そういう点では、いつ、どれだけ働くかという問いは、あまり時間には関係していない気がしますね。
尾原氏:
新たな音声SNSとして注目を集めている「クラブハウス」も、仕事の流れの中にあります。今、シリコンバレーなどでは、「Zoomはダサい」と言われています。決まった時間に決まった形で、みんなが集まること自体がイケてなくて、アンスケジュールドが新しい働き方だということです。
みんながオンラインで常時接続していれば、わざわざ週次ミーティングまで待たなくても、「この人は今少し時間があいていそうだから、ミーティングをやっちゃいましょう」と課題が見えた瞬間に解決できるように議論を積み上げていくことができます。
【次ページ】これからは「ジャズ」のような働き方になる
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