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  • 2024/02/15 掲載

いよいよ決着「出社かリモートか」論争、ガートナーが徹底議論で示した「答え」とは

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コロナ禍により新たな働き方として社会に浸透したテレワークだが、現在はグーグルなどの大手IT企業でも出社が義務化されるなどオフィス回帰の動きが相次ぐ。テレワークとオフィス出社、どちらもメリットやデメリットがある中で、組織のリーダーは「オフィス出社の義務化」の是非をどう決めればいいのだろうか。ガートナーのシニア・ディレクター2名が議論した。
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「オフィス出社義務化」の是非にどう答えを導き出せばいいのだろうか
(出典:ガートナー(2023年8月))

「オフィス出社」の是非、ガートナーの見解は?

 テレワークは2020年に国内でも急速に普及したが、2023年5月の新型コロナ5類移行を契機に「オフィス回帰」の機運が高まってきた。すでに海外ではグーグルやアップル、アマゾンなどが週数日以上の出社を従業員に要請する動きがある。

 利便性を実感した従業員からの反発も起きている中、オフィスへの出社を従業員に義務付けるべきか、という問いに頭を悩ませている組織のリーダーも多いのではないだろうか。

 この問題についてディベート形式で議論したのは、ガートナーのシニア・ディレクター/アナリストであるトリ・ポールマン氏と同じくシニア・ディレクター/アナリストを務めるレーン・セバーソン氏だ。

 議論はポールマン氏が「柔軟な働き方を常時提供すべき」立場、セバーソン氏が「大部分の従業員に常時オフィスへ出社するよう義務付けるべき」立場で展開された。

 ポールマン氏はまず、「多くの従業員が在宅勤務での生産性が飛躍的に向上したと組織に伝えているようです。ただ、自己申告による生産性のような定性的証拠には懐疑的であるのも当然でしょう」と語った上で、「従業員はオフィスよりも在宅時の方が9%も生産性が高くなった」というスタンフォード大学の調査結果を示して在宅勤務の有用性を指摘した。

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ガートナー シニア・ディレクター/アナリスト
トリ・ポールマン氏

 一方、セバーソン氏は「多くのアナリストがこのような調査結果を出しているにもかかわらず、ビジネス・リーダーはGDPの結果で物事を判断します。実際、米国をはじめとする多くの国々では、以前よりも多くの人々が働き多くの時間を費やしたにもかかわらずGDPは減少しています。本当に生産性が向上していると言えるのでしょうか」と指摘。リモートワークにおける生産性の向上に懐疑的な姿勢を示した。

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ガートナー シニア・ディレクター/アナリスト
レーン・セバーソン氏

オフィスの位置付けはどうなるのか

 働き方を考える上では、企業におけるオフィスの位置付けも重要になる。

 ポールマン氏によると、ガートナーが実施したハイブリッド・ワークに関する調査では「従業員がオフィス出社に戻る際の障壁の第1位は“通勤時間と通勤コスト”にある」との結果が示されたという。この結果を受けポールマン氏は、コスト削減のためにオフィスの在り方を見直すべきだとの考えを示した。

「労働者の平均的な不動産購入費は年間1万8,000ドルであり、オフィスへの往復だけで年間11万2,000ドルを費やしています。組織はコスト削減のためにスペースを最適化する必要があります」(ポールマン氏)

 一方、セバーソン氏は「不動産はアジャイルではないので、長期リースや所有する建物について迅速な決断を下すことはできません。多くの企業が設備投資や企業文化の醸成に注力するのは、従業員間の連帯感にもつながるからです」と指摘して、オフィスの有用性を訴えた。

 同氏はその上で、連続起業家の顔を持つニューヨーク大学スターン経営大学院教授であるスコット・ギャロウェイ氏の言葉である「家で仕事ができない人は低所得者である可能性が高く、家を借りている可能性が高い」を紹介し、オフィスにより従業員の平等と社会的平等の方程式が成り立つとも説いた。 【次ページ】リモートワークと地域活性化との「ある関係」
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