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- 2021/02/09 掲載
半数が「オフィス回帰」、完全テレワーク移行した企業の驚きの末路
日大 中川教授が語るコロナ後の都市像
大都市への機能集中は阻むべきなのか
新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)は、世界中に多大なショックを与えた。人の密集が感染拡大をもたらすため、郊外より大都市に、より多くの感染者数が報告されており、経済活動の停滞に起因する痛手も大きい。「これまで私たちは都市にさまざまな機能を集積させることで生産性を上げてきました。いわば『都市という技術』を使って繁栄を享受してきたといえます。しかし今、COVID-19の感染拡大を受けて、“大都市への人やさまざまな機能の集中を、より強い手段で抑制すべき”という意見が聞かれるようになってきました。しかし、そうすることは本当に正しい方向性なのでしょうか」
都市経済学を専門とする日本大学 経済学部 中川 雅之教授はそう投げかける。
たしかに、COVID-19感染者は大都市ほど多い。日本においても緊急事態宣言が発令されたのは大都市やその近縁地域だ。このことは中川教授らが行った統計調査から数字の上でも明らかになった。両者の間に有意な正の相関関係があることが認められたのである。
しかし、死亡者についてはそうではなかった。数字上からは大都市ほどCOVID-19による死亡者が多いとは言えなかったのだ。それはなぜか。大都市には人工心肺装置など高度治療機能を有する大病院が郊外地域よりも多く存在する。そのため、大都市に居住するCOVID-19患者はその恩恵を受けやすいことが挙げられる。
人は「都市という技術」に惹きつけられてきた
このように「都市という技術」は居住者にさまざまなメリットを提供できたため、これまで大きな天災・厄災・人災に見舞われても、都市の拡大という傾向は続いてきた。日本において約40万人の死者が発生したスペイン風邪が発生した後も、関東大震災、第二次世界大戦を経験した後もそうだった。「スペイン風邪のときは、何も分からない中で人々は『都市という技術』を使い続けました。人は“気に入った場所に住む”というよりは、“食える場所に住む”傾向にあります。昔は、都市でなければ生産活動が低迷して多くの人が貧窮し、最悪の場合、死につながりかねませんでした」(中川教授)
住む場所として人々が都市を選んできたのは、近視眼的な考えから、過度に楽観的だったからだと切り捨てるわけにはいかないというのだ。
しかし、今回のCOVID-19ショックは、今までとは様相が少し異なる。その理由は、テレワークという手段が登場したことによる。テレワークを使えば、もう「都市という技術」を用いなくても生産活動は持続できる。そういう夢のような選択肢が新たに与えられたように、今の私たちの目には映っている。
実際、国土交通省が行った調査によれば、テレワークを利用している人の6割以上が「新型コロナの終息後に週の半分以上テレワークで勤務したい」と回答したり、20歳代、30歳代で地方移住への関心が高まっていることが明らかになった。
【次ページ】テレワークが都市にもたらす影響とは
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