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「会社員」と聞いて、何をイメージするだろうか。スーツ、満員電車、代わり映えのしない毎日? 『
これからの会社員の教科書』を上梓した元ZOZO執行役員の田端信太郎氏と、注目のクリエイターで『
言語化力』を上梓した三浦崇宏氏は、「会社員は楽しい」と言い切る。そんな両氏が「仕事力×言語化力」をテーマに語り合った。もしかすると、あなたの会社員人生を楽しくするヒントが見つかるかもしれない。
取材・執筆:ビジネス+IT編集部 本橋実紗、撮影:伊藤孝一
取材・執筆:ビジネス+IT編集部 本橋実紗、撮影:伊藤孝一
会社員は楽しい
田端信太郎氏(以下、田端氏):世の中では、会社員って不自由だと思われているじゃないですか。なんかダサくて、嫌々満員電車に詰められて、やりたくもない仕事を上司の顔色を伺ってやっている、みたいな。僕はこれまでの20年、そのイメージを壊したかったんです。
世の中の大半は会社員だし、「会社員でもこんなに自由に、生き生き楽しくやれるんです」ということを示したかった。自分で言うのもおこがましいですけど(笑)
三浦崇宏氏(以下、三浦氏):『ドラえもん』のお父さんとか、漫画に出てくる会社員って「会社は大変だよ、やれやれ」といった感じでつまらなそうだなって常々思っていました。ほとんどの子供が将来、会社員になるからこそ、そこに夢を描けるように、会社員のあり方をもっと理想的にしていきたいですよね。
正直なところ、田端さんは20年間やってきた会社員を辞めた今、会社員として学んだことは生きていますか? YouTuberなどの現在の活動は、会社員とは真逆なイメージがあるのですが。
田端氏:もちろん、ためになっていますよ。今は、オンラインサロンやいろんな会社の顧問、YouTubeも注力して取り組んでいるのですが、どれも受け手は会社員だから、会社員の気持ちが分かっていないと刺さるものを発信できないんじゃないかなと思うんです。
前澤さんって本当に月に行きたいの?
三浦氏:僕、気になっていることがあって……前澤さんって、本当に月に行きたいんでしょうか? というのも、企業の価値や方針を表すことは、広告ではなく行動だと思うんです。
たとえば、ルイ・ヴィトンがヴァージル・アブローという黒人のヒップホップ出身のアーティストをチームに入れることによって、これからは多様性やストリートの時代だということを表現しました。どんな広告よりも、このような活動こそが企業の方針を最も表していて、まさにブランドアクションだと思うんです。
前澤さんの「月に行きたい」は、ブランドアクションなのか、本人の本物の夢なのか、どっちなのかなと。
田端氏:それ、僕も何回も聞いた(笑)前澤さんが有名になることは手段なのか、それとも目的なのか。でも、最後までスパッとした答えは出なかった。
印象的だったのが、初めて一緒に食事をしたとき、会って3分ぐらいで「僕、月に行くんですよ」って言われたんです。ZOZOのプライベートブランドをつくるにあたって、起爆剤として「俺が有名になる」って。「手始めに月に行くんですよ、宇宙じゃないんです」と。
三浦氏:なるほど(笑)ここ5年ぐらいで、知名度が一気上がったなと思ったので、その原動力は何だったのか気になっていました。
田端氏:でも、僕が知っているのは、ここ2~3年だからね。有名になりたいという気持ちは、もちろんあると思うけど、前澤さんにとっては、お金もただの数字でしかないからね。
「もう月行くとかどうでもよくない?」というニュアンスも、たまに感じるんですよ(笑)
モノ自体では、差がつかなくなっている時代だし、ブランドアクションもそうだけど、どう伝えるかがビジネスの結果を左右するよね。
三浦氏:そうですね。ビジネスにおいても、チームの働き方においても、個人の暮らしにおいても、「言葉」によってすべてが変わると思っています。
人間の想像力より、技術の進歩が速い時代。たとえば、クローン技術やAI(人工知能)も、「完成しちゃったけど、これどうやって使うんだっけ? 使っていいんだっけ?」と問われる時代です。
先行する技術に対し、人間はそこに意味を付けることによって追いつかないといけない。その意味付けは、やっぱり言葉でしかできないと思うんです。少し大袈裟に言えば、言語化力を鍛えないと、人類が前に進めない転換期に来ているんじゃないかなと。
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