• 会員限定
  • 2017/04/24 掲載

なぜインテルはドローンビジネスに注目するのか? 本社副社長のアニール・ナンデュリ氏が解説

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
いまやIoTによって、あらゆるデバイスが接続され、膨大なデータが創出されている。インターネットに接続されるものは、PCやモバイル端末だけではない。「ロボットやドローン、UAV(無人航空機)もデバイスと見ることができ、インターネットにつながる時代だ。これらはインテリジェントな機能を獲得し、リアルタイムの判断や安全性を実現する“空飛ぶコンピューター”になるだろう」と語るのは、インテル 副社長/統括責任者 アニール・ナンデュリ氏だ。同氏は、インテルが開発したドローンを公開し、なぜ同社がドローンに注目しているのか、その戦略について解説した。
photo
インテル 副社長/統括責任者 アニール・ナンデュリ氏

インテルのドローン4戦略とは何か?

関連記事
 ドローンで地上を調査したり、マッピングするとき、1回のフライトでも100GBのデータを収集することになる。複数のセンサーがフュージョンされ、リアルタイムなプロセスでのデータ処理が求められる。

 ナンデュリ氏は「将来は、ドローンにも5Gネットワークがバックボーンとして使われるだろう。収集されたデータはクラウド上に伝送され、詳しい分析が行われる。その処理には演算力の高いCPUが要求される。高容量なストレージも重要だ。このように考えると、ドローンはインテルの戦略のスコープに入ってくるものだ」と強調する。

 データの世界だけを見ても、2020年までに爆発的な増加が予想されている。その頃には平均的なネットユーザーでも1日に1.5GBのトラフィックを使い、自動運転車のデータは4TB、スマートファクトリーは1PB、ストリーミングサービスは750PBものデータを流すことになるという。こういった爆発的なデータに対する管理もインテルの戦略のひとつだ。

 いまドローン自体も大変伸びているマーケットだ。グローバルでは、将来的に何十億ドルものチャンスが期待される。ドローン市場を発展させるには、技術的な革新だけでなく、コラボレーションによるエコシステムや、航空ルールと法整備も必要だ。

 ナンデュリ氏は「このような状況で、インテルは、“INGREDIENTS”“LIGHT SHOWS”“COMMERCIAL SYSTEMS”“PARTNER WITH ECOSYSTEM”という4つを基軸に、ドローンに対するリーダーシップを発揮しようとしている」と語る。

photo
インテルの戦略。「INGREDIENTS」「LIGHT SHOWS」「COMMERCIAL SYSTEMS」「PARTNER WITH ECOSYSTEM」という4つを基軸に展開。

 まずは「INGREDIENTS」だ。これはドローン向けのパーツや開発キットなどの提供だ。2つ目の「LIGHT SHOWS」は、何百ものドローンの動きによりアニメーションをつくる芸術で、新しいエンターテインメントを支援する。3つ目の「COMMERCIAL SYSTEMS」は、実用ベースのアプリケーション展開だ。インフラを調査するドローンなどが考えられる。4つ目の「PARTNER WITH ECOSYSTEM」は、ドローンのエコシステムに対し、同社のノウハウを提供する協力体制を整えるという。

レディー・ガガとも共演したインテルのドローン

 1つ目のINGREDIENTSにおいて、インテルはドローンに関わるパーツや開発キットを提供している。いまでも研究・開発の現場では、ドローンのリファレンスシステムを自身の手でつくることが多く、フライトコントローラー(FC)などの多くのパーツを組み合わせ、ドローンにアプリケーションを搭載している。

「そこで、ユーザーが新しいアプリケーションを開発して、すぐにドローンを飛ばせるようにするために、インテルでは新しいプラットフォーム“AERO PLATFORM FOR UAV”を提供している」(ナンデュリ氏)

photo
インテルのUAV開発用の新しいプラットフォーム
“AERO PLATFORM FOR UAV”。

 AERO PLATFORM FOR UAVは、クアッドコアのAtomプロセッサーやFPGA(フレキシブルI/O)、Linux OSを採用したUAV専用の開発キットだ。

 この機体はクアッドコプターで、オープンソースのDronecode(PX4)対応のFCや、リアルセンスカメラなどを搭載している。

photo
講演で紹介されたAERO PLATFORM FOR UAVのクアッドコプター。Dronecode(PX4)対応のFCや、リアルセンスカメラなどを搭載。

 このキットを利用し、同社のRealSenseテクノロジーで画像や奥行きを認識したり、飛行時の衝突回避なども行える。また、もし航空管理を行いたければ、安全な空域地図を提供する「AirMap」も利用できるという。

 次にインテルは2つ目の柱として、LIGHT SHOWSを支援している。ヨーロッパや、北米・南米などの上空で、100機以上のドローンを同時に飛ばして、光のショーを開催。空をスクリーンにドローンで光のアニメーションを描くためには、すべての機体をプラグミングし、複数のオペレーターがコントロールしなければならない。

 ナンデュリ氏は「しかし、それではシステムの準備に時間がかかりすぎるし、操作も大変だ。そこでプロセスを自動化し、簡単にアニメーションを実現できるライトショー専用ドローンシステム“Shooting Star”を開発した。このシステムにより、ドイツのショーでは500機のドローンを制御し、ギネス記録にも登録された」と自信を見せる。



 本システムのクアッドコプターは、サイズ384×384×93㎜、重量が280gと小型軽量で、バレーボールよりも軽く、チャージも簡単に行えることが特徴だ。本体の底部には、夜空で輝くLEDが搭載されている。

photo
ライトショー専用ドローンシステム「Shooting Star」のクアッドコプター。重量は280gと軽量で、本体底部にLEDを搭載。

 すでにフロリダのディズニーランドや、スーパーボールのハーフタイムショーのレディー・ガガのステージなどでも、シンクロする光のライブパフォーマンスを行い、多くの聴衆を魅了している。



「ライトショーは単なる花火ではなく、空に光の絵を描く芸術だ。マーケティングのためのロゴにもなる。何かストーリー性を持たせた演出も行える。Shooting Starの能力を広げることで、クリエーションからショーまでのプロセスを完全にアニメーション化できるようになるだろう」(ナンデュリ氏)

【次ページ】ドローン戦略のカギを握るのはエコシステム
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます