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- 2018/06/06 掲載
ドローンの飛行データを生かした「Drone as a Service(DaaS) 」を理解する
春原久徳連載:ドローンが描くビジネスの未来
「Drone as a Service(DaaS) 」のフレームワークとは
ドローンが浸透するにつれて、ドローンで取得したデータの業務活用が注目されるようになりました。ドローンで取得したデータのビジネス活用を支援するサービスは「Drone as a Service (DaaS)」と呼ばれています。サービスとしてのドローンは以下のようなフレームワークになっています。 1のフライトコントローラーと2のコンパニオンコンピューターはドローンの上で亀の子状に配置され、ドローンの機体制御および、より高度な自律制御を行います。3のPC、タブレット、スマートフォンはドローンを自動航行させるなどのためのアプリケーションを提供します。この3の部分では、ドローンのカメラで取得されたデータを受信し、そのデータを処理するために、クラウドに送ります。送られたデータは4のクラウドでAIやディープラーニングを使った解析や予測に使用され、その結果がサービスとしてユーザーに活用されます。
このフレームワークの中には、4つの開発のためのリソースがあります。1つ目がフライトコントローラー。2つ目がコンパニオンコンピューター。3つ目がPC、タブレット、スマートフォンで実行されるアプリケーション。4つ目がクラウド上でのサービスです。
ドローンでのサービス開発をする企業は、このリソースを適切に使いながら、サービスを開発していきます。その詳細をみていきましょう。
(1)ドローンの肉体:フライトコントローラー
フライトコントローラーはDaaSにおいてドローンの自律制御を担う役割を果たします。フライトコントローラーは、ドローンの機体制御を担うマイコンです。以下のようなセンサーを内蔵・接続し、機体姿勢を計算して、モータ回転数を制御し、ドローンを“自律”させます。
ジャイロセンサー:回転する変化(加速度)を検知
加速度センサー:移動により生じる加速度を検知しどの方向にどれくらい動いたかを計算
磁気センサー:方位や場所に起因する磁気の変化を捉え、機体の方向を捉える
気圧センサー:気圧差を計測し、高度変化や高度位置を計算
超音波センサー:対象物からの距離を測る(特に高度)
GPSユニット:衛星からの信号を拾って、位置特定をする(緯度経度)
フライトコントローラーは、各センサーからの情報をもとに姿勢や動きを制御する点で、感覚器官からの情報をもとに姿勢を制御する「肉体」に似ています。フライトコントローラー=ドローンの筋肉、と考えてもらうと理解しやすいかもしれません。
このフライトコントローラーに対して、新しい機体制御用のセンサーが付加されていくことで、今後“自律”の精緻さが向上していくことになります。
フライトコントローラーでは、ドローンの機体制御に関わる開発が行われ、特殊なフレームの機体開発や物流などでの搭載物の重量変化を管理するためのペイロード管理、強風対策、GPSに依存しない非GPS環境下での自律航行などの開発が行われます。
世界の潮流から見れば、フライトコントローラーは2つの流れに収斂してきています。1つは世界でNo.1のシェアを持つDJIのNAZA V2やA2のほか、新しく発売されたA3などがあります。もう1つはオープンソースであるArduPilotといったフライトコードが動作するPixhawk、NAVIO+となっています。
これはスマートフォンの世界でのAppleの閉じた世界の中で開発ツールが提供され、アプリケーションが作られていくiOSとオープンソースを活用して開発がなされていくAndroidに関係に似ています。
そのほかにも独自にフライトコントローラーを開発する企業や団体がありますが、DJIの豊富な開発費および開発メンバーによる開発スピードに追いつくのは簡単ではありません。さらに、オープンソースのコミュニティを通じたオープンイノベーションによるフライトコントローラー開発の動きも速さも無視できません。そのため、DJI系でもArduPilot系でもないフライトコントローラーがシェアを広げるのは非常に難しいでしょう。
(2)ドローンの頭脳:コンパニオンコンピューター
コンパニオンコンピューターはDaaSにおいてドローンをより自律的、ロボット的に動作をさせるための役割を果たします。フライトコントローラーが筋肉や反射といった肉体系の機能なのに対し、ドローンの頭脳にあたる働きをしているのがコンパニオンコントローラーです。
フライトコントローラーのCPUが主にARM系のレスポンシビリティが高い、組み込み用のCPUが使われるのに対し、コンパニオンコンピューターのCPUはより処理能力が高いNVIDIAやインテル系のCPUが使われる傾向にあります。
コンパニオンコンピューターではドローン自身の判断による衝突回避、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)という自己位置推定と環境地図作成、多くのドローンが群れのように動くための群制御といった開発がされています。
こうした開発が進み、人工知能(AI)が活用されていくことで、ドローンは自らが判断し目的に応じて航行していくようになるでしょう。現在、一番ホットな開発領域と言っても過言ではありません。
【次ページ】ドローンの費用対効果を明示するソリューションが求められる
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