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  • 2017/12/04 掲載

ドローンの災害調査・遭難救助の基本、活用の課題から必要な技術まで

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地震や台風・水害などの自然災害は、毎年、日本各地で発生しています。自治体を中心に対策が急がれていますが、その対策にドローンの期待が高まっています。災害状況の早期把握や災害復興、遭難者の早期発見(夜間捜索)、緊急物資の搬送などに、ドローンが有効だと考えられているからです。今回は、こうした災害調査・遭難救助におけるドローン活用を取り上げます。
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地震や台風・水害などの自然災害の対策にも、ドローンの活用に期待が高まっている。
(© Jason – Fotolia)



災害調査におけるドローンの活用方法

 災害時のドローン使用は、基本的には自治体、消防などが中心になって進められます。しかし、自治体や消防内にドローン管理者や操縦者がいない場合が多いため、地域のドローン業者に依頼したり、包括的な災害協定を結んだりするケースも出てきています。

 災害時のドローン使用は、「災害調査」と「遭難救助」の2つに大別されます。災害調査においては、災害の種類によって、使用のタイミングや方法が異なります。

 災害時のドローン使用に関しては、事前の入念な打ち合わせや訓練が重要です。災害の種類ごとに、発生後のタイムスケジュールや飛行場所、順番、方法、指揮命令系統などを綿密に計画し、実際にその計画に基づいて訓練することが必要です。

 飛行に関しては、なるべく事前の航路計画に基づいて自動航行を行いますが、自動航行がうまくいかないケースも想定した訓練が必要です。

 特に災害可能性が高い地域のハザードマップを作成し、その地域の飛行訓練を行って情報を取得することが重要です。そして、通常の2次元マップだけでなく、3次元画像化しておけば、その地域の形状変化の把握にも有効です。また、災害後、その情報との比較が災害状況の把握にもつながります。

 地震の場合は、発生後、1時間ぐらいはヘリコプターなどの有人機の飛来がないため、その間に設備やインフラ崩壊、家屋倒壊、土砂崩れなどの被害状況を把握することで、その後の救助活動の基本データとすることができます。1時間経過後は、有人機の飛来が考えられるため、指示命令系統に従い、安全に調査を行います。

 台風、水害の場合は、雨や風でドローンは飛行できないため、気象条件が整うまで待機します。その後、計画に基づいて調査を行います。その他、大規模火災などのケースも同様です。


気象条件への配慮や目視外飛行への対応、現場での高速なデータ処理

 災害調査に関しては、施設やインフラ崩壊、家屋崩壊、土砂崩れなどだけでなく、地域によっては農地の被害状況の把握なども重要になってきます。

 各自治体が主体となって災害対応を進めする必要がありますが、その相談先としては、各地域のドローン団体や災害対応ドローンを専門に行っているクライシスマッパーズ・ジャパンなどがあります。

 その他、損保会社が被害にあった被保険者に対する保険支払の早期化のため、被害状況を把握する目的でドローン使用を進めていますが、社内に専門チームを設けて対応をしているケースが多いようです。

 ただし、現状のドローンは風雨に弱いため、二次災害を避けるためにも、気象条件に細かく配慮する必要があります。また、目視外への飛行も容易に想定できるため、自動航行を前提に、GPS/GNSSの取得条件の向上、電波などへの配慮も必要です。機体も回転翼だけでなく、固定翼の準備もあったほうが好ましいでしょう。

 さらに、収集した情報をなるべく早く合成したり分析したりすることが重要であるため、普段からアプリケーションに使い慣れていることや、現場で高速処理が可能な機器を揃えておくことも重要です。

【次ページ】遭難救助では「補助的」にとどまる現在のドローンの役割
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