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- 2016/12/01 掲載
ドローン・ジャパン春原久徳氏が解説する2020年ドローン市場、産業構造、活用事例
図で理解するドローン産業の構造
では、なぜ現在ドローンが注目されているのだろうか? ドローン・ジャパン 取締役会長の春原久徳氏は、軍事技術の転用で安定した飛行が可能になったことや、アクションカメラ・ジンバルやフライトコントローラーの向上を理由に挙げた。
「GPSや高度センサーなどのセンシング技術やモーター制御システムが進化しました。またアクションカメラや安定したジンバル制御によるブレない高解像度撮影、操縦の負担を軽減するフライトコントローラー技術も向上しました」(春原氏)
このような技術進展に伴い、ドローン産業も徐々に形を整えてきた。上位レイヤーにドローン業務活用ユーザーがおり、下位レイヤーにコンサルと基盤がある。さらにコンサルの下位で、ハードウェアとサービス・ソフトウェアが連動する。
「ドローンというとハードウェアに目が行きがちですが、実際にはサービス・ソフトウェアが大事。そのほか基盤としての管制システムやセキュリティもこれから伸びてきます」(春原氏)
ドローン国内市場規模は2020年までに1000億円を突破する
ただし日本では、前述の構造の各要素が、まだそろっていない。そこで春原氏は、世界と日本のドローン市場(無人航空機:UAV)の動向を対比して説明した。現在、世界のドローン市場は44億ドル規模だが、2020年には110億ドルに成長すると予想されている。まずコンシューマ用から台数が出始め、それをベースにサービス・ソフトウェアが広がり、企業に使われるようになった。しかし一昨年ごろから飛行環境の規制が厳しくなりつつある。日本でも首相官邸での墜落事故を契機に航空法が改正された。「そのため、いまは一般コンシューマというより、産業向けの業務活用が中心になってきました。空撮だけでなく、精密農業、監視モニタリング、地図測量などに用途が広がってきています」(春原氏)
一方、日本では2015年に市場規模は約100億円、2016年には約200億円、2020年までには1138億円に成長するという。特にサービス市場の伸びが著しく、678億円まで成長する見込みだ。産業の分野別にみると、農業への利用が期待されている。
「全国の農地面積は現在150万haほどあり、そのうち50万haは業務用ヘリコプターで農薬が散布されていますが、残りの100万haが手付かずです。今年からマルチコプターが使われはじめました。また検査や測量分野も広がりつつあります。2020年までに多様な分野でドローンが活用されていくでしょう」(春原氏)
【次ページ】最新ドローン活用事例:損保、医療、物流、メガソーラー検査、インフラ点検
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