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  • 2020/04/09 掲載

ドローン宅配まとめ、物流危機を救うか? グーグル、アマゾン、アリババの開発競争

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ドローンは道路を飛び越えて荷物が届けられるため、交通事情の難しい都市部でも、配送ルートの最適化が難しい郊外でも、速く安価に配送が行える手段として期待されている。無人航空機管制システムに制御されたドローンは、配送拠点から顧客の戸口まで自動で荷物を運べるという点も魅力だろう。同分野は現在、グーグル、アマゾン、アリババらテック企業のほか、EC企業、ロジスティクス企業などさまざまプレイヤーがしのぎを削っている。日本でも一部で実証実験がスタートしている。最新の動向をまとめた。
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グーグル兄弟会社Wingの宅配ドローン
(出典:Wing)

物流コストの4割を占めるラストワンマイル問題

 コロナショックなどもあり、Eコマース市場がますます成長を継続させる中、ドライバー不足を始め、物流に関する課題が明らかになってきた。中でも、物流拠点から配送先へ商品を届ける「ラストワンマイル」は解決が難しいとされる。キャップジェミニの調査では、サプライチェーン全体におけるラストワンマイルのコストは41%に達し、倉庫保管や梱包に関わるコストの2倍以上に及ぶと試算された。

 ラストワンマイル、つまり「最後の1マイル(約1.6キロメートル)」という言葉とは裏腹に、実際、物流拠点から配送先への距離は数キロ~数十キロまで伸びてしまう場合がある。都市部では交通渋滞や駐車制限といった問題があるのに加え、1人暮らしが多いため配達のタイミングが合わず、再配達並びに配送コストの増加につながっている。

 一方、郊外ではまとめて配送できないので最適化が困難だ。さらに、自然災害の発生した地域や途上国では交通インフラが整わない状況にあり、ラストワンマイルのコストが増加してしまう。

 アマゾンをはじめ、送料無料や翌日配送といった高いサービスレベルを提供するECサイトの登場により、消費者はその基準を当然のものとして期待するようになった。そのため、競合他社もその基準に合わせるよう、物流網への投資を増やさざるを得なくなっている。

 ラストワンマイルの解決手段としては、コンビニ受け取りや宅配ロッカーが導入されてきた。個人の配達員にクラウドソーシングして物流コストの低減を図る方法もある。荷物がどこにあるのかをリアルタイムに確認できるようにし、配達されるタイミングで通知を行い、再配達を防ぐ仕組みも開発されている。

 ラストワンマイルの対策として、最も劇的に業界を変革する可能性を秘めているものの一つが、ドローンによる宅配だ。遠隔操縦された小型飛行機によって、物流拠点から配送先までの運搬を自動化する。システムが構築されてしまえば、人件費がかからないのでラストワンマイルに要するコストが低減できる。消費者にとっても、道路を飛び越えて素早く配送されるドローンはメリットがある。

Google Xのムーンショット・プロジェクトとして始まったWingがドローンの商用配送に成功

 ドローン宅配の開発で先行しているのはグーグルの親会社であるアルファベット社傘下のWingだ。世界に大きなインパクトを与える可能性を持った研究開発を進めるGoogle Xのプロジェクトとして開始され、2018年には子会社として独立している。2019年10月には米国連邦航空局から商用配送の承認を得て、FedExや大手薬局チェーンWalgreensと提携し、医薬品の配送に成功した。

 Wingが開発する軽量ドローンは、時速120キロでの飛行が可能で、地上400フィート(約122メートル)まで上昇する。機体につけた紐から荷物を落とし、配送先の戸口まで安全に届ける。その機能性・安全性は、米国・オーストラリア・フィンランドで実施された数万回に及ぶ試験飛行で実証されたとされる。

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Wingの無人航空機管制システム(UTM)「OpenSky」が描く軌道
(出典:Wing)

 グーグルの高い技術は無人航空機管制システム(UTM、Unmanned Traffic Management)に活用されている。多数のドローンが同時に運行されても、建物や森林を避け、ドローン同士が衝突せず、また、飛行禁止区域に入らないよう調整するのが仕組みが求められている。機械学習の技術を活用したWingの管制システムOpenSkyは、米国やオーストラリアの規制当局から承認を受けた。

【次ページ】アマゾンやアリババ、楽天など、ドローン宅配関連企業まとめ
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