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  • 2016/03/29 掲載

グッドマンの法則の基本と事例:クレーム(苦情)を顧客満足に変えるフレームワーク

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顧客満足度(CS)を高めるためには、顧客からの声に向き合うことが求められる。中でも重要なのが、苦情(クレーム)を適切に処理することである。なぜならば、苦情処理(対応)と再購入決定率には相関関係があるためだ。今回は、ジョン・グッドマンが提唱した苦情処理のフレームワーク「グッドマンの法則」を解説。第一法則から第三法則までを適切に行ってクレームを処理した鉄道模型店と大手家電量販店での事例をとともに紹介する。
執筆:中森 勇人
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グッドマンの法則とは何か?


グッドマンの法則を学んでクレームをチャンスに変えよ

グッドマンの法則とは
苦情処理(対応)と再購入決定率の相関関係を計量化した法則で、三つの法則により構成される。ホンダなど大手企業のクライアントを多数持つ経営コンサルタント、ジョン・グッドマンが提唱した。

第一法則:「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の当該商品サービスの再入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い」
第二法則:「苦情処理に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミは、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、二倍も強く影響を与える」
第三法則:「企業の行う消費者教育によって、その企業に対する消費者の信頼度が高まり好意的な口コミの波及効果が期待されるばかりか、商品購入意図が高まり、かつ市場拡大に貢献する」

 第一の法則では、不満を持った顧客の苦情を迅速に解決することができれば、82%の高確率でリピーターになってもらえるという結果が出ている。また第二の法則では、商品に不満を持った非好意的なクチコミは好意的な場合の2倍以上の人に伝えられるという。さらに第三の法則では企業の適切な情報提供が消費者と企業の信頼関係を築けるそうだ。

 このグッドマンの法則が最初に発表されたのは1980年ごろだが、その後もデータは修正され続け、現在のCS(顧客満足)の基礎となり、「苦情は宝物」という言葉を生み出したとされている。

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グッドマンの法則とは?
(作成:ビジネス+IT)


グッドマンの法則を守れなかった大手家電量販店のクレーム対応例

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 このグッドマンの法則をビジネスの事例に当てはめてみる。

 春といえば、新生活のために家電を購入するユーザーも多い。平成26年度の総務省統計によると、電気通信サービスに係る苦情・相談件数4万6409件のうち、月別では3月が最も多く4253件、次いで5月の4185件となっている。ということで、今回は大手家電量販店A社での発生したクレーム対応を紹介しよう。

 スマートフォンの周辺機器を購入したというBさんは、購入まもなく不具合に気づく。購入した店舗に電話で交換を申し出たところ、動作確認をしなければ応じられないと言われ、しばし押し問答になったのだという。

 この時のことをBさんは「メーカー品ですし、客が言っているのだから簡単に応じてもらえると思っていました。店舗まで行くのに時間も交通費もかかりますから、宅配便で交換をしてほしいと言ったのですが、送料はこちらの負担だとか、不具合が発生しないときは返送料もかかると言われ途方に暮れてしまいました」と振り返る。

 一度電話を切ったBさんはその時の気持ちを「もう二度とA社では買わないと決意しました」と打ち明ける。このままでは、第二法則にあるように非好意的な口コミが広がる可能性大だ。

 しかし、BさんはA社の店舗が便利な場所にあり、普段からよく利用していたという理由から、わずかな望みをかけ、ホームページの相談窓口からメールで苦情を申し入れた。するとすぐに携帯電話が鳴り、担当者は平謝り。翌日には直送の運送会社が引き取りに現れ、交換をおこなったのだという。

 惜しむらくは、最初から適切なクレーム対応が行われていればということ。結局費用が余分にかかり、ある意味ファンであったBさんを危うく失ってしまうところだった。第一法則に対応しきれなかったが、結果的には第三法則の適切な情報開示により事なきを得た。

【次ページ】専門家に聞く、クレーム対応のポイント3つ
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