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  • 2015/09/04 掲載

ビズロボ 大角暢之 社長に聞く、事務処理はすべてロボットに置き換わるのか

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AI(人工知能)や機械学習、そしてそれを備えた「ロボット」に対する期待が高まっている。すでに工場ではFA(ファクトリーオートメーション)の領域で積極的に活用されてきたが、一方で「間接部門やサービス部門には非効率的な業務が数多く残されている」と語るのが、ロボットアウトソーシングサービス「ビズロボ(Biz Robo)」を手がけるビズロボジャパン 代表取締役社長の大角暢之氏だ。ロボットは間接部門やサービス部門の業務にどのような影響を及ぼすのか。大角社長に話を聞いた。
(聞き手:編集部 松尾慎司 構成:西山毅)

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ビズロボジャパン 代表取締役社長 大角 暢之 氏

間接部門やサービス部門で横行する非効率業務

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──現在、AI(人工知能)や機械学習、そしてそれを備えたロボットが大きな注目を集めています。

大角氏:私自身は、そうしたキーワードの本質は「予測」という言葉でもって、自分の頭の中を整理してきました。歴史をひも解くと、まずは1990年頃からニーズの高まった与信管理があります。金融機関が資金のこげつきや違法性の高い資金の流れを見極めるという観点ですが、つまりは予測で、今あるさまざまなデータから次の展開を予測していくというニーズでした。

 そして2000年の少し前からはWebが広く利用されるようになり、さらに多くのデータが取れるようになってきました。多くのデータがあれば、予測の精度も向上します。それでそれまで与信系のソリューションを提供してきた人たちがマーケティング分野にシフトして、“いかにモノを売るか”に予測を使うトレンドが出てきました。

 それではロボットという言葉についてですが、私の中での定義はマンパワーを代行するものであり、人間が行うアクションを自動化するものです。そのため、一般的にイメージされる物理的なハードウェアには限定されません。

 身近なところでいえば、さまざまな表計算上の処理をつないで、1つの定型業務をワンクリックで実現してくれるExcelの「マクロ」機能を思い浮かべてもらえれば分かりやすいと思います。本来人手で1つずつ処理していかなければならない操作を自動的に処理してくれるものです。

 ものづくりでいうFA(ファクトリーオートメーション)はまさにそれを突き詰めたもので、さまざまな製造プロセスのうち、人が行ってきたものを自動化することで、高い品質と効率性を実現してきました。

 一方、ものづくりと違って、間接部門やサービス部門は、非効率的な業務がいまだに数多く残されています。現在の企業の間接部門は、人とITという2階層の構造になっていますが、実際の現場にはITと人をつなぐための非効率な業務がまだまだ残されています。手書きされた文字の入力、膨大な契約書の中にある誤字の発見、業務フローの分岐に基づいた作業といったものです。

 それをつなぐのがロボットです。つまり予測などの判断をつかさどるアルゴリズム(=人やAI)と、それを受けてのアクション(=ロボット)、そして付加価値を生み出すアプリケーション(=IT)という3層構造が、我々の1つの大きな世界観なのです。

Web情報を加工するテクノロジーを見てロボットソーシングを着想

──貴社では古くからロボット事業に取り組まれてきました。どのような経緯から立ち上げたのですか?

大角氏:まず私は1995年に新卒でアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社し、金融機関の業務改善の仕事に従事してきました。金融機関には非常に多くの事務処理業務がありますが、いくら業務改善のためのよいアイデアを出しても、その処理は結局システムに落とすか、人に落とすかの選択肢しかありません。ただしIT投資にはお金が必要で、その予算が確保できない時にはもう人手で処理するしかない。この時の経験が私の問題意識の出発点になっています。

 その後、2000年にコンサルティングサービスを提供するオープンアソシエイツを設立し、2008年にセルフスプロデュース事業としてビズロボ事業部を発足させました。このビズロボ事業は、米Kapow Technologies(現Kapow Software)の持つWeb上のあらゆる情報を収集/加工するテクノロジーを見て“ロボットソーシング”を着想しました。その後、2013年にオープンアソシエイツからBiz-Robo!を移管して設立したのがビズロボジャパンです。

──具体的にはどのようなことが可能なのでしょうか?

大角氏:Biz-Robo!は、いわば「ブラウザベースで利用できるマクロツール」です。はじめにブラウザ上でロボットを構築しますが、その際にもノンコーディングで、難しいプログラミング作業を行う必要はありません。

 現在、国内の約100社で2000近くのロボットが稼働しており、適用分野としては、ビジネスプロセスの代行、情報調査/不正検知、電子商取引業務の代行、マーケティングなどを行っています。

 たとえば企業が新しいシステムを作って既存システムと連携しなければならない時、バッチ処理でデータ連携を行うツールを作成しようとすると、数か月数百~数千万円といった追加コストが必要になります。しかもその新しいツールに行わせる処理は、既存システムを検索してデータを抽出し、新しいシステムに登録するということだけで、何か新しい収益を生み出すものではありません。

 この処理が、まさに我々のロボットが適用できる領域です。さらにこの一連の処理をルールに基づいてロボット化する作業は、せいぜい2時間で済みます。既存システムと新しいシステムとのデータ連携をロボットで処理することで、企業はシステム同士をつなぎ込むための投資コストと時間を、大幅に削減することができるのです。

【次ページ】1日約1万枚の新規契約申込書の処理をロボットに代行
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