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  • 2010/04/12 掲載

M2Mとは何か? IoTとどう違う? 機器同士が自律的に通信するテクノロジーを解説

テレマティクス、スマートグリッド、テレメトリング、ホームオートメーションなどで活用

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M2M(Machine to Machine)とは、機器同士が直接ネットワークで接続し、相互に情報交換をしてさまざまな制御を自動的に行う仕組みやコンセプトを指す言葉だ。その適用範囲は極めて広く、物流の現場や車両運行システム、駐車場の管理や自動販売機の管理、デジタルサイネージなど、さまざまなシーンで利用されている。Internet of Things(IoT)という言葉が広まる前から注目を集めていたテクノロジーだが、そもそもIoTとは何が違うのか?どんなサービスが存在しているのか。本記事で解説したい。
執筆:池田 冬彦

M2Mはユビキタス社会実現のための技術

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 M2M(Machine to Machine)とは機械同士が相互に通信を行い、人手を介さずに自動的に機器の制御などを行うためのコンセプト、または、それを実現するための技術、サービスの総称である。その適用範囲は広く、流通事業やビル、機器管理、工場におけるファクトリー・オートメーション分野、自動車などのテレマティクス分野、ホーム・オートメーション分野など、それこそ、あらゆる機械設備を対象としているので、さまざまな分野での活用が考えられる。

 M2Mは日本では、総務省が取り組んでいるユビキタスネットワーク社会に向けた取り組みの中でクローズアップされてきた技術、および、コンセプトである。その取り組みは古く、2001年からは「ユビキタスネットワーク技術の将来展望に関する調査研究会」の活動を開始し、2002年には「ユビキタスネットワーキングフォーラム」の活動を開始している。

 たとえば、2004年7月の「ユビキタスセンサーネットワーク技術に関する調査研究会」では、ユビキタスセンサーネットワーク技術により、「人やモノの状況、その周辺環境などを認識し」「利用者の状況に即したさまざまなサービスを提供」し、「社会の安全・安心」「生活における快適性・ゆとりの向上」「生産・業務の効率化などの実現」を行うとのビジョンも示されている。

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図1 ユビキタスセンサーネットワークの将来ビジョン
(出典:総務省)


 具体的には、自動監視や警報システムによる防災・災害対策、防犯・セキュリティ、食・農業分野における育成環境の最適化や生産履歴の提供、環境保全、遠隔健康管理や介護といった医療・福祉分野、家庭やオフィス、工場などのビル環境管理、オペレーション制御、ガスや電気などの自動検針、渋滞緩和や事故回避といった交通分野など、さまざまなアプリケーションが提示されていた。

 M2Mは、あらゆるデバイスがM2Mに対応するネットワーク機能や制御機能を実装し、相互に通信できる環境が前提となる。そのため、単に機器同士が通信するだけではなく、場所や種類問わず、全体を構成するシステムの中で、あらゆる情報を統合してさまざまな成果に結びつけることができるようになる。

2005年頃から形成されてきたM2M市場

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図2 自動販売機の内部に設置された3G通信用のアンテナ
 このように、政府主導の研究会で注目されはじめたM2Mは、有線通信網を利用したシステムのほか、携帯電話網を使ったM2Mの仕組みが形成されてきた。たとえば、ビルなどのファシリティ管理における空調、照明、エレベータの稼働管理などのシステムは既に実用化されている。従来は個別に管理が行われていたが、統合的に管理することによって、大幅な節電効果をもたらすことができる。複数のビルやテナント、工場などのシステムを効率的に遠隔管理することも可能だ。

 また、自動販売機のM2Mシステムも広く普及している。日本では路上や駅の構内など、さまざまな場所におびただしい数の自動販売機が設置されているが、これらを人手だけで監視し、清涼飲料水などを補充することは極めて非効率的でコストもかかる。

 その点、M2Mに対応する自動販売機では、商品の販売機内の在庫が少なくなると、自動的にセンターに電話をかけ、何がどのくらい足りないのかというデータを逐次送信する。この情報を元に、リアルタイムな配送計画を立て、効率的に商品を補充することが可能になる。また、ネットワーク網を利用して「Suica/ICOCA」といったICカードを使った決済システムも実現する。

 また、2006年8月から導入された「taspo」対応のタバコ自動販売機にもデータ通信機能が装備され、携帯電話網を使って運営センターとの通信を行う。成人認証そのものは販売機上で行うことが可能だが、無効となったカード情報の配信や電子マネー機能などの情報をやりとりするために利用される。

 さらに、物流の分野においては、トラックや荷物などに各種センサーを搭載し、運行情報や位置情報などを集中管理、最適配置や運行管理を統合的に行うシステムや、RFIDによるトレーサビリティを実現する仕組みも実用化されている。

 こうしたネットワーク網を活用したM2Mは、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクモバイルといった通信キャリアの提供する通信サービスの上に、ベンダーがM2Mソリューションを構築するという形態での提供例が多い。たとえば、オムロンのM2Mソリューションでは、店舗内の温度や湿度、電気使用量、漏電の有無などを一括管理し、その計測結果を提供する「M2Mセンサーネット」というサービスを提供している。このシステムでは工場や事務所、サーバルームなどの環境を測定し、無駄な電力を削減して省エネ効果をもたらす。

 MVNOによるサービスもある。たとえば、ウィルコムの回線を使ってM2M事業を提供するCSCでは、物流システムや自動販売機のほか、バスの運行情報サービスや駐車場の空車情報の提供、決済システムなど、さまざまなM2Mソリューションを、通信基本料金が月額100円からという低価格なサービス「ワンコイン通信100」として、PHS回線で展開している。

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図3 CSCが提供する自動販売機でのMyAccessサービスの仕組み(出典:CSC)

IoTとM2Mは何が違うのか?

 では、M2Mは、同じように物をつなぐIoT(Internet of Things)とどう違うのか。ITU-Tに設置されたIoT-GSIによれば、「Things(モノ)」は物理的なものにとらわれず、バーチャルなもの(コンテンツなど)を含む点がM2Mとの違いだとされる。そのため、M2MはIoTのサブセットといえる。

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