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  • 2019/07/31 掲載

「絶対に完成しない」サブスク、それでも現場にやる気を出させる方法

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ビジネスと技術の両方を見て、課題解決し、事業成長を実現させるプロダクトマネージャーというポストが急増している。しかし、彼ら、彼女らはその華々しさとは裏腹に「雑な要望、雑な現場」で泥まみれとなる。これが最も顕著に現れるのがSaaSのようなサブスクリプション(定期購入)型サービスだ。良くも悪くも「製品が完成しない」わけだが、現場の誰もが元気に、やりがいをもって成長させることはできないのか。
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プロダクトマネージャーの下にはさまざまな声が届くが、対応しきれるのか? どうすればよいのか?
(Photo/Getty Images)

プロダクトマネージャーは仕事を丸投げされる

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 以前は、企業の情報システム基盤といえば、大きな初期投資によって構築されるものであり、資産として計上されたのち、毎月、減価償却されていくものであった。個人利用のソフトウェアにおいても、マイクロソフトのOfficeなり、アドビのPhotoShopなり、OSのバージョンに紐づいたソフトウェアパッケージがあって、耐用年数が過ぎるとハードウェアとともに買い替えるというのが当たり前だった。

 一方で、いまどきのSaaSをはじめとするクラウドサービスは、利用したい期間に応じて、定額で利用するものであり、原理的には、5年経とうが10年経とうが、ユーザーは同じコストを負担し続けることが前提となっている。

 一概にどちらが優れているとは言い切れるものではないが、おおざっぱにいえば、従来型の売り切り、買い切りモデルからサブスクリプション型への移行は、買い手にとって、初期投資を抑えて、ビジネスリスクの低減につながる。ユーザーは低コストで利用を始めることができ、ベンダーはスモールステップで投資と回収を繰り返し、徐々に機能拡張、拡販を進められる。

 この「現在のリスクを最小化する」という発想は、多くのアイデアや開発者にチャンスを与えた。しかしその陰で、「永遠の半製品」であるサブスクリプション型SaaSを実現するプロダクトマネージャーに、困難な仕事は丸投げされることになった。

遅々として進まない開発、コスト対効果の見えない疑心暗鬼

 サブスクリプション型SaaSの追加開発においては、非常に知的負荷の高い意思決定が求められる。既存顧客からの要望にこたえるのも大事だが、今後取りにいきたいマーケットのことを考えると、別の開発テーマも捨てきれない。外部環境をにらみつつ、内部的な、技術的、あるいはリソース上の制約も見なければならない。総合的に諸般の事情を鑑みたうえで、やれること、やるべきことを見出していかなければならない。

 技術に明るくない経営者や営業部門からすると、これは極めてストレスフルな状況だ。経営ビジョンの達成のため、今すぐにでも実現したい企画は山ほどある。しかしそれが、遅々として進まない。そして、その理由がよくわからない。

 検討を依頼して、はじき出される納期やコストが、思った数字の2倍、3倍になることは当たり前。開発側は、本当に経営状況を理解したうえで、考えてくれているのか。自己満足でオーバースペックな開発をしようとしていないか。低コストでの実現ができないなんて、そもそも怠慢ではないか。

 「ビジョン&ミッションに共感してくれて、技術にも経営にも明るくて、拡大機会を見逃さずにビジネスを成長させてくれる、夢のような人材がいたら、すべての責任を任せて、好きなように仕事をやってもらって構わないのに」と、そんな夢想にふけったことのある経営者は、実に多いことだろう。しかしそれは、都合の良い要望だ。権限移譲をするといえば聞こえがよいが、丸投げとどう違うのか、微妙なところでもある。

みんな「自分の要望が通らない」という不幸

 開発者とは、経営者の言うことだけを聞いていればよいというわけではない。彼または彼女のもとには、関連するすべての部門から、ありとあらゆるリクエストが届けられる。

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SaaSプロダクトマネージャーつきつけられる「さまざまな要望」

 どんなに一生懸命やっても、そう簡単にものづくりは進まない。ビジネスが拡大し、関連部門が増えれば増えるほど、開発の複雑さは増大していく。立ち上がりの頃と拡大期では、投下する工数と実現する価値の比率、取れ高は雲泥の差なのだ。あの頃は、製販一体になって、世界を変えるために夢を追いかけていた。営業も開発も、連日徹夜したこともあったが、大きな結果につながった。今となってはいい思い出だ。

 それがいまはどうか。たしかに顧客基盤は拡大したが、関係部門の誰もが「自分の要望が一向に通らない」と不満を抱き、誰ひとりとして幸せになれない・・・。

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