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  • 2008/10/14 掲載

ASP・SaaSは中堅・中小企業の命運を分ける重要ツール--ASPIC 会長 河合輝欣氏

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ASP・SaaSインダストリ・コンソーシアム(以下、ASPIC)は、ASP・SaaSの市場創生、普及啓発に向けた活動を行うNPO法人だ。現在、加盟企業は約180社に上る。同法人は、ユーザー、事業者、事業者への供給者、政府・地方自治体への具体的な提言を行うとともに、情報提供・公開・共有、ビジネス支援、政策・制度立案支援、コンサルティング受託という4つの柱を中心に、健全なASP・SaaS市場を形成すべく活動を推進している。ASPIC会長の河合氏に同法人の狙いや具体的な活動内容、ASP・SaaSの展望などについて伺った。

健全なASP・SaaS市場を
形成する認定制度の役割

河合輝欣氏

特定非営利活動法人
ASP・SaaS
インダストリ・コンソーシアム会長
河合輝欣氏

このインタビューの動画を見る

─―ASP・SaaSの利用環境が整ってきましたが、予測される今後の市場規模について教えてください。

 2010年には市場規模が1.5兆円ぐらいになると想定していましたが、最近リサーチをかけた結果、2012年までに2兆円規模に成長すると予測しています(図1)。このうち半分がデータセンター、残りの半分がサービスで占められることになります。実ユーザー数は具体的な数値としては把握していないものの、サービスを提供する事業者数は数年前の600社前後から現在1000社以上に増えており、事業者サイドから見ても、明らかに市場が活性化していることが分かります。

─―健全な市場形成とは、具体的にどのような市場であるとお考えですか?

 ASP・SaaS市場が盛り上がっている中で、ユーザーは事業者にさまざまなデータを預けることになります。そこでセキュリティ対策なども含めて、ASP・SaaSを安心できるものとして発展させていく必要があると考えているわけです。もし何か重大な事故が起きると、業界全体に水を差すことになりかねないからです。我々は、このように健全な市場を形成するために、「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」の推進が重要であると考え、事業者がどのようなサービス内容を扱い、どのようなセキュリティレベルで事業を行っているのか、ユーザーにとって分かりやすい統一フォーマットで比較できるような情報開示指針を総務省とASPICが合同で設立したASP・SaaS普及促進協議会で検討し、その認定制度ができました。

─―認定制度の具体的な内容と基本的な考え方について教えてください。

 この認定制度は財団法人マルチメディア振興センターが認定機関となり、2008年4月からスタートしました。月に平均10前後のサービスが認定されており、現在のところ26のサービスが認定マークを受けています。ASP・SaaSを提供する事業者は、認定を受けることで企業の認知度が高まり、ユーザー獲得の機会が広がるというメリットがあります。

 特に中小企業のASP・SaaS事業者は、この認定を受けることでネームバリューも上がるため、事業を大きく伸ばせるでしょう。審査料も1件あたり10万円と安く、中小企業規模でも対応できるようになっています。審査項目はSLA(ServiceLevel Agreement)を含んでおり、新規事業者がASP・SaaSを始める際に具体的にどのようなことをすればよいのか、基準や指針となるものを公開していただいています。たとえば、事業者側の財務内容、セキュリティ、コンプライアンス、サービス内容、課金体系、サポートなど約70個の必須項目がチェックされます。この制度を利用しなくとも自社のサービスをチェックする規準としても参考になるでしょう。

─―サービスを利用するユーザーにとって、認定制度はどのような恩恵がありますか?

 前述のことがそのままユーザーにとっての恩恵につながります。まず、サービスの開示情報が豊富になることが挙げられます。情報開示項目が共通化されることで、サービスや事業者の比較・評価・選択が容易に行えるようになります。ASP・SaaSを利用したいユーザーにとって、SLAのチェックポイントを明確にすることができるわけです。さらに社会全体として、ASP・SaaSを普及・定着させて、信頼性の高い社会基盤を形成するという意義もあります。これらの認定はマルチメディア振興センターが認定機関となって行い、我々ASPICは認定事務を受託しています。

─―基幹系など重要なサービスが急に止められると大変です。このような項目も認定制度に含まれていますか?

 認定制度の中には事業継続性に関する項目もあります。もしサービスが終了してしまった場合に、適切な代替手段があるのかどうかということも重要です。認定制度で公開されたデータをみれば、代替手段があるのかどうかも分かりますし、いつサービスの終了が告知されるのか、といった情報も把握できます。中には代替手段がない事業者もありますから、重要な基幹系サービスを導入する場合には、このような点もユーザー側で把握して導入する必要があると思います。

図1 ASP・SaaS関連市場規模予測




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