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  • 2008/08/28 掲載

SaaS普及の先に待つITプレイヤーたちの変革--IDC Japan 赤城知子氏

キーパーソンが語る「SaaS」の未来とその可能性

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オンデマンドサービスの普及は大きな潮流となり、エンドユーザーや企業のIS部門(情報システム部門)、ITベンダーやSIer(システムインテグレータ)といったITを取り巻くプレイヤーに大きな変革を促そうとしている。SaaS普及の現状とそこから見える未来像を、IDC Japanの赤城知子氏に伺った。
実用期に差し掛かるSaaS
2010年頃から本格的に普及

赤城知子氏

IDC Japan
ソフトウェア グループマネージャー
赤城知子氏

国内調査会社の事業部長兼シニアITアナリストを経て現職。現在、ソフトウェアグループを統括するほか、エンタープライズアプリケーション分野全般を担当し、特にERPとSCMを専門とした調査に携わる。

──まず最初に、SaaSが置かれている現在のポジショニングをどのように考えていらっしゃるか、お話しいただけますか?

 2008年3月にユーザー企業向けの調査を実施したのですが、ASP/SaaSの利用率は2007年9月の調査から0.8ポイント上昇し、6.8%となりました。従業員が1000名以上の大企業に限定すれば10.5%となり、やっと1割を超えたという状況です。

 利用率が高いのは給与計算など、経理や人事を扱うASPサービスです。旧来のASP型ではあっても、ユーザー側である程度のカスタマイズができるSaaS型のサービスも出てきています。同じ調査で、SaaSの認知度は41%でした。これまでの調査結果から見ても、認知度はかなり急なカーブを描いて上昇を続けています。認知度が向上すれば利用率も上がるとみられ、2009年から2010年にかけて利用率は16%程度にまで上昇するだろうと考えています。利用率が16%を超えると一気に普及の速度が高まるというマーケティングのデータもありますので、それに沿うのであれば2010年頃から一気に利用拡大が進むことになるでしょう。

──これから数年でSaaSがそこまで普及すると考える根拠はどういった部分にあるのでしょうか?

 最近、ITベンダーの方々がプレスリリースなどで「エクスペリエンス」という単語をよく使っています。Web寄りのものに限らず、SOAやBPM(注1)などインフラ寄りのものを説明する際にも使っています。しかし、ITのサービス化がもたらす新しいエクスペリエンスは、エンドユーザーにはまだ蓄積されていません。それどころか、ベンダーやSIerの方々にさえそのエクスペリエンスは蓄積されていない状態です。経験したことのない人が経験したことのないユーザーに向けてエクスペリエンスを訴求しても、導入に結びつけていくのは難しいでしょう。それがSOAやBPMがなかなか広まっていかない理由の1つだと思います。

 それに対して、SaaSの場合は導入への敷居が低いという特徴があります。初期投資が低く、サービスによっては無料で利用開始できるものさえあります。IS部門を中心に企業として利用するのとは別に、企業内個人やビジネスユニットの単位で利用するという2つの形態で利用が始まっています。SOAやBPMとは違い、エクスペリエンスの蓄積が速く、しかもIS部門の担当者や、IS部門だけを対象にビジネスを展開するITベンダーの方が知らないところで、エンドユーザーが事前に高いエクスペリエンスを獲得してしまう状況です。この傾向は、この先一層拍車がかかることでしょう。


(注1)SOAやBPM
SOAとは、企業システムをネットワーク上で相互に連携させるアーキテクチャのこと。BPMとは、継続的にビジネスプロセスを改善していくための手法/ツールのこと。

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