- 会員限定
- 2019/05/09 掲載
製造業のデータ流通「CIOF」とは? 4つのフェーズで「つなぐ」を実現する--IVI 西岡氏
IVIシンポジウム2019 -Spring- レポート
東芝デジタルソリューションズ ICTソリューション事業部 担当部長
東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター 参事
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げやマーケティングに携わり、現在はインダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の編集長をつとめる。2015年よりインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)正会員となり、教育普及委員会副委員長、エバンジェリストなどをつとめる。その他、複数の団体で委員などをつとめている。主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』『デジタルファースト・ソサエティ』(いずれも共著)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。
前回の記事はこちら
スマートなものづくりを実現する「スマート・シンキング」とは
第4次産業革命の時代は、企業が新たなビジネスモデルへの転換、モノづくりからコトづくり、サービス化などに進んでいかなければ生き残れなくなる一方で、逆に新たなビジネスチャンスに満ちているともいえます。こういった時代に生き残るためには、組織がマインドセット、価値観を変えていかなければいけません。必要とされるのは個々人のスマートな思考であり、それによりスマートな組織が実現されます。
ディープラーニングなどを中核とする人工知能(AI)が、人の認識能力(音声認識、画像認識など)をサポートすることで人の能力が向上し、その結果、個人の集合である組織知の向上が促されるのです。
そうして製造業においてAIなどにより向上された「組織知」によってもたらされるのが、スマートなものづくりのシステムです。このシステムはゼロからつくられるのではなく、現行の仕組みの改変や組み換えを行いながら進化します。
スマートなものづくりには、ものづくりの各現場がスマート・シンキングを行い、その組織知を外部組織と連携・活用することが必要です。
スマート・シンキングとは、問題発見、問題解決、システム開発などの過程で得られる知見を共有し、相互につながりを深めることで、より効率的で効果的あるいは創発的な知の生産を行う思考プロセスです。
その実現のために、IVIの提唱する「ゆるやかな標準」をベースとしたリファレンス・アーキテクチャー「IVRA(Industrial Value Chain Reference Architecture)」のものづくりの基本単位である、スマートものづくり単位(SMU:Smart Manufacturing Unit)を用いてスマート・シンキングを行うことが有効です。
組織知を外部組織と連携する際には、自らの組織の内部と外部の境界を定義することと、組織の内部のコントロールの仕方、外部との連携の仕方についての検討が必要になります。この中で外部との連携が特に重要になります。
IVIが提唱するボトムアップなデジタル化の実装手法「IVIM」
スマート・シンキングのプロセスに則り、つながる工場・つながる現場(コネクテッド・マニュファクチャリング)を製造業において具現化するための、現場視点に立ったボトムアップなシステム構築手法としてIVIが提唱するのが、「IVIM(Industrial Value Chain Implementation Method)」です。IVIMでは、16種類のチャートを用い、問題・課題の表記方法を定義するとともに、表記された内容を解決するための手段を示します。問題発見からシステム開発のための実装要件に至るまで、一貫した様式の表記方法を用いることで、エンドユーザーにも活用しやすい方法論を目指しています。この16のチャートの間にはつながりがあり、各チャートの要素はほかのチャートでも利用できることがその特徴です。
IVIMのポイントは、現実の業務の仕組みと切り離すことなく、製造業の現在の業務システムに課題解決のための仕組みを組み込んでいくことにあります。
その中で個別のベンダーがすでに保持しているプラットフォームやコンポーネントとのマッチング、導入のためのインテグレーションなども必要となることから、その手法についても言及しています。
【次ページ】製造業のデータ流通のための「CIOF」とは?
関連タグ
PR
PR
PR