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- 2018/09/04 掲載
人工知能の軍事利用で米国が大揺れ、グーグル従業員も「NO」の顛末
国防省がAI研究センターの設立を発表
その後7月11日にはシリコンバレーで設立へ向けてのミーティングが開かれた。センターそのものはJAIC (Joint Artificial Intelligence Center)と名付けられ、その名の通り国防省だけではなく広く業界の頭脳、アイデアを募り一本化していくことが目的だ。
シリコンバレーでのミーティングでDIUのマシン・ラーニング部門の長であるフレンダン・マッコード氏は「我々はコンピュータに何が出来るのかについての大きな変動の中にいる。こうした時期にAI研究センターを設立することには大きな意義がある」と語った。
またAIは国防にとって「軍備の管理、環境への影響、人材教育、ネットワーク防衛、軍関係のオフィス業務の効率化、人道支援、災害救助など、あらゆる分野で役立つものになる」という考えも表明した。
JAICが求める4つのこと
現在のところJAICには4つの大きなテーマがある。具体的には以下の通りだ。1.テクノロジーを意思決定に結び付けること
すなわち机上の空論ではなく実際的な結果をAIシミュレーションを用いることで迅速に予測すること。さらには国防職員、軍関係者などの「エンドユーザー」が技術を広く共有し、企業のようなアプローチで技術拡散、職員の教育を広げること。
2. 国防省のパートナーシップに広がりを持たせること
AI開発には企業、大学、同盟国などとの密接なコミュニケーションが不可欠となる。これにより伝統的あるいは非伝統的なアプローチが可能になり、JAICで得られた成果をパートナーにも還元できる。
3. AIに関する優れた才能の発掘と求心力の醸成
JAICはターゲットとなる目的に応じた「ワールドクラスの才能」を求めている。AI技術者だけではなくソフトウェア・エンジニア、プロダクト・マネージャーなどからなるチームを結成し、倫理や人道的な問題、さらには短期・長期のAIの安全性についての協議も行なっていく。
4. 国家安全戦略との提携
現在の国家安全戦略と協調し、軍の基本路線である平和の維持、国家防衛、世界情勢の安定化に向けての努力にAIの分野から貢献する。究極の目標として、AIをこれらの目的達成のためのステップの一環に位置付ける。
【次ページ】なぜグーグルの従業員はAI技術のペンタゴン提供を拒むのか?
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