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- 2025/01/16 掲載
AIエージェント分野でもメタが存在感、「Llama Stack」が与える強烈インパクト
AIエージェント分野、主要企業が次々と参入
2025年は「AIエージェント元年」となる公算が高い。ガートナーは、2025年にAIエージェントが大きく普及し始めると予測、AIエージェントを2025年における戦略的テクノロジートレンドの1つに位置付けた。ガートナーのディスティングイッシュトVPアナリストであるジーン・アルバレス氏はVentureBeatの取材で、AIエージェントは、企業活動におけるモニタリング業務などで大きな効果を発揮すると指摘している。
こうしたAIエージェント分野に、主要IT企業が相次いで参入している。マイクロソフトは2024年10月、翌月からAIエージェントを公開プレビューとして提供開始すると発表。ビジネス顧客は、Copilot Studioを通じて、独自のAIエージェントを構築できるようになる。
サプライチェーン管理や経費追跡、顧客コミュニケーションなど、ルーティンタスクをカバーする10種類のエージェントが提供される予定だ。
一方、アンソロピックもほぼ同じタイミングでAIエージェントの新機能を発表。同社は、ClaudeファミリーにコンピューターのGUI操作機能を追加、マウスとキーボードを使って複雑なタスクを実行できるようにした。アンソロピックのCPOであるマイク・クリーガー氏は、コピー&ペーストに費やしていた時間を他の活動に振り向けられるようになると説明する。
アンソロピックのCSO、ジャレッド・カプラン氏によると、同社は年初からこの開発に取り組んできたという。新機能は、2025年第1四半期までにすべての顧客に提供される予定で、航空券の予約やフォームの入力、オンラインリサーチ、経費報告書の作成など、さまざまなタスクに対応する。
AIエージェントの普及は、企業内における意思決定プロセスも大きく変える可能性がある。ガートナーは、2028年までに日常的な業務決定の15%がAIエージェントによって自律的に行われるようになると予測、これは2024年の0%からの飛躍的な増加となる。また、エンタープライズソフトウェアにおけるAIエージェントの利用率も2024年の1%から、2028年には33%に大幅アップする見込みだ。
メタのLlama Stackとは?
これまでオープンソースモデル開発に注力してきたメタもAIエージェント分野で存在感を示したい考えだ。同社が2024年9月末に公開した「Llama Stack」に同社の狙いを見て取ることができる。Llama Stackは、モデルのカスタマイズとデプロイメントを簡素化するための包括的なツールセットで、多様な計算環境に対応するAPI群。メタのCPOであるクリス・コックス氏は、これまでのLlama関連の取り組みでは最新鋭モデルの開発に主眼を置いていたのに対し、Llama Stackは開発者のニーズに応えることを重視した取り組みと説明する。開発者からは、バッチ推論やデータ合成、モデル圧縮、評価など、同じ作業を繰り返し行う必要があるという不満の声が上がっていたという。
特に注目すべきは、Llama Stackが「エージェンティック・アプリケーション」の開発に重きを置いている点だ。Llama Stack上で構築されるアプリケーションは、タスクを分解して多段階の推論を行い、検索やコードインタープリターなどの組み込みツールを使用することができる。また、文脈内で未見のツール定義を学習し、それらを呼び出すことも可能となる。
Llama Stackは、開発者がLlamaモデルを使用してアプリケーションを構築する際に必要となる標準化されたAPI群を提供する。具体的には、推論、セーフティ、メモリ、エージェントシステム、評価、ポストトレーニング、合成データ生成、報酬スコアリングなどのAPIを備えており、それぞれがREST APIエンドポイントのコレクションとして実装されている。
メタとデルの両社がこのAPIをスタックの最上位に位置付けている点からも、その重要性がうかがえる。
メタの生成AI部門のVPであるプラシャント・ラタンチャンダニ氏は、開発者が現在直面している複数のビルディングブロックの選択と統合という課題に対し、Llama Stackがモデルトレーニングからファインチューニング、評価、そしてアプリのビルドとデプロイまでを1つのパッケージにまとめ上げたと説明する。これにより、独立したAIツールとLLMを個別に選択・統合する必要がなくなり、すべての選択がLlama Stack内で完結する。 【次ページ】AWS、MS、オラクルら大手クラウドベンダーと連携
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