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デジタルトランスフォーメーション(DX)を支えるため、エンタープライズインフラに抜本的な変革が求められている。重要なポイントは支出モデルが多様化していることだ。IDC Japanの森山正秋氏が、Software-Definedやコンバージェンスの進展、NVMe over Fabricsやアクセラレーテッドコンピューティングに代表される最新テクノロジーの台頭などの動向を示しつつ、今後のエンタープライズインフラの在り方を提言した。
エンタープライズインフラ支出モデルが多様化
以下はIDC Japanが示しているデジタルトランスフォーメーション(DX)の定義だ。
外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変化をけん引し、クラウド、モビリティ、ビッグデータアナリティクス、ソーシャル技術など「第3のプラットフォーム」を活用。新しい製品やサービス、ビジネスモデルを通してネットとリアルの両面でのカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の変革を図り、価値を創出して競争優位性を確保する。
「IDC Enterprise Infrastructure Vision Japan 2018」に登壇したエンタープライズインフラストラクチャ/PCsグループディレクターの森山正秋氏は、国内企業においてもこのDXへの取り組みが加速していると語る。同社の調査によれば、何らかの施策を実施している企業と試験的に実施している企業を合わせると、すでに全体の70%近くに達する勢いだという。
ただ、こうした“盛り上がり”を見せているにもかかわらず、各社のエンタープライズインフラへの投資は拡大していない。むしろ毎年マイナス2.3%の漸減傾向が続いているのが実情だ。その理由とは何だろうか。「DXへの取り組みはITインフラへの取り組みを変化させる。重要なのは、各社の支出パターンが大きく変わっていること」と森山氏は強調した。
DXのプロジェクトは、試行錯誤を繰り返しながら成功事例を見つけて育てていくアジャイル開発の思想に基づいて行われる。したがって、それを支えるエンタープライズインフラには「俊敏性、柔軟性、拡張性」「スモールスタートが可能」「構築の迅速性」「運用の容易性」「コストの抑制」といった条件が求められる。これにより支出モデルの多様化が進んでいく。
さらに森山氏が「もう一つの大きな潮流」として示したのが「データ基盤としてのエンタープライズインフラの進化」である。
「DXをけん引していく鍵となるのはデータ資源であり、その適切な管理が求められる。また、既存ワークロードの高速化とともにリアルタイム処理や分析が必要な新規ワークロードも増加しており、従来型のインフラではそれ自体がボトルネックとなってしまい対応できない。そこで新テクノロジーへの本格的な移行が始まる」(森山氏)
CAPEXモデルからOPEXモデルへのシフトが加速
エンタープライズインフラの支出モデルは、具体的にどのように多様化しているのだろうか。森山氏が挙げたのは、次の5つのモデルである。
1つ目が
「アプライアンス」 。従来は専用ソフトウェアと専用ハードウェアを密結合させたタイプが主流だったが、近年はSoftware-Defined技術とコモディティハードウェアを組み合わせたSoftware-Defined型アプライアンスが需要を伸ばしている。
2つ目が
「ソフトウェアオンリー」 。Software-Definedのソフトウェアのみがユーザー(またはSIベンダーなど)がコモディティハードウェアに実装してインフラを構築する。
3つ目が
「コンバージドインフラ」 。既存のサーバやストレージ、ネットワークを事前検証してパッケージ化したものだ。
4つ目が
「ハイパーコンバージドインフラ」 。コモディティハードウェア上でコンピュートとストレージ仮想化の機能を提供する。
5つ目が
「サービスベースド」 。クラウドなどのデータセンターサービスが代表的だが、近年ではオンプレミスに設置したインフラによる「非クラウド型の従量課金制サービス」も登場している。
上記のモデルを大きく分けると「アプライアンス」「ソフトウェアオンリー」「コンバージドインフラ」「ハイパーコンバージドインフラ」までがCAPEX(資本的支出)モデルであり、最後の「サービスベースド」がOPEX(運用支出)モデルとなる。
「このように支出モデルが多様化していることは、ユーザー企業にとって自社のアプリケーションやワークロードに即した選択肢が広がったことを意味する。特にDXの推進はOPEXモデル志向を高めており、今後の国内エンタープライズインフラ市場においても、プライベートクラウドサービスやパブリッククラウドサービスはいうまでもなく、オンプレミスでの従量課金制サービスの利用が大きく拡大していくと見ている」(森山氏)
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