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  • 2024/08/27 掲載

3割超の企業がやっている…生成AIのアプリ開発、新時代の当たり前とは?

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アプリケーション開発のさまざまなプロセスにおいてAI活用が広がっている。生成AIを活用したアプリケーション開発に取り組んでいる国内企業は、約3割。また、AIを活用したレガシーモダナイゼーションへの企業の期待値は高いという。IDC Japan Software & Services リサーチマネージャーの木村 伸一氏が、現在の状況を分析、AIがもたらす「アプリケーションの変化」と「開発(環境/プロセス/人)の変化」を予測し、企業が採るべきアクションを提言する。
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図1:生成AIを活用したアプリケーションの開発状況(後ほど解説します)
(出典:IDC提供)
本記事は2024年6月21日に開催されたIDC Directions Japan「AI Everywhere」がもたらすデジタルビジネスの加速の講演内容をもとに再構成したものです

生成AIのアプリケーション開発を進める企業はすでに3割超

 AIの急速な革新を背景に、アプリケーション設計やUIデザイン、コード生成、テスト自動化、セキュリティなど、アプリケーションにまつわる多様な領域でAIの利用が広がっている。IDC Japan Software & Services リサーチマネージャーの木村 伸一氏は次のように指摘する。

「AIの利用が広がることで、今、2つの大きな変化が起こっています。それが、開発する『アプリケーションの変化』と、『開発(環境/プロセス/人)の変化』です」(木村氏)

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IDC Japan Software & Services
リサーチマネージャー
木村 伸一氏

 IDCはまず前者について、次のような近未来を予測する。

27年までに新たに開発されるアプリケーションの40%がインテリジェントアプリケーションとなり、開発者はAIを組み込んで既存のエキスペリエンスを強化し、新しいユースケースを形成するようになる。

 従来のアプリケーションはユーザーのリクエストに対し、既存のデータと事前策定されたプロセスによって処理を実施する。対してインテリジェントアプリケーションではユーザーとリクエストの双方のコンテキスト、言い換えればリクエストを発した経緯までAI/機械学習モデルにより把握し、動的に最適な処理を見極め、データを生成して応答する点で大きく異なる。

 生成AIに対するユーザーの期待は、極めて高い水準を維持し続けている。IDCが24年5月、国内企業500社に実施した調査では、「生成AIを活用したアプリケーション開発に取り組み、すでに本番稼働させている」との回答が全体の11.3%を占め、「試験運用/PoCの段階(20.8%)」「開発に向けて計画/検討している(14.0%)との回答を合わせれば過半まで後1歩だ(図1)。

 一方、「計画/検討はしていないが、生成AIを活用したサービスを利用している(13.4%)との回答も1割を超えた。「未定/分からない(21.7%)」「計画/検討しておらず、生成AIを利用したサービスも利用していない(18.8%)」など、生成AIのアプリケーション活用に後ろ向きな企業はすでに少数派である。

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図1:生成AIを活用したアプリケーションの開発を行っていない企業は少数派
(出典:IDC提供)

AIの稼働基盤はクラウドが“当たり前”に

 生成AIを活用したアプリケーションは稼働環境がクラウドであることが大半だ。IDCの調査によれば、新規アプリケーションの開発と既存アプリケーションの改修の両ケースとも、稼働基盤にはクラウド環境が圧倒的に支持され、オンプレミスは全体の15%にとどまる。

 背景として木村氏が指摘するのが、開発の変化の1つである、AI/生成AI開発プラットフォームの進化だ。マイクロソフトが生成AI開発プラットフォーム「Azure OpenAI Service」の一般提供を開始したのは23年1月。

 以来、大手クラウドベンダー各社が同領域に相次ぎ参入し、基礎モデルや強化学習/ファインチューニング、データストア/ベクトル検索エンジン、AIワークロード専用のコンピュートリソースなど、AIを活用したアプリケーション開発に必要となる技術スタック全般をマネージドサービスとして提供している。

「今後、急拡大が見込まれるAIを組み込んだアプリケーションの開発需要を取り込むため、パブリッククラウドの市場では、AI開発プラットフォームという新たな競争軸が浮上しています」(木村氏)

 LLMをはじめとした基盤モデルは現在も性能向上が続いている。また、それらのモデルは、商用のクローズドモデルとオープンソースのモデル、汎用モデルとドメイン特化型のモデル、海外ベンダーのモデルと国産モデルなど多様化している。利用する企業には多くの選択肢が与えられている一方で、最適なモデルの見極めが必要となる。

「企業が、アプリケーションやデジタルソリューションにAIを活用する目的は、あくまでビジネスの目標達成のためにあるので、これらモデルの性能差や種類がビジネス上のアウトカムに大きく影響しない限り、モデルの選択や追従にそれほど囚われる必要はないかもしれません。

 一方で、利用する企業としては、自社のアプリケーションやデジタルソリューションをこれらモデルの変化に柔軟に対応できるようにしておくことも重要です。

 そういった意味で、AIを活用したインテリジェントアプリケーションの開発では、コンテナやマイクロサービスなど、クラウドネイティブ技術の採用が適していると考えます」(木村氏)

 なお、コンテナやKubernetesをはじめとしたクラウドネイティブ技術は、利用者の急激な増加に対応する拡張性や、頻繁な機能のアップデートに対応する柔軟性が求められるアプリケーションやデジタルソリューションで利用されることが多い。現状は、大規模な消費者、企業向けのデジタルサービスを提供する大企業や、デジタルネイティブ企業を中心として導入が進んでいる状況にあるという。

 さらに、開発側の変化として、すでにいくつもの開発ツールに生成AIが取り込まれ、コードの自動生成などが本格化しつつある。 【次ページ】AIエージェントが一連の開発タスクを自律化

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