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日本でも2月にWeWorkが上陸し、コワーキングスペースが注目を集め、利用も珍しくなくなってきた。インドでもモディ政権発足以来、スタートアップ企業があらゆる分野で台頭し、新世代のワークスタイルである「コワーキング」が、ビジネスのトレンドの1つとなっている。急成長を見せるインドのコワーキング事情について、現地より実態を報告する。
エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー、大塚賢二
エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー、大塚賢二
ガガン・パラシャー
IILM卒。財務分析、投資コンサルティング、ビジネス調査の経験を経てBig4系列で法人事業コンサルティングに従事。その後X-Ciel Consulting Pvt. Ltd.を立ち上げ、エクシール・エフ・エー・コンサルティングに参画。インド北部ノイダで活躍中の気鋭のコンサルタント。
大塚賢二
東京大学法学部卒。金融機関、Big4系列コンサルティングファーム勤務等を経て現在、株式会社ファルチザンの代表を務める。中小企業の海外進出、金融機関の経営管理・内部統制の支援に注力。エクシール・エフ・エー・コンサルティングではガガン・パラシャーとともに中小、ベンチャー企業のアジア進出を支援。
オフィスはいらない、でもオフィスが欲しい
コワーキングは、インド国内の投資家、サービス提供者、サービス利用者に関わらず、小規模ビジネスで広く活用されるようになってきている。
小規模ビジネスの場合、旧来型の社屋では費用がかさんでしまうが、こうしたコワーキングスペースを利用することでコスト面の恩恵を受けるばかりか、コンパクトで快適な職場を実現することだってできる。
ほんの数年前までは、インターネットが不便でも物理的に便利な場所であれば、それで価値があるとされた。しかし、今や事情は変わった。企業にとって、インターネットを利用する必要はあるけれども、物理的なオフィスは必須ではない。物理的なオフィスがなくとも、億万長者になることができるのだ。
コワーキングのコンセプトは、ニーズがあって生まれた。自助精神旺盛なスタートアップ企業や個人事業者の多くにとって、オフィスの場所にリソースをかけるのは無意味であるというのが定説だ。特に、自宅やカフェにいながらにしてインターネットでほとんど何でもできてしまう場合には、なおさらだ。そのうえ、ムンバイや首都圏のような一等地では、不動産コストが莫大だ。
しかし、オフィスを構えることで、仕事をするのに重要な規則正しさが身につき、同僚や顧客と面と向かってやり取りができるようになるというのも事実だ。もっとも、技術が進歩した現在では、そうした規則正しさが身につくこともまれになってきてはいるが。
自宅/カフェとオフィスのいいとこ取り?
コワーキングスペースは、自宅/カフェとオフィスのいいとこ取りを実現する働き方のカタチの1つだ。
最大のメリットはコスト面だ。旧来型のオフィスに必要な月々の家賃、契約時の保証金、机やイスの購入代金、プリンタなどの機器にかかる費用、ネット接続料金、光熱費といった諸コストが、まったくかからないかずっと低額で済む。
こうした自宅/カフェで仕事をするのと同様のメリットと同時にオフィスの利点も兼ね備える。会議室や打ち合わせスペースを併設している場合は、来客や商談にも便利だ。自宅/カフェと違った環境で仕事をすることでメリハリがつき生産性の上昇も見込める。企業、ビジネスパーソン、コンサルタントにとっては、都合に合わせてしたいことをする柔軟性が実現する。今では、何日間、何カ月間でも希望する期間にわたってオフィススペースを借りることは、珍しくなくなっている。
インドでは最近、スタートアップ企業への関心が高まっており、ビジネスに関し先見の明のある若者はますます、割安なオフィススペースを利用しようとコワーキングスペースに注目している。
コワーキングスペースでは、Wi-Fi、ファックス、会議室、厨房、休憩エリアが揃っているうえ、新規に加入した企業は、スタートアップ企業とリアルに接触する機会が得られる。コワーキングスペース業界のこのところの活況ぶりは、しばらく続くものと思われる。
【次ページ】コワーキング業界に立ちはだかる壁とは?
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