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日本の安倍晋三首相とインドのナレンドラ・モディ首相は、この数年間、両国関係を急速に強化してきた。両国それぞれの思惑と、関係強化によって得られるメリットとは何か。インドの高速鉄道計画、直接投資額の推移などから読み解いていく。
執筆:エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー、大塚賢二
深まる安倍首相・モディ首相の関係
2014年9月、モディ首相は公式に訪日し、安倍首相との首脳会談で「特別な戦略的パートナーシップ」を宣言した。
次いで2015年12月には安倍首相がインドを公式訪問し、両首相による会談が実現。共同声明「日印ヴィジョン2025 特別な戦略的グローバル・パートナーシップ インド太平洋地域と世界の平和と繁栄のための協働」へと結実した。
この共同声明によれば、「特別な戦略的パートナーシップ」は、両国の長きに亘る政治的、経済的、戦略的目標の広範な収束を反映した「深淵かつ広範な行動指向のパートナーシップ」に移行したとされた。
この2015年12月会談の画期的な成果は、インドが
ムンバイ・アーメダバード間の高速鉄道計画に日本の新幹線を採用することに合意したという点だ。このプロジェクトは、2023年までに完了することになっている。
現在の両国関係は、これまでになく緊密なものとなっている。マンモハン・シン前インド首相が政権の座にあった時代には信じられなかったほどだと言ってよいであろう。
データで見る日印関係:直接投資額
ここで、2001年以降の日本企業のインドへの直接投資額を見てみよう。
2001年度の1億5,000万ドルから2008年度には55億ドルへと上昇した。これは第一三共グループによるインドの大手製薬会社ランバクシー社の買収という要因が大きかった。
その後は減少傾向をたどり、モディ首相就任直前の2013年度時点では約17億1,000万ドルであった。しかし、モディ政権後は著しい増加を見せ、在日インド大使館のデータによれば、2016年度末における日本からインドへの直接投資額は、前年比で80%増の約47憶ドルに達した。
インドに進出する日本企業の数も近年増えている。2016年10月時点においてインドで登記されている日本企業は1,305社で、2015年から76社(6%)増加した。これらの企業はインド国内に4,590か所の事業所を設置していたが、これは2015年比173か所(3%)の増加であった。
なお、在インド日本国大使館及びJETROが最近公表したばかりの2017年10月現在の日本企業数は1,369社 であり、前年比で約5%増加している。
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