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インドは高額紙幣廃止と税制改革という二重のインパクトから回復し、将来の成長がますます有望視される。日用品産業、耐久消費財産業も例外ではなく、2018年は再び成長基調に乗っている。特に家電市場は、将来性を見込んで参入する日本勢など海外のブランドやそれを迎え撃つ国内ブランドの商品がしのぎを削っている。今回は、インド国民の生活ぶり、所得水準の今後を占う切り口として、家電や電子機器などの耐久消費財にフォーカスを当てる。
執筆:エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー、大塚賢二
インドの「グローバル消費者信頼感指数」は世界トップクラス
インドでは、2017年7月に導入された
物品・サービス税(GST)に合わせたプロセス整備も峠を越え、日用品・耐久消費財を扱う企業は、需要や消費意欲の回復とともに経済成長を実感している。2017年にいったん落ち込んだ売り上げや利益も再び上昇軌道をたどるものと思われる。
インドの消費者市場は都市部と地部に分かれているのだが、興味深いことに、日用品・耐久消費財を扱う企業は、国内の需要が都市も地方も一様に大きいと見ている。そのため、世界のマーケティング関係者がインドに注目している。
インドには巨大な中間層に加え、一定割合の富裕層や低所得者層も存在する。こうした人々の支出は総じて伸びが期待でき、2025年には現在の倍を超えると予想されている。
2016年第4四半期におけるニールセンの「グローバル消費者信頼感指数」によると、インドは直近10年の最高値136を記録し、対象63カ国中トップとなった。最近でも、2017年第2四半期の同指数でフィリピンの130に次ぐ2位の128を記録しており、依然としてインド市場の成長力への期待の高さがうかがえる。ちなみに2017年第2四半期の同指数(平均は104)で日本は87を記録しており、調査対象63カ国中33位だった。
いま、世界中の企業が、今後成長する可能性が高い重要な市場の1つとしてインドを認識している。有望な人口構成と、高い伸びを示す可処分所得がインドの消費者市場をけん引しているのだ。
電子機器市場は年平均41%の急成長を遂げる
力を増す購買力は市場成長率を見ても明らかだ。インドの耐久消費財・家電市場は、2012年度~2017年度に年平均成長率11%で拡大し、217億ドルに達している。同市場はさらに年率13%で成長し、2020年までに465.4億ドルの規模となる見込みだ。
また、電子機器市場は世界でも屈指の勢いで成長し、2017年~2020年にかけて年平均41%で成長し4,000億ドル市場となる見込みだ。消費者向け電子機器輸出額は2017年4月~12月で2億7,008万ドルに上る。
そして、インドは世界第3位のテレビ市場でもある。2016年度~2021年度の年平均成長率は14.7%で、2016年の92億3,000万ドルから2018年には117億8,000万ドルまで拡大。成長率は12.97%になる。
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