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  • 2019/09/26 掲載

日本も見習うべき?インド本気の“観光立国”戦略を一挙解説

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経済発展とともに注目されている、インドの観光・ホスピタリティ産業。悠久の歴史を擁するかの地には、さまざまな宗教や言語、多様な自然環境、数多くの歴史遺産があり、観光資源の宝庫とも言える。実際、ナレンドラ・モディ首相以下インド政府は観光産業に注力しており、世界的なホテルチェーンによるインド進出も活発だ。観光立国に突き進むインドから、日本は何を学べるのだろうか。
エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー、大塚賢二

エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー、大塚賢二

ガガン・パラシャー

IILM卒。財務分析、投資コンサルティング、ビジネス調査の経験を経てBig4系列で法人事業コンサルティングに従事。その後X-Ciel Consulting Pvt. Ltd.を立ち上げ、エクシール・エフ・エー・コンサルティングに参画。インド北部ノイダで活躍中の気鋭のコンサルタント。


大塚賢二

東京大学法学部卒。金融機関、Big4系列コンサルティングファーム勤務等を経て現在、株式会社ファルチザンの代表を務める。中小企業の海外進出、金融機関の経営管理・内部統制の支援に注力。エクシール・エフ・エー・コンサルティングではガガン・パラシャーとともに中小、ベンチャー企業のアジア進出を支援。

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インドの観光立国戦略、その内容とは?
(Photo/Getty Images)

eツーリストビザに熱視線

 近年、インド政府は経済発展の観点から、観光業の重要性に注目している。インドの観光産業は、2018年でGDPの9.2%、全雇用の8.1%を占めるまでになっている。また、2018年における観光産業からの外貨収入は、前年比4.7%増の285億9,000万ドルに達した。ちなみに2019年1月は、単月だけで25億5,000万ドルを記録している。

 あらゆる面でデジタル化が進んでいるインドでは、どこへ旅行に行くにもITが活用されている。中産階級の台頭とともに一定の可処分所得を得る層が増加し、インド人の国内外への観光も盛んになっている。

 2018年における海外からのインド入国者数は1,056万人に達し、前年比5.2%増加した。2019年1月は単月で110万人となっており、前年同月比で5.3%の伸びとなった。また2019年5月には、eツーリストビザによる入国者数が、前年同月比21.7%の伸びを見せ、123万人を記録した。eツーリストビザは電子観光ビザとも呼ばれ、観光目的でインドを訪れる際に必要なビザの一種で、他のビザと違い、申請から取得まですべてオンラインで完結するというメリットがあり、最も手軽に取得できるインド入国ビザとされている。

 
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インドの観光・ホスピタリティ産業の成長要因

 旅行業・観光業は雇用増加にも大きく貢献している。2017年には、インドの旅行業・観光業は全産業中8%の雇用機会を提供し、同業界の就労者数は4,160万人前後となった。こうした雇用傾向は今後も継続するとみられている。観光業・旅行業の国際的な業界団体である世界旅行ツーリズム協議会の予測によると、就労者数は年率2%で増加し、2028年までには5,230万人に達すると見込まれている。

 インド商工省産業・国内取引促進局の公表したデータによると、2000年4月から2019年3月までの間、ホテルおよび観光セクターに向けられた海外直接投資は総額123億5,000万ドルに上るという。世界的なホテルチェーンがインド国内に進出してきており、全国の観光・ホスピタリティ産業に占めるシェアは、2020年までに47%、2022年までには50%になるだろうと予想されている。

 また、インド商工会議所連合会とイエス銀行が合同して行った調査によると、手厚い予算上の手当ておよび低コストの医療施設を背景に、インドの観光・ホスピタリティ産業には2.5%の成長力があるという。

 中でも、OYO(オヨ)ホテルズアンドホームズは、既存ホテルをフランチャイズ化し、無料Wi-Fi、朝食、エアコン、テレビを含む独自の基準を満たす宿泊施設にOYOブランドを与えて部屋を提供し、宿泊データ分析に基づく料金の柔軟な設定などで収益拡大を図る見返りに、フランチャイズ料や収益分配を受けるモデルで急成長してきた。今年4月には日本でもホテル業に進出することを発表し、今後のビジネス展開が注目されている。

「世界一高い像」で観光客を誘致

 インド政府は、自国の観光産業の可能性を認識し、インドを世界的な観光拠点に成長させる計画を練っている。それは、インドの観光セクター振興計画に関する政府の取り組みを見ても明らかだ。

 たとえば、「統一の像」としても知られるインド独立の英雄「サルダール・バラブバーイー・パテルの像」は、2018年10月に落成した。これは世界一の高さ182mの像であるため、インドの観光セクターにとって追い風となっている。

 また、インド政府は、世界中の海外旅行者のうちインドを訪問する人の割合を、2020年までに1%、2025年までに2%とするよう取り組んでいる。国内観光については、国内旅行熱を盛り上げるキャンペーンに2019年度予算で116億ルピー(1億6,078万ドル)を計上した。

 さらに、先の総選挙で圧勝したモディ政権は、この度の組閣で、観光および文化を所轄する閣外専管大臣を兼任とした。モディ首相は、インターネットやそのほかの媒体を駆使して観光産業を支援する目論見だ。

【次ページ】就職先としても魅力な観光産業
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