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  • 2019/08/01 掲載

“13億の胃袋”にIT企業が熱視線、インドにクラウドキッチンブーム到来か

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インドでは、いたるところに食堂やレストランが軒を連ねている。提供する料理の種類も実に豊富で、おつまみ程度のメニューでも、さまざまな料理が楽しめる。そんなインドの食事情に注目するのは、世界の食通ばかりではない。“テック大国”でもあるインドでは、IT企業がテクノロジーを通じてインド人の食の手配の効率化を図るビジネスを展開している。ここでは、インドの外食産業で活用され、盛り上がりを見せている「フードテック」そして「クラウドキッチン」を紹介する。
エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー、大塚賢二

エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー、大塚賢二

ガガン・パラシャー

IILM卒。財務分析、投資コンサルティング、ビジネス調査の経験を経てBig4系列で法人事業コンサルティングに従事。その後X-Ciel Consulting Pvt. Ltd.を立ち上げ、エクシール・エフ・エー・コンサルティングに参画。インド北部ノイダで活躍中の気鋭のコンサルタント。


大塚賢二

東京大学法学部卒。金融機関、Big4系列コンサルティングファーム勤務等を経て現在、株式会社ファルチザンの代表を務める。中小企業の海外進出、金融機関の経営管理・内部統制の支援に注力。エクシール・エフ・エー・コンサルティングではガガン・パラシャーとともに中小、ベンチャー企業のアジア進出を支援。

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2020年には40億ドル市場になるともいわれるインドのフードテック産業、今何が起きているのか
(Photo/Getty Images)

インドのフードテックが今、アツい

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 日本の8倍を超える広大な国土を持つインド。人のほとんど住んでいない地域も広範に及ぶ中、平均すると、およそ5kmごとに飲食を提供する店舗が存在する計算だ。言語や文化が多様なインドでは、提供されるメニューもバラエティに富む。実際、インドの小売業を対象にした投資の7割は、食材、または飲食関連だといわれている。

 こうした投資をインドのIT業界が見逃すはずはない。現在は、都市に住居と仕事の拠点を持つ若年層を新たなターゲット顧客にした「フード+テック」サービスが続々と登場している。

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インドにおけるフードテックの進展

 具体的には、食材デリバリー、顧客の好みに合わせた献立、宅配、オンデマンド・ミールなどだ。インド国内のスタートアップ企業のエコシステムにおいて、「フードテック」は急速に成長している分野の1つになってきている。そして、この分野には、数多くの事業者が限られたパイを奪い合う形で競争に参入しているのだ。

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インドの外食にフードテックの占める割合

 米国では事実上6,000億ドル産業といわれている外食やフードデリバリー産業だが、インドでは現在500億ドル規模である。しかし、家族連れ、有職女性、所得水準の上がった中間層といった幅広い階層の顧客に支えられ、外食産業は高成長を遂げている。

群雄割拠のインドのフードデリバリー市場

 交通渋滞の深刻なインドにとって、フードデリバリーサービスは、移動することなく豊富な選択肢の中から衛生的で値ごろ感のある食事を採る手段として人気がある。Zomato、Swiggy、Foodpandaが代表的な国内業者だ。

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インドのフードテック産業は2020年には40億ドル市場に

 ZomatoやSwiggyはユニコーン企業として成功した。オンラインでの1日のデリバリー注文数は、100万件を超えるほどに膨れ上がっている。こうした現状は、インドのフードテック産業の隆盛を色濃く裏付けるものである。食事は生きていくために必要であり、外食かデリバリーかの選択が重大な関心事と認識している人もいる。このような認識は、ここ数年ずいぶん広がってきたように思われる。

 米Uberは、インドでもUber Eatsを立ち上げた。これに対抗しているのが、インドでウーバーと人気を二分する配車アプリのOlaだ。同社は、Foodpandaを買収した。米アマゾン も自前のデリバリーサービスを開始した。これらはインドでフードデリバリーの3強を形成し、マーケットシェアをめぐって熾烈な争いを繰り広げている。

 インドでは1日3食が普通であるため、計算上は1人あたり約90食/月を支出していることになる。現在の外食・フードデリバリーの利用頻度は3~4回/月だろう。これに対し、台湾やシンガポールでは、外食やフードデリバリーの利用が約50回/月だといわれている。

 こうした国では、外食産業が多くの選択肢や迅速なデリバリーを提供している。インドでは一食あたり50~200ルピー(75~300円)で済ませたい人が多いので、フードデリバリー業者は、これを踏まえながら安価にサービスを提供するよう改善に努めているようだ。こうした姿勢が、都市部の巨大市場からの注文をさらに増やす要因となっている。

【次ページ】「クラウドキッチン」で初期投資を圧縮
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