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  • 2018/08/08 掲載

成長し続ける企業に「強いリーダー」はもういらない

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変化が激しい環境下では、試行錯誤しながら自ら学習していく実行力のある人材が必要だ。しかし、実行力を身に着けるための教育を社員に提供できている企業は少ない。そこで、新時代の人材開発の在り方、社員教育の方法、自分で学習する社員をつくるための環境整備の方法を理解しなければいけない。人材開発支援を20年間行ってきたセルム 代表取締役 加島禎二氏が解説する。
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変化が激しい今の時代、必要なのはどんな人材?
(© ra2 studio - Fotolia)

「強い」リーダーより「ワクワクさせる」リーダー

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 企業の人材開発の課題は変わりました。

 人材開発をお手伝いする当社のお客さまからも、「内発的動機で自ら学び続ける人材の集団になりたい」「いわゆる『強い』リーダーよりも、社内のメンバーや上司、取引先の方を『ワクワクさせることができる』リーダーを育てたい」「集合研修とOJTという人材開発の2本柱は今後も同じなのだろうか。何か第3の柱が必要なのではないか」といった声がよく聞こえます。

 これらの言葉に共通するのは、「業績を上げるため」「新しい戦略を実行するため」に必要なスキルをもった人材の開発から、「個」「自発性」「ワクワク」などをキーワードに、社員1人ひとりが「学び続け」「成長し続ける」ための人材開発へのシフトです。企業はこうした人材開発に向き合わなければなりません。

 では、具体的にどう人材を育てていけばいいのでしょうか。

「不安」「恐怖」は学習を阻害する

 人は刺激を受けると、何らかの感情を抱きます。そして、その時抱いた感情に基づいて行動を起こします。同じ刺激であってもそれに反応して抱く感情は人によってさまざまで、ポジティブな感情もあればネガティブな感情もあります。

 好奇心やワクワク感といったポジティブな感情を抱けば、人はその刺激の対象に近づこうと思い、そのための学習や行動をおこします。逆に不安や危険、恐怖を感じれば、その対象から回避する行動を起こします。つまり人が自発的に学習し、行動を起こすのは、刺激に対してポジティブな感情を抱くときです。

 また、人の置かれている環境を「コンフォートゾーン」「ストレッチゾーン」「パニックゾーン」という3種類に分類する理論もあります。

 コンフォートゾーンは、慣れた環境の中で慣れたやり方を踏襲できるゾーンです。ここでは安心していられますが、新たに学習する必要がなく、成長も起きません。

 パニックゾーンは、本人が望まない、或いは本人には強すぎる負荷がかかり、不安や恐怖を抱き、パニックになるゾーンです。一時的には対応できるかもしれませんが、多くの場合は長続きしません。

 ストレッチゾーンは、人が最も成長するゾーンです。ストレッチゾーンにいる人は、未知のものに囲まれて落ち着かない気持ちになりますが、ワクワクして学ぶことに前向きな気持ちも持ちます。このゾーンは、内発的な学習動機を作り出します。新入社員のときを思い出してもらうといいかもしれません。

 これからの人材開発には、このように人が学びに向かうメカニズムを理解して対応を考えていくことが必要です。

「学ぶ部下」は「学ぶ経営陣」から生まれる

 企業の経営陣や部門長の言動が、人や組織風土に及ぼす影響は大きいものです。メンバーは上の人間の言動をよく見ています。

 メンバーが新たな企画を持ち込んで来たとき、上司が「前例がないからやめておけ」とストップするのをよく目にします。上司のそんな姿勢が耐えられなくなって退職を決める方もたくさんいます。

 しかし部門長や経営陣が学ぶ姿勢をもっていれば、「前例がないからこそ、そのプロセスで我々が学ぶことも多い」とメンバーの背中を押すでしょう。さらに、経営陣や部門長自らが動いて、新たなビジネスルートや人脈を開拓し、メンバーをサポートすることもあるでしょう。

 このように、経営陣や部門長であっても、新たな行動を起こすとさまざまな壁にぶつかり、「その壁は何か」「乗り越えられるのか」「自分は何者か」「何がしたいのか」など、問いを突きつけられます。それら問いに答えるために、たくさんのメンバーの話に耳を傾け、新しい人脈や機会を自ら探して会いに行き、関連しそうな書籍を集中的に十数冊読み込む。上司のそんな姿を見れば、メンバーは尊敬の念を抱き、上司の期待に応えようと努力すると同時に、学ぶ姿勢を自然と身に付けていきます。

【次ページ】「周囲をワクワクさせるマネージャー」の選び方
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