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  • 2018/03/12 掲載

TSUTAYA展開のCCC、なぜ崩壊する出版市場に「逆張り」するのか

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書籍の衰退が叫ばれてから久しいが、その中にあって逆張りの戦略を試みる企業がある。それはTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)である。徳間書店や主婦の友社など著名出版を買収したほか、カメラ販売のキタムラへの出資も行い業容を拡大している。一方で、TSUTAYA店舗の整理を急ピッチで進めるなど、事業の再構築も急ぐ。CCCは何を目指しているのか、最近の動きから探った。
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出版社の相次ぐ買収で、縮小する書籍市場に逆張り。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が描く次世代戦略とは?
(写真は代官山 蔦屋書店)

非上場化で経営の実情が見えにくくなった

 CCCは、実業家の増田 宗昭氏が1985年に設立した企業である。フランチャイズ展開するTSUTAYAの店舗を中心に、書籍販売、CDレンタルなど手がけて急成長し、2000年4月には東証マザーズに上場した。同社が展開したTポイントカードはあらゆる業種に広がり、ポイントカードのスタンダードを確立するなど、小売業界で大きな存在感を示してきた。

 だが2000年代後半から業績の伸び悩みが目立つようになり、2011年には増田氏がMBO(経営陣が参加する企業買収)を実施。同社は非上場企業となった。

 増田氏は著名な実業家だが、メディアに出る機会はそれほど多くない。これに加えてCCCが非上場企業になったことで、どのようなビジネスを展開しているのかさらに分かりにくくなった。増田氏自身もCCCについて「見えない企業」と説明しているので、あえて見えにくくしていることも戦略のひとつなのだと思われる。

 マクロ的に見た場合、CCCが置かれている状況は厳しい。主力の書籍は、毎年、前年割れが続く縮小市場であり、CDレンタルに至っては音楽配信の台頭で市場の消滅すらあり得る状況だ。

 同社の店舗数は一時期は1500店舗に迫る勢いだったが、現在の店舗数は1400店舗に落ち着いてる。同社では小規模な店舗の閉鎖と、1店舗あたりの売り場面積の拡大を同時に進めており、基本的に大型店にシフトしている。集客が見込めるエリアに集中して出店することで売上高を確保する戦略と考えられる。

 同社では、2016年における雑誌や書籍の売上高が過去最高を記録したことを明らかにしている。他の商材については情報がないので店舗全体の売上高の推移は分からないが、少なくとも書籍については、店舗の集約と大型化が寄与していることは間違いない。

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TSUTAYA書籍・雑誌年間販売総額の推移
(出典:「TSUTAYA書籍・雑誌の年間販売総額が過去最高1,308億円を達成」)

出版社を相次いで買収し、コンテンツのノウハウを店舗に展開

 だが、書籍市場そのものは縮小が続いているので、店舗の統廃合を進めただけでは限界がある。こうした中でCCCが試みているのは、出版社の買収を通じたコンテンツ事業への進出である。

 2015年には美術出版社を、2017年3月には徳間書店を、同年12月には主婦の友社を買収するなど、相次いで出版社を手中に収めている。増田氏は一連の買収で得たコンテンツ事業のノウハウや各種リソースを店舗の運営に生かそうとしている。そのひとつの形態が2017年4月に銀座にオープンした「銀座 蔦屋書店」である。

 同店は700坪という大型店舗で、アート関係の書籍を中心に6万冊を取り扱っており、同分野では有数の品揃えとなっている。店内にはスターバックスが併設されているほか、アルコール類も提供しており、ゆっくりと本を眺めることができる。

 イベントスペースやギャラリー、文具店などもあり、ひとつの空間としてサービスが提供されている。これはモノの販売というよりもコト消費に近い業態といってよい。

 もう少しビジネス的に言えば、ユニクロやGAPなど、アパレル業界でいうところのSPA(製造小売)の業態に近いということになるだろう。この文脈で考えれば、徳間書店が持つアニメのコンテンツを生かした専門店や、主婦の友社を活用した主婦向けの店舗など、様々な展開が考えられる。

 増田氏によればCCCは書店でもレンタル店でもなく、あくまで「企画会社」だという。特定の枠組みにはとらわれず、生活提案型のビジネスを展開していくと説明している。

 CCCが企画会社であるというのは、少々曖昧な定義だが、同社のビジネスモデルを考えると合理性はある。なぜなら同社の店舗展開は、独特のフランチャイズ制度がベースになっているからである。

【次ページ】通常とはまるで異なるフランチャイズ制度、売上高は拡大しているが…?
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