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- 2017/08/25 掲載
元アエラ編集長 浜田敏子氏が女性リーダーに捧ぐ「独身貯金」のススメ(2/2)
女性は男性よりも不利だけど
雇用における男女間格差、長時間労働など働き方に関する課題は山積している。さらに、デジタル化がグローバル化を加速させ、ダイバーシティへの対応も求められる。企業のリーダー像は確実に変わっている。企業において女性が働き続け、リーダーを目指すことは、男女雇用機会均等法の施行当時とは意味合いが変わっている。女性のリーダーは以前よりも切実に、社会に、企業に求められているのだ。
そうした中、何を準備して心がけていけばよいか。浜田氏も松下氏も、まずは「経験」を挙げる。
「日本の女性の場合、男性と比べると不利だなと思うところがあります。というのも、男性のほうが企業の中で圧倒的に経験をさせてもらえる。一方、女性は専門職で入って一つの部署に長くいることが多い。女性の多くがリーダー職になることに対し不安を感じる原因の一つが、この『経験不足』です」(浜田氏)
そこで、チャンスがあれば違う部署に異動してみるとか、新規事業に手を上げてみるとか、会社の公募にチャレンジするとか、独身のときにリーダーでなくともさまざまなことにチャレンジしておくのが大事だと浜田氏は呼びかける。
もちろん、結果として、できる/できないはあるだろう。ここで重要なことは「経験すること」であり、たとえ失敗したとしてもトライすれば、失敗という結果は得られるわけで、それを糧にすることが重要だというのだ。
「自分がいる立場、責任の範囲内でトライを重ね、経験を積んでいってほしい。やってみて違うと思ったらやめたらいいし、失敗したら謝って自分の糧にするしかない。そうしたメンタリティを持ち続けることが先につながっていくと思います」(松下氏)
興味のあることをやり続けた結果は、自分の中に残る。それは、社内の知り合いであったり、味方を作ることもそうだ。男性と違い、社内の縦のラインでつながりにくい女性の場合、どうしても自らさまざまな場所に顔を出し、経験をし、つながりを作っていくことが財産になる。
こうして続けた先にあるのは、リーダーとして得られるスケール感の異なる仕事の醍醐味だ。一人でできる仕事のスケールはどうしても限られる。たとえば編集でいえば、思いついた企画がいくつもあっても、一人では全部できない。チームが一丸になったときのスケールの大きさとスピード感は、リーダーでないとなかなか体験できないおもしろさだと松下氏は述べる。
時間があるときに「独身貯金」
浜田氏は、挑戦を続けるためのヒントとして、時間が比較的に自由なときにいろいろとインプットしておくことを挙げる。これを浜田氏は「独身貯金」と表現するが、定時後に人に会ったり、勉強会に行ったり、結婚して子どもが生まれるとなかなか難しいことを独身時代に行い、人脈を広げ、インプットしておく。これがあれば、ワーキングマザーになり、自宅と会社の往復だけになってしまったときに貯金として使えるのだ。またもう一つは、すごくつらい、もう無理と思っても、そこであきらめずに会社に交渉すること。「交渉」と大ごとにしなくても、まずは直属の上司に相談レベルでもよい。男性の上司の場合、女性社員が困っていることに気づいていないことが多いので、まず話してみることでわかることも多いと浜田氏は説明する。
最後に、企業と女性のリーダーは今後どうあるべきか、浜田氏は「多様性」をポイントに挙げる。これまでのように、男性中心から女性のリーダーが増えてくると「これまで当たり前と思っていたことがそうでないことに気づくことがある」というのだ。たとえば、長時間労働が当たり前の中で、そうでない人が増えてくると、「働き方を変えよう、もっとこうしたら効率的ではないかという提案が積極的に出てくるようになる」というのだ。
「まだ日本のダイバーシティは男性、女性です。ですから、人事の方にお願いしたいのは、単に女性を増やすのではなく、外国人、中途採用の人も増やしてほしいということです。そして、これまでの新卒一括採用、男性中心の日本企業の文化に、多様性を浸透させていいかなければならないと思います」(浜田氏)
松下氏も「ダイバーシティは、女性だけがテーマではない」と述べる。今、日本で働いている人もこれから海外のメンバーと仕事をする機会が増えてくる。そこにどう対応するかで、その人のリーダーとしての資質が問われるというのだ。
「これまでは日本のビジネスで成り立っていましたが、今後、グローバル化が進むことは避けられません。そのときに、自分にそういう経験があったのか、なかったのかで、自分の立ち位置、ビジネスにおける価値が変わってきます。アジアや欧州、そういうビジネス組織で自分がリーダーになっていくことを想像していくと、若いときにできる経験を積んでおくのは大切ではないでしょうか」(松下氏)
(※本記事は、Advertising Week Asiaでの講演内容をもとに再構成したものです)
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