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  • 2017/07/28 掲載

若手の退職を止めたいなら「嫌な上司」を探し出せ

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厚生労働省が2016年10月に発表した調査によると、新規学卒者の3年以内の離職率は大学卒業者の場合30%以上、短大や高校など卒業者の場合は40%に上ることが報告されている。この比率はここ20年ぐらい大きくは変化していないにもかかわらず、最近、企業が第二新卒の採用に注目している。第二新卒採用における課題、さらに、採用した後の退職を防ぐ方策について、第二新卒に特化した人材紹介事業を展開しているUZUZ 代表取締役 今村邦之氏に話を聞いた。
(聞き手/構成:編集部 佐藤友理、執筆:中村仁美)

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UZUZ 代表取締役 今村邦之氏


第二新卒人材を取り合うIT、医療、飲食、介護、建築業界

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──近年、第二新卒市場に企業が熱い視線を送っていると言われています。第二新卒が注目され始めた時期やきっかけについて教えてください。

今村氏:我々が第二新卒市場が熱くなってきたと感じたのは、1年ぐらい前からで、今もその熱は高まっています。これは当社への企業からの問い合わせはもちろん、第二新卒の受入れ企業の増加からも明らかです。また、当社のサービスの登録者数もここ1~2年で一気に増えました。UZUZの設立当初(2012年)の紹介手数料はかなり抑えられましたが、今は中途採用の一般的な紹介手数料同様、年収の30%が当たり前となりました。

 第二新卒が注目される理由の1つは、時期を問わず年中採用できること。ただ、追い風が吹いているかというと、新卒採用ほどではありません。第二新卒を採用している企業の割合は10%以下だと思います。

──第二新卒を積極的に採用しているのはどのような企業なのでしょうか。

今村氏:IT、医療、飲食、介護、建築などの業界で第二新卒採用のニーズが高まっています。これらの業界はいずれも人材が足りていないからです。首都圏では、特にIT業界が顕著です。IT業界は新卒・第二新卒、中途も採用ニーズが高まっており、これまでは理系出身者に限定して採用していた企業が、文系出身でも素養があれば採用するという方向に進んでいます。

 第二新卒を採用している企業に共通しているのは、働き方の制度や教育制度をしっかり整備しているところです。

──そういう企業では第二新卒は「新卒の代わり」という位置づけなのでしょうか。

今村氏:第二新卒を「新卒の代わり」として扱う企業と、「新卒のちょっと先輩」といったように「中途の代わり」として採用する企業とに分かれます。

 ただ、研修に関しては中途と同じ扱いをする企業が多いと思います。というのも、新卒の場合は、最初にビジネスマナーに関する研修を行った後に、その企業の理念や事業、業務に関する研修を行い、OJTに進みます。

 一方、中途の場合は、その企業に関する研修を受けたら、OJTに進みます。第二新卒と一口にいっても1年未満の人から約3年の経験のある人までさまざまですが、ビジネスマナーの研修は前職で受けているはずです。したがって中途と同様の研修内容を採用しているところが多いです。

若手の退職を防ぎ成長を促す「4段階指導」

──第二新卒採用における課題について教えてください。

今村氏:第二新卒採用に限った話ではないのですが、1~2人の少人数しか採用しないような企業では、「若手に同期ができないこと」が課題です。

 同期がなぜ必要かというと、同じ境遇の仲間と話すことで、仕事に対する不安を払拭することができ、その絆が強ければ強いほど退職率の低減につながるからです。しかも直属の先輩や上司との世代間ギャップがある職場だとなおさら重要になります。理想を言えば、第二新卒採用でも、一度に5人ぐらい採用し、「同期」をつくることが望ましいですね。

──第二新卒を5人まとめて同じ時期に採用できる企業はあまり多くないのではないでしょうか。

今村氏:そうなんです。中小企業の場合、一度に5人も採用できません。そこで重要なのが、若い層をミドル層とつなげるための仕組みです。その一例がメンター制度です。

──今村さんが考える「メンター」とは、どういう存在なのでしょうか。

今村氏:メンターは、仕事はもちろん、プライベートなことまでも面倒を見る存在です。チューターのように個人的に指導をすることなく、対話することでメンティー(メンターから指導を受ける人間)が自発的に気づきを得て成長していくことを目的としています。

 成長を促したり、気づきを与えたりする段階には、「カウンセリング」「ティーチング」「コーチング」「権限移譲」の4つがあります。

 「カウンセリング」は、指導における第一段階です。メンターがメンティーの悩みを聞いて相談に乗ったり、前向きに働くイメージの形成を助けたりする段階です。

 第二段階は「ティーチング」。これは、具体的業務やテクニカルな知識、業務におけるさまざまな「判断の仕方」を教える段階です。ある程度自分のメンタルと向き合いながら働けるようになった人には、こういった指導が始まるわけです。

 第三段階が「コーチング」。ここでは、「ティーチング」とは違い、メンターから答えを提示することはしません。「今、我々はこういう状況にあるけれど、君はどう思う?」といったように、メンターは「メンティーの考えを引き出すこと」に専念する段階です。

 そして最後の段階が「権限移譲」です。つまり、メンターがメンティーに「仕事を任せる」段階です。

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第二新卒を成長に導く「4段階指導」

 メンティーの成長度合いにもよりますが、メンターの主な活動はカウンセリングとティーチングです。「この会社で働いていくイメージが持てない」「集中力が続かないとか」など、そういった心の悩みを解決するときは、カウンセリングをします。仕事を円滑にする上でのテクニックに関して教える際はティーチングを行います。

 とはいえ、メンティーはこの4段階を一方向に進むのではなく、行ったり来たりしながら徐々に成長していきます。そのため、メンターには忍耐強さと寛容さが必要です。

【次ページ】評価制度にも「若手仕様」が必須
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