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- 2017/04/07 掲載
化粧品メーカーの世界ランキング:14位が3位P&G買収で激変、資生堂はロレアル追撃へ
ファッション性と高度な機能性の両立
化粧品は、アパレルや靴、バッグ、アクセサリーなどと並んで、“ファッション”の主要なアイテムの一つである。グローバルなファッションビジネスでは、トータルコーディネート志向が高まっており、アパレルを主軸とする有力ファッションブランドが、化粧品を手がける例は枚挙にいとまがない(化粧品メーカーが、アパレルなどに多角化するケースもある)。日本でも、かつて繊維メーカーだったカネボウやカメラフイルムメーカーの富士フイルムが化粧品事業に進出している。
一方で、化粧品産業は、化学産業ともオーバーラップしており、化粧品部門を抱える大手総合化学メーカーも少なくない。化粧品は、皮膚に直接触れる性質上、安全性が厳しく求められ、日本では、化粧品の製造・販売が国によって規制されている。
また、「シワの改善効果」が認められた化粧品が登場するなど、化粧品メーカーはハイテクを駆使して、美容効果を競って追求している。つまり、化粧品産業は、ファッション性と高度な機能性を両立させる必要があるわけだ。
政治やビジネスのシーンを見ればわかるように現在、オフィシャルのファッションとして世界標準となっているのは、日本や欧米など先進国で発達してきた“洋装”である。また、化学産業をリードしているのも先進国である。したがって、当然のように、化粧品業界も先進国の企業が席巻している。
化粧品には、スキンケア用品(化粧水・クレンジング・乳液など)、メイクアップ用品(ファンデーション・口紅・アイメイクアップなど)、ヘアケア用品(シャンプー・リンス・染毛剤など)、フレグランス(香水)といったさまざまな種類がある。
中でも、スキンケア用品は、メイクアップ用品と違ってファッション性は低いが、市場規模が大きく、固定ユーザーを獲得するために重要な分野である。フレグランスは、欧米の化粧品業界では“花形”とされているが、日本やアジアではニーズが低いため、市場規模は小さい。
化粧品メーカーの世界ランキング、1位はロレアル
美容用品売上高のグローバルランキングは次のとおりで、日米欧の化粧品メーカーや家庭用品メーカー、ファッション企業がトップテンを占めている。世界第1位のロレアルは、女性で知らない人はいないだろう。美容室向けのヘアケア用品メーカーとして1909年に創業、現在では約140カ国に進出している。“ファッション王国”たるフランスを代表する化粧品メーカーだ。
世界屈指の高級化粧品ブランド「ランコム」を擁し、「イヴ・サンローラン」や日本発のメイクアップアーティストブランド「シュウ・ウエムラ」もM&A(企業合併・買収)によって取得している。
第2位は、欧州の代表的な家庭用品メーカーであるユニリーバだ。英国のリーバ・ブラザースとオランダのマーガリン・ユニが1930年に経営統合して誕生。ヘアケア用品の「ダヴ」「モッズ・ヘア」、男性用化粧品の「アックス」などのブランドは、日本でも浸透している。ちなみに、紅茶の「リプトン」、洗剤の「ジフ」も同社のブランドである。
第3位は米国の家庭用品メーカーであるプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)である。創業は1837年。マーケティングは世界トップクラスと言われ、日本でもすっかりお馴染みだ。化粧品の「マックスファクター」「SK-Ⅱ」、ヘアケア用品の「ヴィダルサスーン」「パンテーン」など著名なブランドを展開している。ただし、同社の美容用品事業は2016年10月1日付けで米国のコティに売却しており、今後はコティが世界3位の企業となる(コティについては詳細後述)。
第4位は米国のエスティ・ローダー(創業は1946年)。1978年に日本上陸した同社の自然派化粧品「クリニーク」は一世を風靡し、海外ブランドが日本市場に根づくきっかけを作った。男性用化粧品の「アラミス」などのブランドも持つ。
第5位の米国のコルゲート・パルモリーブ(創業は1923年)は、ユニリーバやP&Gと並ぶ世界的な家庭用品メーカーで、スキンケア用品や歯磨き、洗剤が主力製品。日本では知名度が低いが、ペット用品「ヒルズ」シリーズを投入している。
第6位となった米国のジョンソン・エンド・ジョンソンは、日本でも有名なヘルスケア用品メーカー。医薬品や医療機器がメーンだが、スキンケア用品も製造・販売している。
第8位のドイツのバイヤスドルフは、制汗・デオドラントスプレーの「8×4」やハンドクリームの「ニベア」(日本では花王グループと提携)で知られる。
第10位のフランスのLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは、世界有数のファッション・コングロマリットで、高級ファッションの「ルイ・ヴィトン」「フェンディ」「マーク・ジェイコブズ」、高級酒の「モエ・エ・シャンドン」「ドン・ペリニヨン」「ヘネシー」、宝飾品の「ブルガリ」など多数のブランドを傘下に収める。化粧品では、「クリスチャン・ディオール」「ジバンシィ」「ケンゾー」などのブランドを手がけている。
その他、第12位のエイボン・プロダクツや第20位のレブロンといった米国勢、第17位となった名門のフランスのシャネルは、日本でも愛用者が多いブランドと言えよう。
第11位のアモーレパシフィックは韓国最大の化粧品メーカーで、中国事業を成長の原動力にしている。
第13位の米国のエル・ブランズはSPA型のファッションショップチェーンで、アパレルだけでなく、化粧品などの美容用品も取扱っている。
第14位は前述した米国のコティで、世界トップクラスの香水メーカーだ。2016年にP&Gから美容用品事業を買収し、フレグランスブランドの「Hugo」「Gucci」、カラーコスメティックブランドの「COVERGIRL」「Max Factor」、ヘアカラービジネスの「Wella」「Clairol」を傘下におさめた。今後は一気に上位に躍り出てくるだろう。
第15位のヘンケルは、ドイツの家庭用品メーカーで、化粧品も製造・販売している。
【次ページ】日本の化粧品メーカーが中国で強い理由
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