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1980年4月に化粧品の通信販売会社として創業したファンケル。2013年3月期の連結売上高は828億円、連結経常利益は44億円、従業員数は705名で、2014年4月には持株会社体制へと移行し、化粧品事業をファンケル化粧品、健康食品事業をファンケルヘルスサイエンスに分社化した。同社では2013年、顧客一人一人とのきめ細かいコミュニケーションを実現するために、マーケティング施策におけるさまざまな作業を自動化するマーケティングオートメーションのイベント・ベースド・マーケティング(EBM)に取り組み、大きな成果を挙げたという。その詳細と効果について、ファンケル ネットチャネル合同チーム ネット営業部 部長の佐野博一氏が、SAS Institute Japan主催のAnalytics 2014 - SAS FORUM JAPANにて語った。
マーケティングオートメーションの実現で、顧客とのエンゲージメントを築く
元々化粧品の通販会社としてスタートしたファンケルだが、1995年には直営店舗の展開も始め、1996年にはECサイト「ファンケルオンライン」を開設、翌1997年からインターネット販売を開始した。
現在の会員数は約330万人、メルマガ会員数は約93万人で、1か月当たりのページビューは約1000万PV、受注件数は約20万件で、年間売上金額は約160億円にのぼる。
「昨今、お客さまがサイト閲覧時に利用するデバイスが急激に変化している。従来はPCでのアクセスが大半だったが、2013年下期ではPCの60%に対し、スマートフォンが34%にまで増えてきている。このスマホ対応が喫緊の課題」
サイトの運営ポリシーは、“常にお客さまの視点に立って、ホスピタリティNo.1のサイトを目指そう”というもので、具体的な目標として掲げているのが、サイト来訪者に対するおもてなしの実現や、メールやSNSを活用したエンゲージメントの構築などだ。ちなみに現在同社ではSNSの公式アカウントとしてFacebook、Twitter、LINEを展開しており、各々、約3.5万人のFAN、約1.7万人のフォロワー、約650万人の友だちを有している。
「ECサイトも接客業。お客さまに喜んでいただけるおもてなしを実現し、一人一人のお客さまと緊密な関係を作りたいと考えた。今回マーケティングオートメーションのシステムを導入した背景には、我々のこうした思いがある」
顧客をよく知り、各々に最適な情報を適切なタイミングで提供することを目指す
ツバメが低く飛ぶと雨が降る、なまずが暴れると地震が来るというように、“出来事には予兆がある”と佐野氏は指摘する。
「これをビジネスシーンに置き換えて、お客さまが商品を購入したり、あるいはサイトを離反したりする過程にも、何らかの予兆があるのではないかと考えた。これがマーケティングオートメーションを導入するそもそものきっかけ」
そこで顧客一人一人をより詳しく知ることができれば、もっと喜んでもらえる“接客”ができるはずだ。
「我々はこれを、Eメールを活用して実現したいと考えた。ダイレクトメールでは郵送料がかかるが、Eメールなら非常にローコストでお客さまにアプローチすることができる。またデジタル媒体なので、何かしらパーソナルな原稿を作りたいといった場合にも、紙媒体より柔軟に対応できる」
しかし当時のEメールマーケティング部隊は、いくつかの問題を抱えていたという。
「約90万人のメルマガ会員がいて、企画によってセグメントを分けたり、差し込み原稿を作ったりして運用していたが、セグメントを細分化すればするほど、リストの抽出作業や原稿制作などの作業は複雑化していき、工数も増えていってしまう。当時の体制では、月に3~4回の配信が限界だった」
一方、メルマガの企画を立案する部隊では、もっと深くターゲティングして細かくセグメントを切りたい、より顧客にマッチした企画を実施したい、という要望が日増しに増えてきていたという。
「我々はお客さまをよりよく知ることで、一人一人に最適な情報を適切なタイミングで提供したいと考えていた。しかし通常のメールマガジンは一度に大量配信するという性質上、お客さま個々のパーソナルな状況に対応することは難しい。メルマガに替わる新たなパーソナルコミュニケーションを実現する仕組みが必要だと考えた」
【次ページ】メール開封率を2倍にしたマーケティングオートメーションのEBMとは
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