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- 2016/06/17 掲載
「伊勢志摩サミット」が終わって鈴木英敬三重県知事が考えること
すずき英敬知事のおすすめ三重県ビジネスカタログ(58)
サミットの開催で三重県は新たなスタート地点に
伊勢志摩サミットは大きな混乱や事故もなく、また天候にも恵まれ、閉幕しましたことに安堵しております。また、関係者や県民の方々に大変なご協力をいただき心から感謝申し上げたいと思います。オバマ米国大統領は伊勢神宮でこのように記帳されました。「幾世にもわたり、癒しと安寧をもたらしてきた神聖なこの地を訪れることができ、非常に光栄に思います。世界中の人々が平和に、理解しあって共生できるようお祈りいたします」と。
安倍総理は議長国会見冒頭で「神宮は、五穀豊穣を祈り、平和を祈り、人々の幸せを祈りながら、2000年もの悠久の歴史を紡いできました。今日の平和と繁栄は、そうした人々の祈りの上に築かれたものであります。その神宮から、今年のG7サミットはスタートしました」と話されました。
私たちはこのサミットをきっかけに三重県の思い、その本質に改めて気づき胸に刻み、今ここからスタートしたいと思います。
サミット開催という千載一遇のチャンスを捉え、全力で三重県の情報発信に努めてまいりましたが、当初の予想を超える成果が得られたと感じています。例えば食材では、首脳や配偶者のランチやディナーは概ね三重県産であり、国際メディアセンターでの食事は156種類の食材のうち152種類において何らか県産のものが使用されていました。また、首脳の食事の乾杯日本酒は全て県内の酒蔵であり、提供した複数の酒蔵では問い合わせが殺到し、1日で1年分の注文があったところもあるそうです。
食材以外も、乾杯で使用された萬古焼、首脳が会議で囲んだ尾鷲ヒノキのテーブルなど多くの県産品が使われました。これらは、生産者の皆様が命や日々の生活をかけて育んできたものであり、それらが世界へ配信されたことは誇りでもあります。
三重情報館は、5日間で来場者数が延べ1万2729人。実演や体験、展示にご協力いただいた関係者の皆様のおかげで、多くの方々に来場いただくことができました。
それら以外にも、延べ36カ国のプレスの方々にご参加いただいたプレスツアーや多くの国内外メディアからの取材など、あらゆる媒体を通じて全国へ、世界へ、三重の魅力が存分に発信されました。 ある海外記者の記事によると「自然、文化、歴史などの日本の魅力が凝縮された場所」とのコメントもあり、私たち自身もそれを感じるきっかけとなりました。
また県民の皆様からも「感動した」「涙がとまらない」「成功は日本と三重県民の誇り」「改めて三重県の良さを感じる」「日本の、日本人の素晴らしさを感じる」「これから〇〇(マルマル)に挑戦したい」というサミットを契機とした意欲を語る言葉などの声を多くいただきます。
多くの県民の皆様が自分たちのふるさとを改めて見直し、その魅力に気付き、好きになることができたことも、今回のサミットの大きな「レガシー」の一つだと思います。その思いは、間違いなく今後の地域づくりに対する動機付けになることでしょう。
サミット開催はあくまでチャンスにしか過ぎませんし、チャンスは貯金ができません。行政もしっかり取り組んでまいりますが、県民の皆様一人ひとりがチャンスをつかみにいこうとする思いと行動がなければ、サミット開催の成果を未来に生かすことはできません。
それがあって初めて、中長期的な視点から「伊勢志摩サミットは成功だった」と歴史において言われると思います。私たち三重県は新たなスタート地点に立ちました。引き続き皆様のご支援、ご協力をよろしくお願いします。
リニア開通でますます便利になる三重県
三重県にも中間駅が設置される予定ですので、前倒しの計画は朗報です。これまで奈良県などと官民あげて、名古屋以西のルートについて全線同時開業を含む全線早期整備を何度も要望してきましたが、その努力が実った形です。
なにより、伊勢志摩サミット直後のこの時期に安倍総理から表明いただいたことは、本当に嬉しく思います。三重県には、空港も新幹線もありませんが、地方創生、外国人観光客を含めた交流人口増加などのためにもアクセス性を高めることは必須条件。
とはいえ、支援の具体策、ルートや中間駅の確定など、まだまだ課題山積ですので、県内経済界のみなさんや奈良・大阪府と連携して更に働きかけを強めていきたいと考えております。リニアの開通でますます便利になる三重県にご注目をいただければと思います。
【次ページ】ダイキン工業と提携で中小企業のビジネス支援
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